2017年5月7日 公開

フランスの社会人進学事情

日本ではハードルが高いと言われている社会人進学。一度社会に出てからまた学生に戻るのは、年齢面、経済面を考えるといろいろ不安になりますよね。フランスではどうなのでしょうか?フランスの社会人進学事情を現地からお伝えします。

社会人になるのは平均28歳?修業期間が長いフランス

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フランスの修士号取得者数は人口100万人当たり1,592人、日本は586人(文部科学省「教育指標の国際比較」2008年より)と、日本の倍以上と言えます。フランスでホワイトカラーの仕事に就いている人の大半が修士号を取得していて、その後さらに専門学校で専門性を磨いている人も多いようです。

日本のように大学を卒業したら一斉に就職する、という習慣もありません。若年層の失業率が高いため、学校に通い続ける学生も多いようです。

実はフランス人が最初の職に就く平均年齢、なんと28歳なんです(2014年時点)!

長期間学生であることへの抵抗感も日本に比べると少なく、学び直すことに対する抵抗も少ないように感じます。

社会人進学の動機とは?

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一度社会に出てからも、学生に戻ることがあります。

では、社会人進学の動機とは何なのでしょうか?主に2つの理由が挙げられます。

キャリア変更のため

まずは、職業を変えたい場合。

現在、フローリストとしてパリの有名な花屋さんで働くジュリアン。10年以上、ファッションの業界で正社員として働いていました。38歳の時、フローリストとしてお店を開きたいと思うようになり、キャリア変更をすることにしました。お花屋さんを開くためには、CAPという職業適正証書が必要です。ポール・アンプロワ(フランスのハローワーク)から失業保険を貰いながら、CAPをとるための学校に通い始めたそうです。
今は有名店で経験を積み、将来は自分でお店を開くのが夢だそうです。

キャリア・アップのため

そしてやはり、よりよい待遇とポストを求め、キャリア・アップを計る場合があります。

シルヴァンは34歳、現在ゼネコンで管理職として働いています。もともとはなんと工事現場で働いていたシルヴァン。数年現場で働いた後、グランゼコール(高等職業教育機関)を目指し見事合格。25歳での入学を果たします。卒業後は、管理職として大手ゼネコンに入社することができました。
今はMBAを取得するために夜間学校に通う毎日だそうです。

いろいろなタイプの教育機関

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一度社会に出た後、何らかの理由で学び直したいと思った場合、まずは大学院など高等教育機関で学ぶことができます。専門職の場合は、専門学校、その他にも職業研修所など幅広い選択肢があります。

学費はどうする?

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日本の社会人にとって大学院での学び直しの一番の障壁となっているのは、その費用だといわれています(東京大学「大学教育についての職業人調査」2009年)。

フランスの場合、普通の大学院であればほぼ無料で通うことができます。
MBA取得を目指して商業学校(エコール・ド・コメルス)へ行く場合、学費はとても高くなってしまいますが、失業保険が最大2年間貰える場合もあるフランスでは、失業をきっかけにキャリア・アップを目指すことも可能なのです。

また、語学の学校や専門知識を学ぶための研修機関に通う場合は、CPF(全ての会社員が就業年数に従って自動的に貯蓄される職業研修を受けるためのポイント)を使って無料、もしくは安く研修を受けることができます。

今からでも遅くない!社会人進学

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フランスの社会人進学、いかがでしたか?

私自身、日本とフランスで会社員の経験をした後、30歳を超えてからの大学院生活を経験しました。私が行った大学院には何人か社会人学生もいたので、全く違和感なく学ぶことができました。国立の大学院だったので、学費もほぼ無料。前職での失業保険を貰いながらの学生生活を過ごしました。

同じクラスには、働きながら通っている30代の学生もいて、彼は雇用主と交渉して、大学院に通うために労働時間を減らしてもらったと言っていました。

一般的にフランスでは、年齢よりもキャリアや学歴が重視される傾向があると思います。管理職ポストのほとんどが、修士号を取得していることを前提にしています。日本のように学士だけで働き始めた場合、フランスでは管理職に就くことがなかなかできないという状況になってしまうわけです。

そのため、30歳を過ぎてでも大学院に入り直して、BAC+5(バカロレア取得後5年の学歴)という学歴を得たり、さらにMBAを取得したりすることは、フランスでは重要なことだと思われます。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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kaori kaori  在仏9年目、パリ在住。慶応義塾大学文学部卒業、フランスの大学院で日本語教育学を学びました。現在、フランスのラグジュアリー・ブランドに勤務しつつ、日本語学校を運営しています。現地からフランス流の子育て情報をお届けします!