2017年10月26日 公開

「おさるのジョージ」の生みの親H.A.レイ&マーガレット夫妻の絵本

世界の子どもたちに愛される「おさるのジョージ」。その原作となる絵本を世に送り出した著者のH.A.レイ&マーガレット夫妻の作品には、「ひとまねこざる」の他にも子どもの心をくすぐる話がたくさんあります。ちょっとハラハラして、最後には温かい気持ちになれるストーリーは、幼児や小学生の読み聞かせにはぴったりです。

「Curious George」出版までの道のり

タイトル:Curious George
著者:H. A. Rey (著)、Margret Rey (著)
出版社:HMH Books for Young Readers
「おさるのジョージ」といえば、アメリカの作品というイメージをもっている方は多いのではないでしょうか?けれども、「おさるのジョージ」のアニメや絵本の原案となった「Curious George (邦題:ひとまねこざる)」の作者のレイ夫妻はユダヤ系ドイツ人です。二人がアメリカに移住し、こちらの絵本を出版するまでには、とてもつらく長い道のりがあったのです。

第二次世界大戦中にフランスからアメリカへ

こちらの本は、日本語にも翻訳されています。
タイトル:The Journey That Saved Curious George: The True Wartime Escape of Margret and H.A. Rey
著者:Louise Borden(著)、Allan Drummond(イラスト)
出版社:HMH Books for Young Readers
レイ夫妻の生い立ちや奇跡の逃避行が描かれた絵本です。
ドイツ生まれのレイ夫妻ですが、ブラジルで出会い、結婚し、その後新婚旅行で訪れたパリが気に行って新居を構えました。でも、第二次世界大戦の戦火に追われる形、フランスからアメリカへ移住することに。アメリカへ行くためには、ポルトガルから船に乗って、ブラジルへ向かわなくてはいけませんでした。

二人が自作の自転車でパリを出発したのは、ドイツ軍がパリを制圧する数日前。それから数日間、毎日何十kmも自転車をこぎ、スペインへ向かう列車の駅へ到着しました。戦争中の長旅には、現在では想像することができないさまざまな困難がありました。その後、列車を乗り継ぎ、無事にブラジルのリオデジャネイロ行きの船に乗ることができたのです。

おさるのジョージ(ひとまねこざる)の誕生!

レイ夫妻は、フランスを出発してから9カ月後にアメリカに到着。そして、その翌年の1941年に「Curious George」が出版されました。この絵本は、レイ夫妻がフランスからアメリカまで大切に運んできた原稿をもとに作られたのです。その原稿では、こざるの名前は「Fifi(フィフィ)」でしたが、アメリカで出版するということで「George(ジョージ)」に変更になりました。

ハンス氏が絵を描き、マーガレット氏がストーリーを書く。子どものころから、動物が大好きだった二人の作品には、愛らしい生き物がたくさん登場します。それでは代表作を紹介しましょう。

オリジナルの英語版の読み聞かせもオススメです。

ひとまねこざるときいろいぼうし

タイトル:ひとまねこざるときいろいぼうし
著者:H. A. レイ(文・絵)、光吉 夏弥(訳)
出版社:岩波書店
おさるのジョージの原案となった、ひとまねこざるシリーズの第1作目。上に紹介した「Curious George」の日本語訳です。アフリカのジャングルでこざるのじょーじが黄色い帽子のおじさんと出会い、おじさんと一緒にジャングルを離れ大きな街で暮らすことになるストーリーです。

じょーじは、好奇心が旺盛。人や動物のまねをすぐにしたくなってしまいます。最初は、おじさんに言われたことを守ろうとするじょーじ。けれども、やっぱり「やってみたい!」が上回ってしまいます。多くの子どもの思いと同じだからこそ、この作品は世代を超えて親しまれているのではないでしょうか。

ひとまねこざる

タイトル:ひとまねこざる
著者:H. A. レイ(文・絵)、光吉 夏弥(訳)
出版社:岩波書店
「ひとまねこざる」シリーズの2作目。動物園で楽しく暮らしていたじょーじが、外の世界を知りたくて動物園から逃げたしてしまいます。コックさんやエレベーター係のおじさんに助けてもらったじょーじですが、今回も持ち前の「しりたがり」で大騒動を起こしてしまいます。

じょーじは、たくさん迷惑をかけてしまいます。けれども、最後にはその好奇心が周りの人たちの心を打つことになるのです。この作品を息子に読み聞かせしていると、彼の「やりたい」をもう少し尊重しようと思わせてくれます。

どうながのプレッツェル

タイトル:どうながのプレッツェル
著者:マーグレット・レイ(文)H・A・レイ(絵) 渡辺 茂男(訳)
出版社:福音館書店
他のダックスフントよりも胴が長いことが自慢のプレッツェル。ドッグショーで優勝して、街の人たちや犬たちの人気者になります。けれども、大好きなメスのダックスフントのグレタには振り向いてもらえません。

「あきらめないで思いを伝える大切さ」や「人(犬)は見た目じゃない」ことなど、年齢や性別などによってさまざまな感じ方のある奥の深い絵本です。もちろん、幼い子は純粋にかわいい絵を楽しむことができます。

ガブリエリザちゃん

タイトル:ガブリエリザちゃん
著者:H. A. レイ(作)、今江祥智(訳)
出版社:文化出版局
何にでも「がぶり」とかみついてしまう食虫植物のガブリエリザちゃんの話です。純粋なガブリエリザちゃんのかみつきでさまざまな騒動が起こります。けれども、こざるのじょーじと同様に、やっぱりガブリエリザちゃんは憎めないという……。

この絵本を読んだ後に、親子で食虫植物を実際に見るのがオススメですよ。

「おさるのジョージ」から広がる世界

アニメや絵本の「おさるのジョージ」が好きな子どもたちは、レイ夫妻のその他の作品にも、きっと惹かれる部分があるでしょう。

小学生になって同じ絵本を繰り返し読むことが少なくなった筆者の息子。けれども、「ひとまねこざる」や「ガブリエリザちゃん」などは「もう1回」のリクエストがあります。レイ夫妻の作品は、乳幼児期から小学生まで長い期間楽しめるものが多いのです。

長い間読み継がれているレイ夫妻の作品。ぜひ、親子でその世界を体験してみてください。
また、先日2017年8月に銀座松屋で『「おさるのジョージ展」ひとまねこざるからアニメーションまで』が開催されましたが、こちらは今後継続して全国を巡回予定だとのこと。

さらにH・A・レイとマーガレット・レイ夫妻についてのドキュメンタリー映画『モンキー・ビジネス:ザ・キュリオス・アドベンチャーズ・オブ・ジョージズ・クリエイター(原題) / Monkey Business : The Curious Adventures of George’s Creators』が、日本でも映画館で配給予定。こちらは、日本人監督・山崎エマさんが、300箱もの段ボールに入ったアーカイブ資料の使用許可を得て、クラウドファンディングで製作した作品で、話題です。こちらの公開も楽しみですね!

Amazon.co.jp: Curious George: H. A. Rey, Margret Rey: 洋書

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この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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LOA

WRITER

LOA LOA  カナダ在住のフリーライター。Web媒体で子育てや語学学習についての記事を多数執筆。8歳の息子が0歳のときからはじめた絵本の読み聞かせは、今では私たちの生活になくてはならないものになっています。これまでに息子と読んだ絵本や児童書は、日本語、英語、フランス語を合わせて数千冊。息子が笑顔になる絵本を見つけるのが喜びです。