2018年09月03日 公開

英語・フランス語・日本語が入り乱れる家庭で子どもはどうなるの?【翻訳家ママのバイリンガル教育】第1回

翻訳家ライターの筆者が、家庭でできる子どもの英語教育の情報を連載でお届けします!第1回は、フランス語、英語、日本語のマルチリンガルに育てた息子の家庭環境にスポットを当てました。

翻訳家ライターの筆者が、家庭でできる子どもの英語教育の情報を連載でお届けします!第1回は、フランス語、英語、日本語のマルチリンガルに育てた息子の家庭環境にスポットを当てました。

バイリンガルは楽しい!


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wavebreakmedia / Shutterstock.com

カナダ在住の翻訳家兼ライターのLOAです。今でこそ英語と日本語を活かした仕事をしていますが、15年前にカナダに住みはじめたころは、自分の英語が通じなくて大変でした。息子が産まれたのは、筆者がカナダに移住して5年半ほどが過ぎたころです。カナダの大学を卒業し、仕事をしていたので、移住当初よりは英語はできるようになっていました。けれども、ビジネスで使う英語と子育ての英語は全く別物で戸惑いました。

そんな中、手探りでマルチリンガル子育てをしてきました。現在10歳の息子は、フランス語、英語、日本語のマルチリンガルです。3カ国語を使えることで、たくさんの人とコミュニケーションを取ることができ、ユニリンガルではできない経験をしています。もちろん、筆者自身も英語がどんどん使えるようになり、世界が広がったと実感しています。

この連載では、筆者の経験を踏まえ、子どものバイリンガル(母国語と英語)教育の心構えやテクニックを紹介していきます。読者の方々が、英語など外国語を話す楽しさ感じて、お子さまの言語教育のモチベーションが高まれば幸いです。

バイリンガルの街での子育て

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Inspired By Maps / Shutterstock.com

筆者の暮らすケベック州・モントリオールは、フランス語と英語のバイリンガルの街としても知られています。また、移民が多いので、街の中はさまざまな言語で溢れています。自然に多言語に触れることができる環境は、マルチリンガル教育を後押ししてくれます。けれども、環境だけで子どもが複数言語を話せるようにはならないのです。

ここからは、わが家でどのようにマルチリンガル子育てをしているのかを紹介します。

家の中もマルチリンガル

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mypokcik / Shutterstock.com

まず、わが家の言語環境を説明しますね。

息子は、フランス語、英語、日本語を年相応に話します。フランス語の小学校に通っているので、読み書きはフランス語が一番得意です。夫の母国語はスペイン語で第二言語がフランス語、英語はビジネスレベルで使えます。筆者は第二言語が英語で、フランス語は日常会話レベルです。

家族の会話は、息子と夫は、ほぼフランス語(ときどき英語)です。以前、息子と夫は英語で話していたのですが、この1年ぐらいでほぼフランス語になりました。息子のフランス語力が伸びたので、フランス語の方が意思の疎通が図りやすくなったからだと思います。そして、息子と筆者は日本語、夫と筆者は英語、家族3人のときは英語で会話をします。息子が夫に日本語、筆者にフランス語を話すことはありません。話しても通じないことは、子どもでもしっかりわかっているのです。

夫と筆者は、成人してから本格的に第2、第3言語を学びました。そのため、生まれたときからの多言語環境は未知の世界。わが家のマルチリンガル教育は、息子の成長に合わせて、試行錯誤を繰り返しています。

言語のバランスを取る難しさ

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ZephyrMedia / Shutterstock.com

息子が言葉を話しはじめた時期を振り返ると、日本語を話す筆者と二人きりで過ごす時間が圧倒的に長かったです。そのため、英語よりも日本語の発達が早かったです。モントリオール暮らしだから、フランス語と英語が優先と考えていた夫には、それがストレスになっていました。

言語が混ざらないようにするために、基本的に筆者が息子と英語で話すのは家族3人で過ごすときだけにしようと考えていました。けれども、言語の発達よりも、家族の平和が優先です。英語と日本語のバランスを取るために、筆者も英語で読み聞かせをすることにしました。

1歳半ぐらいからは、少しずつ図書館の英語の読み聞かせ会や、英語のプリスクールに親子で参加する機会も増やしました。すると、2歳前には、英語と日本語のバランスが安定したのです。

第3の言語(フランス語)の導入

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現地語であり、学習言語であるフランス語を本格的に導入したのは2歳からです。それまでは、息子がフランス語を聞く機会は、街中での会話や図書館での読み聞かせ会ぐらいでした。フランス語の導入方法を悩んでいた時期に、先輩ママが「フランス語で習い事をするといいよ」とアドバイスをくれました。そこで、息子をフランス語の音楽教室に通わせることにしたのです。それから、少しずつフランス語のアクティビティーを増やしていきました。幼稚園の入園時には、園生活で困らない程度のフランス語は身についていました。

フランス語で音楽を習っていたことは、とてもプラスに働きました。日常のフランス語のレベルに比べて、歌を覚えるスピードが早いことに幼稚園の先生が驚いていました。息子にとっても、歌で褒められることは自信になっていたようです。

言語が必要という状態を作ることが大切

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Lopolo / Shutterstock.com

親がどんなに頑張って子どもに外国語を学習させても、使わなければ簡単に忘れてしまいます。モントリオールで「幼いときは〇〇語も話せたんだけど……」という人にたくさん出会いました。

また、環境が整っていても、その言語が必要なければ話せるようにはなりません。息子は、夫の母国語のスペイン語をほぼ毎日聞いています。けれども、息子とスペイン語で話す人がいないので、簡単な単語ぐらいしかわかりません。

日本の圧倒的な日本語環境の中で、子どもも他の言語を使う環境を作るのは大変かもしれません。けれども、それであきらめてしまっては、もったいないです。子どもには複数の言語を習得できる可能性があるからです。

次回からは、子どもの英語教育を進めていくための親の心構えや関わり方など紹介していきます。

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この記事のライター

LOA
LOA

カナダ在住の英日翻訳者・フリーライター。Web媒体で子育てや語学学習についての記事を多数執筆。8歳の息子が0歳のときからはじめた絵本の読み聞かせは、今では私たちの生活になくてはならないものになっています。これまでに息子と読んだ絵本や児童書は、日本語、英語、フランス語を合わせて数千冊。息子が笑顔になる絵本を見つけるのが喜びです。