2017年08月06日 公開
赤ちゃんのお食い初め|健やかな成長を願う儀式の正しい行い方
赤ちゃんの生後100日のお祝い行事である「お食い初め」。献立からその意味、食器、食べさせ方から順番など正式なお祝いの仕方やそこに込められた願いをご紹介します。これからお食い初めを迎えるファミリーにお役に立てれば幸いです。
赤ちゃんの生後100日のお祝い行事である「お食い初め」。献立からその意味、食器、食べさせ方から順番など正式なお祝いの仕方やそこに込められた願いをご紹介します。これからお食い初めを迎えるファミリーにお役に立てれば幸いです。
お食い初めって何をする?どんなお祝い?
お食い初めは、赤ちゃんの生後100日を祝って行います。無事に100日まですくすくと育ってきてくれたことへの感謝と、お子さまがこれから一生食事に困ることなく育つようにとの願いが込められた伝統行事です。
お食い初めでは、赤ちゃんに食べ物を食べさせるマネをし、さらなる成長を願います。地域によっては110日目、120日目に行われることもあります。時期はあくまで目安のため、赤ちゃんやママの体調を考慮して決めるとよいでしょう。
また、時期同様、呼び方も地域によって多少異なります。はじめて魚を食べるから「真魚初め(まなぞめ)」、はじめて箸を使うから「箸揃え・箸祝い」、100日無事に大きくなったという意味で「百日(ももか)の祝い」など、お食い初めにはさまざまな呼び方があります。
呼び方は違えども、生きていく上で欠かせない「食事」に一生困らないように、との願いは共通なようです。
お食い初めの場所はどこで行う?
お食い初めをする場所に決まりはありません。赤ちゃんを中心に、家族が最も過ごしやすい場所を選ぶのがおすすめです。
自宅
ミキハウス子育て総研が行った調査によると、自宅でお食い初めを行った方は約80%となっています。おむつ替えや授乳、泣き声など周りに気兼ねすることなく行え、家族がゆったりと過ごせることが大きなメリットです。
レストランやホテルで行う人もいる
同調査によると、少数ではありますが、自宅以外のお食い初めの場所としてレストランや料亭、ホテルをあげた方がいました。お食い初めプランがあるレストランなどなら、本格的な御膳を囲みながら、個室や座敷などでゆったりと過ごすことができます。
お店を利用すれば料理の準備をする必要がないので、パパ・ママの負担も軽くなります。ただし、自宅から遠いと赤ちゃんの負担になりますし、参加者の移動も考慮して場所選びは慎重に行いましょう。
お食い初めには誰を呼ぶ?
お食い初めは、ごく親しい身内を呼んで行うのが一般的な考え方です。特に決まりはないため、家族でよく話し合って決めるのがよいでしょう。
両親、祖父母までが一般的
前述のミキハウス子育て総研の調査によると、「お食い初めを誰かと一緒に行った」という方は、「両親」が39.5%、「両方の祖父母」が21.0%、「父方の祖父母」が20.6%、「妻方の祖父母」が18.9%という結果になりました。
伝統行事であるお食い初めをはじめ、赤ちゃんの健やかな成長をお祝いする行事は、祖父母も一緒に同席したいと考えているものです。パパ・ママだけでも構いませんが、遠方や体調不良など事情がある場合を除き、祖父母にも声をかけてあげると喜ばれるでしょう。
親戚を呼ぶ家庭もある
同調査によると、お食い初めに約7%の方が親戚も呼んだと回答しました。日ごろから親しくしている叔父や叔母などがいれば、お招きしても良いのではないでしょうか。赤ちゃんにとって親しい方を集めてお祝いすれば、よい記念になります。
献立は何を用意する?それぞれの品に意味はあるの?
