中学校や高校の受験対策にも模試があるように、小学校受験においても模擬試験は存在しています。模試は点数や偏差値を確認するだけではもったいない!連載33回目では、伸芽会やジャックなど各受験対策塾の模試の特徴や、模試を日々の学習に活かす工夫をお伝えします。
模試を受ける意味
ただ自宅で問題集をこなしていくだけでは目的を見失ってしまいそうになります。
そこで役立つのが模試です。模試を受けることで客観的に現在の実力値を図り、学習状況を見直す機会にすることができます。
このあたりは大学・高校・中学受験の模擬試験と同じです。
偏差値は参考程度に考えよう
偏差値というのはあくまでも全体の中でのばらつきを表現する値なので、母集団によって数値が大きく変わってきます。偏差値の高低は小学校受験においては参考程度にとどめておくのが良いでしょう。
模試の結果の捉え方
「おテストでいただくおマルが少ないわよ!!」
と叱ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。(このように叱っている方をとある小学校受験対策塾の近くでお見かけしました……)
しかし、点数だけで右往左往して叱ってしまうのは時間の無駄だと私は思います。叱る時間があれば、早く模試の結果を分析したほうがいいです。模試は現状を数値で示してくれるありがたい教材だと思うと良いでしょう。
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模試の結果を分析して総合力アップへ繋げる
小学校受験において「丁寧であること」は非常に好まれます。その部分をカバーできる指導を家庭で行えば良いと思います。
点数が低かった場合は特に苦手な分野があるかどうかを確認します。模試によって異なりますが、分野ごとに受験者の平均点と最高得点/最低得点など子どもの現在地がわかる数値が表示されています。模試を複数回受けることでミスの内容をチェックしていくことができます。苦手分野がはっきりわかれば、こぐま会の「ひとりでとっくん」シリーズなど分野別の問題集を購入して徐々にやりこんでいくと良いでしょう。
行動観察や運動・工作で点を落としている場合は、減点されている原因を洗い出し、注意すればカバーできる点があるかどうか確認します。多くの模試では採点基準などが書かれていますが、減点の理由がわからなければ主催している塾などに連絡して聞いてみるといいと思います。
総合力を上げるためにも、現状の実力をしっかりと確認することが大切です。
同じ模試だけではなくさまざまなタイプの模試を受けよう
各小学校受験対策塾ではそれぞれ独自の模試を展開していますが、母集団と結果の出し方が異なります。各塾が主催するテストをいろいろと受けることで、それぞれの基準で実力が評価されます。
スケジュール管理が大変ではありますが、できるだけさまざまなタイプの模試を受けることで、より客観的な分析ができるようになるのでおすすめします。
わが家で受けた模試の特徴を紹介
伸芽会
模試の間は講師による解説が入り、採点のポイントなどを細かく伝えてくれます。結果のシートではレーダーチャートを中心にしており、苦手分野がわかりやすいです。
結果シートはあっさりとした内容ですが、自宅での分析に必要な情報はだいたい網羅されていると思います。
ジャック幼児教育研究所
一番の特徴は母集団のレベルの高さです。志望校別だったせいもありますが、鍛え上げられた層を母集団に持っています。最大手の塾の強みがあると感じました。その中でミヤピーが同等にできている点と逆に差がついている点がはっきりと分かり、わが家には大変有用なものとなりました。
こぐま会
特筆すべき資料は「学校別合格可能性一覧表」です。
前年度の入試結果に基づき、偏差値に基づいた合格可能性を表したものです。すごいのは自分が志望している学校だけではなく首都圏の学校がほとんど網羅されていることです。子どもの得点と偏差値でどの学校が合格圏に当たるかを示した表となります。
このデータは前年度の同じ試験を受けた子どもの受験結果から算出しており、母数は少ないですが興味深い資料でした。
偏差値はあまり気にしないと書きましたが、こぐま会のこの表に関しては「エビデンス」として捉えることができ、ここまで伸びたのかという実感を持つことができて受験前に非常に大きな心の支えになりました。
小学受験統一模試
結果シートは受験者数が多いということもあり、さまざまなジャンルに区切った順位が細かく示されます。この結果からは、小学校受験を目指す子どもたちの中でわが子がどのくらいまで仕上げられているか、というざっくりとした把握が可能です。
統一テストで優秀な成績を取ると、志望校別の模試を受けることができるようになります。母集団のレベルが上がり、精度の高いものになります。
この模試を受けたほうが良い最大のポイントは、受験の場所が私立小学校をはじめとする学校など大きな会場になることです。私立小学校の雰囲気を実際に見ることもできますし、塾のような見慣れた空間ではなく、いつもと違う大きな会場でも気後れせずに実力を発揮するための良い練習になると感じました。
動揺して泣いている子を毎回見かけましたので、本番でこのようなことがないように場馴れさせるのにいいと思います。
模試は復習に最適!
こうした模試の問題は、復習にももってこいです。一回で終わらすのはもったいないので(模試を受けるだけでもそれなりの費用がかかります!)、ママミーヤは問題用紙をスキャンして書き込みをパソコン上でできるだけ消し、それをコピーしたものを用意し、復習用の教材にしました。
問題や結果はファイリングして整理する
結果だけとっておくのではなく、会場でいただいたものはすべてファイルしました。なるべく定期的に過去の結果も見るようにしていくと、苦手分野がクリアになっていく様子が如実にわかり、親子ともにモチベーションアップに繋がりました。
わが家は年長の春から受験勉強をスタートさせましたが、クリアファイルにずっしりたまった模試を見ると頑張ったんだなあとしみじみ感じます。
あくまで模擬試験。一喜一憂しない
本番でミスしなくてよかった。そう思いましょう。
模試を受けることそのものが本番のためのいい練習に
どんな場所でも自分の実力を発揮することができるように場馴れは必要だと思います。また、お手洗いに行くとき、移動するときなども本番を意識できるように言い聞かせておきましょう。ハンカチやティッシュなどの持ち物を忘れない、落ち着いて行動することなど本番さながらに練習できる機会です。
また、子どもが試験中、親も本番の心づもりの練習をすべく服装や髪型なども気を配り立ち居振る舞いに気をつけましょう。
本番で実力を最大限発揮できるように現状をきちんと直視し、場馴れの練習もできる模試はママミーヤ親子にとって最も大切なイベントでした。塾に通っていらっしゃるご家庭でも、違う塾が主催する模試に参加することはとても意義があると思います。
小学校受験を目指しているなら、模試はぜひ活用してください。
それでは次回もお楽しみに。