2018年02月09日 公開

奨学金が変わる?2017年度より給付型奨学金制度がスタート

今や学生の約3人に1人が奨学金を利用しているといいます。しかし、奨学金の返済が卒業後の人生に大きな影響を与えること、また、そのために経済的理由で進学をあきらめる例も多いことから、奨学金制度の改革が求められ、返済不要の給付型奨学金の制度がつくられました。変化する奨学金制度と給付型奨学金について確認してみましょう。

今や学生の約3人に1人が奨学金を利用しているといいます。しかし、奨学金の返済が卒業後の人生に大きな影響を与えること、また、そのために経済的理由で進学をあきらめる例も多いことから、奨学金制度の改革が求められ、返済不要の給付型奨学金の制度がつくられました。変化する奨学金制度と給付型奨学金について確認してみましょう。

2017年より日本の奨学金制度が変わる

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大学進学には多額の費用がかかります。しかし、親世代の収入が伸び悩むなかで、進学をあきらめる子どもや、進学してもアルバイトに追われる学生が増えてきました。また、卒業後の奨学金返済が滞る例も見られます。

そんななか、政府は2017年度より、無利子奨学金の拡充と返済の必要がない給付型奨学金の創設を決定しました。給付型奨学金の対象となるのは、住民税非課税世帯の子どもです。ただし、実際に利用できるのは、1学年に約6万人いると想定される対象者のうち、成績などの要件を満たした2万人に限られます。

これまでの奨学金制度

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多くの学生が利用する日本学生支援機構の奨学金は、そのほとんどが貸与型。さらに、無利子の第一種奨学金には世帯の収入と本人の成績に厳しい基準が設けられており、多くの学生は利子がつく第二種奨学金を利用しているのが現状です。

いずれにしても、奨学金を借りた学生は、卒業後に給与から返済していかなければなりません。しかし、就職しても給与が少ないこと、または就職自体ができず収入がないことなどから、返済が滞る例が増えてきました。

返済が滞った場合には延滞金が発生することもあり、その負担の大きさが問題となっていました。

給付型奨学金とは

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従来の貸与型奨学金と異なり、給付型奨学金には返済義務がありません。2017年度に決定されたのは、自宅から通う国立大生に月額2万円、下宿する国立大生、自宅から通う私立大生に3万円、下宿する私立大生に4万円という金額です。

しかし、対象は住民税非課税世帯の子どものみ。大部分を占める課税世帯の子どもは利用できません。優秀な学生に進学の機会を与えるため、給付型奨学金の拡充は今後も求められていくことでしょう。

先進諸国の奨学金には給付型が多い

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OECDに加盟している国々、いわゆる先進国と呼ばれる国の多くでは、給付型の奨学金制度が充実しています。そのため、返済しなければならない日本の奨学金制度は「学生ローン」に分類されることもあります。

世界の奨学金のなかには、学費に加えて生活費が支給されるケースも。進学を望む学生が経済的心配をすることなく学べる環境を、すでに用意している先進諸国が多いのです。

また、日本は他の国々に比べて学費も高く、大学進学は家計にとって大きな負担になりやすいといわれます。学費が安く、奨学金制度も充実している諸外国とは、まだまだ格差が見られるのが現状です。

誰もが高等教育を受けられる社会に

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教育費の問題は、子どもを持つパパママにとって頭が痛いところ。しかし、子どもにはできるかぎりの教育を受けさせてやりたいと考えるのが親心。

資源に乏しい我が国では、豊かな教育を受けた人材こそが国を支える資源となるのではないでしょうか。経済的に無理を強いられることなく、希望するすべての子どもが高等教育を受けられるような制度が望まれます。

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