お食い初めの祝い膳の基本は「一汁三菜」。以下のメニューが昔から行われている基本的なものです。縁起担ぎの由来も含め、食材についてご紹介します。
尾頭付きの焼き魚(鯛が一般的)
赤い色がお祝いにぴったりな鯛は、日本では「めでたい」の言葉にちなんで縁起物として親しまれています。当然、お食い初めのようなお祝い事の席でも欠かせない存在。昔は今よりも高価で、1匹丸ごと買えることは稀で、そんな貴重な尾頭つきの鯛を用意することで、子どもの成長を祝福したのです。
吸い物
お食い初めの汁物には、吸う力がつくことを願ってお吸い物を用意します。赤ちゃんは母乳やミルクを吸って栄養を摂っていることに由来して、そういわれているのでしょう。
また、お食い初めでのお吸い物はハマグリの具が一般的。ハマグリは二枚の貝殻を重ね合わせることから、仲の良い夫婦の象徴として語られます。お食い初めのハマグリのお吸い物には、将来良い伴侶を得られるようにとの願いが込められています。
煮物
家庭によって素材が異なる煮物ですが、意味が込められている具材には、エビ(長寿を願う)、里芋(子宝祈願)、レンコン(先の見通しが良くなるように)、タケノコ(まっすぐ育つように)などがあります。
香の物
タコの酢の物や紅白なますが昔ながらのもの。タコには「多幸」という語呂や、末広がりでめでたい数である「八」がタコの足と同じ数であることが由来です。
なますはニンジン・大根を使った紅白のものが基本です。
赤飯
赤飯には、昔から邪気を払ったり魔物を寄せ付けないようにする意味があります。こちらもお祝いごとには欠かせない日本の料理のひとつです。
梅干し
梅干しのようにシワだらけになるまで長生きできるようにという意味が込められています。
歯固め石
こちらは食べものではありませんが、丈夫な歯が生えるようにという願いを込め、2~3cm程度の小石をお膳に添える風習があります。
氏神さまなど、お宮参りに行った際に、境内の石をお借りしてきて用いる地域も。川原で拾ってきた石を利用してもOK。境内や川原で拾ってきた石は、あらかじめ熱湯消毒をして乾かしておきましょう。
使用後は、元の場所に返します。
お食い初めの儀式のやり方は?
お食い初めは、地域によって内容に多少の差はありますが、一般的には赤ちゃんを年長者のひざに座らせ、祝い膳に盛られた食事を食べさせるマネをして行われます。赤ちゃんに儀式を行う年長者を「養い親」といい、男の子の場合には男性が、女の子の場合には女性が担います。
食べさせ方にも順序があります。諸説ありますが、赤飯→吸い物→赤飯→魚→赤飯→吸い物を3回繰り返すと良いとされています。他の料理もある場合は、赤飯→吸い物の次に赤飯→〇〇→赤飯→吸い物とつなげていけばよい、という具合です。
その後に「歯固めの儀式」を行うのが正式な進め方です。
歯固めの儀式は、歯固めの石に触れた箸を、赤ちゃんの歯茎に軽く当てるというもの。丈夫な歯が生えることを願いながら行いましょう。
料理は作る?食器は何を用意する?
自宅でお食い初めを行う場合、生後約3カ月の赤ちゃんを見ながら鯛の焼き物やお赤飯、お吸い物、煮物など手の込んだレシピで食事を用意するのはとても大変です。簡単なもので代用したり、煮物や酢の物は市販のお総菜を購入するなど、無理のない範囲で料理を用意すると良いでしょう。
お祝い御膳を宅配してくれるサービスもあるため、必要に応じて利用することもおすすめですよ。
また、食器は、昔からの習わしでは、男の子用は全部が朱塗り、女の子用は外側が黒塗りで内側が朱塗りの漆器を使うのが正式です。高台は二つ用意し、一台には四つのお椀物を乗せ、もう一台には鯛を乗せます。
ただし、最近は男女関係なく同じ食器を使用したり、普段の生活にも使用できるようなベビー食器で代用したりするご家庭も多くなっています。レンタルすることもできますし、おしゃれなお食い初め用食器を提案している各種メーカーもあるため、必要に応じて用意すればOKです。
お食い初めのときのパパ・ママの服装は?
お食い初めを自宅で行う場合は、準備などもあるため普段着で行う方が多いようです。両家の両親を招く場合は、カジュアル過ぎない服装であればOK。
レストランやホテルを利用する場合は、えり付きシャツやワンピースなどジャケットまでは着用しなくても、きちんとした服装を心がけましょう。また、お食い初めの前後に写真館で記念撮影を行うこともあります。その場合は正装もしくは、よそいきの服装がおすすめです。
健やかな成長を家族みんなで祝おう
さまざまなよび方や風習があれども、お食い初めの文化には、この先赤ちゃんが食べ物に苦労せず人生を全うできるようにと願う大人たちの温かい気持ちが感じられます。
生後3カ月は、首が座りはじめたり授乳間隔も少し空いたりして、小さな命を預かるママにとっては、ひとつの節目のタイミング。100日のお祝いの御膳を用意して、赤ちゃんの成長を家族でお祝いしましょう。