2016年07月09日 公開

教育法としての「起業家教育」を考えてみよう

日本でも昔から起業家は大勢いました。しかし「起業家を育てる教育」はほとんど行われていません。起業とは、なにか特別の才能を持った人物が行うことと考えられているかもしれませんね。今回は、教育法としての「起業家教育」について考えてみましょう。

日本でも昔から起業家は大勢いました。しかし「起業家を育てる教育」はほとんど行われていません。起業とは、なにか特別の才能を持った人物が行うことと考えられているかもしれませんね。今回は、教育法としての「起業家教育」について考えてみましょう。

起業家教育とは「起業家をサポートすること」ではない

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「起業家教育とはなにか?」という問いには、「起業家とはなにか?」を考えれば答えが出ます。起業家とは、起業家にふさわしい精神(チャレンジ精神や創造性等)と能力(情報収集力、判断力、実行力、リーダーシップ等)を持つ人をいいます。これらの精神や能力を持つ人物を育成するのが起業家教育です。現実に起業しようと考えている人に助言したり資金援助したりすることは、起業家教育ではありません。

起業家教育は「社会で生き抜く勇気」をはぐくむ

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起業家に求められるチャレンジ精神や創造性、情報収集力、判断力、実行力やリーダーシップは、混沌とした現代社会を生き抜くのに必要な「生きる力」そのものだといってよいでしょう。

特に重要な要素は「チャレンジ精神」です。起業はゼロから事業を起こすことですから、未体験の世界にたった一人で飛び込む勇気が必要です。起業家教育とは「自分も起業できる!」という勇気を子ども達に与える教育であり、それは言い換えれば「自分には社会で生き抜く力がある」という自信を与える教育です。

起業家教育の具体的な方法って?

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では、起業家教育を具体的に実践するにはどんな方法があるのでしょうか。小学校の現行教育の範囲ではたとえば次のような方法が考えらます。

・起業のヒントは足元から。自分たちが暮らす地域のことについて理解することから始める。どのような問題があり、解決方法があるのかを有識者にインタビューしたり図書館で調べたりして学ぶ。

・事業遂行にコンプライアンスは不可欠。道徳の時間を活用し、日本社会が共有する普遍的な倫理観、異なる価値観への対応法などを学ぶ。

・考えを形にする訓練によって、アイディアを事業化する過程を疑似体験。総合学習の時間を利用し、あるテーマ(たとえば環境破壊)について、教師の力を借りずに情報を集め、整理し、発表し、討論する練習を行う。

起業家教育の現状~日本の教育現場では

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大きな教育効果が期待できる起業家教育ですが、日本の学校ではまだ浸透していません。経済産業省による2015年の調査では、起業家教育を実施している小学校は10%にとどまっています。

起業家教育の効果が現れるのは生徒が卒業してからであること、指導する教員の負担が大きいこと等、起業家教育を日本で採用するにはまだまだ厚い壁があります。

期待される未来~家庭でできる起業家教育!

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起業家教育は学校だけで実践するものではありません。起業家教育を定期的に行う民間団体や私塾も少しずつ登場しています。

また親御さんに起業の経験がある場合は、その経験で得られたエッセンスを自分の子どもや地域の子どもたちに還元することも立派な起業家教育だといえるでしょう。もし「起業に失敗した事例」だったとしても、そこから得られる教訓はリアリティをもって語ることができるので、教えを受け子どもにとっては新鮮な体験になるはずです。

起業の経験がなくともビジネスの世界をお子さんに伝えることも起業家教育のために親ができることです。自分の仕事内容や世の中にどのような価値を与えているのかを話すことでもお子さんの興味はぐっと湧きます。
お店屋さんごっこも商売の世界ですから、お金の教育とあわせて積極的におうちで取り組んでみてはいかがでしょうか。

起業家教育で未来を生き抜く力を子どもたちに!

いかがでしたか。起業家教育は「起業家を育てる」のではなく「起業家の素養をもった子どもを育てる」ことを目標とすることをご理解いただけたでしょうか?日本でも今後ますます増えることが予想される起業家教育に要注目です。

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この記事のライター