2016年11月05日 公開

科学の力でおいしくなる!食に欠かせない「化学」の知識を学ぼう

料理には化学の力が働いていることをご存知ですか?子どもが学校で学ぶ理科も、家庭で実践すればさらに理解が進みます。誰もが知っているあの食品や料理に隠された驚きの化学反応とは?食卓での親子の会話にも使える豆知識をご紹介します。

料理には化学の力が働いていることをご存知ですか?子どもが学校で学ぶ理科も、家庭で実践すればさらに理解が進みます。誰もが知っているあの食品や料理に隠された驚きの化学反応とは?食卓での親子の会話にも使える豆知識をご紹介します。

釘の鉄分で「きれいなナスのぬか漬」をつくろう!

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ぬか漬けの材料によく使われる野菜といえば「ナス」があります。
食堂などで定食の小皿にのっているナスのぬか漬けは、きれいな青紫色をしていますよね。
でもあの色を出すにはコツが必要です。

そのコツとは、「釘」をぬか床に混ぜるということ。
釘には鉄分が含まれています。
鉄分とナスに含まれる色素ナスミンが結合し、化学反応すると鮮やかな青紫色になるんです!

ただし、新しい釘だと鉄分が溶け出しにくいので、少し錆びた古い釘のほうが効果は出やすいようですよ。

ぬか漬けの良し悪しは「塩」と「菌」できまる

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塩で野菜をもめば水分が抜けますよね。
これは野菜の細胞膜のなかの水分が塩分の高いほうに移動するから。
この化学反応を「浸透圧」といいます。

でも、ぬか漬けがおいしくなるには、浸透圧だけでなく乳酸菌による「発酵」が不可欠。

塩をぬか床に混ぜると、浸透圧の働きで野菜の細胞膜が破壊されます。
すると、ぬか床に含まれる乳酸菌が野菜の細胞から漏れ出した成分をえさにしてどんどん増えていくのです。

増えた乳酸菌は、野菜の細胞のなかにある糖分と混ざり合い、「おいしい塩味のだし」と「ほのかな酸っぱさ(乳酸)」をつくります。これが乳酸発酵です。
乳酸発酵でつくられる「だし」と「酸っぱさ」が、ぬか漬けのおいしさの正体!

子どもに「ぬか漬けがおいしいのはなぜ?」と聞かれたら、「ぬか床のなかに入っている塩と小さな生物(乳酸菌)が力をあわせて、すっぱくておいしい野菜のおだしをつくってるからだよ!」と教えてあげましょう。

豆腐のもと「豆乳」はどうして固まるの?

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豆乳には大豆たんぱく質の粒子がたくさん溶けています(この状態を「親水コロイド」といいます)。
ここに、にがりなどの塩化マグネシウム(電解質)を加えると、たんぱく質と結合して固まり、豆腐になります。
この化学反応を「塩析(えんせき)」といいます。

豆乳の塩析を化学的に説明すると、「親水コロイドに大量の電解質を混ぜると、大豆たんぱく質と電解質が結合して凝固する」となります。
でも、これを子どもにわかりやすく説明するのはむずかしい……。

そこで実験です。

牛乳にレモン果汁を混ぜると固まってそぼろ状になりますよね。
これは牛乳に含まれるたんぱく質に酸を加えると凝固する性質を利用したもの。
「塩析」とは異なりますが、水に溶けたたんぱく質が固まる化学変化を子どもに見せられる簡単な実験なので、ぜひ試してみてください。

「温泉卵」と「固ゆで」違いを生む化学反応とは?

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卵を加熱すると、色が変わり、固まりますよね。
これは卵のたんぱく質が熱によって「変性」するからです。

卵黄が固まる温度は65~70度。
他方、卵白は、もっとも含有量の多いたんぱく成分アルブミンは75~80度、次に多いトランスフェリンは60~65度で固まります。

この性質を利用してゆで卵の作りわけができます。
65度から70度くらいで加熱温度を維持すると、軽く固まった卵黄のまわりをゲル状の白身が包み込む「温泉卵」になります。
さらに80度以上で加熱すれば「固ゆで」になるわけです。

このように加熱温度をうまく使い分けることでゆで卵の状態が変化することを子どもに見せてあげましょう。

子どもの大好きな目玉焼きも同じです。
好みの固さに焼き上げるには、弱火、中火、強火いずれを選ぶべきかを、子どもと調理をしながら教えてあげられるといいですね。

「化学の力のすごさ」を教えるのも立派な食育です!

子どもでもできる簡単な料理といえば「ゆで卵」や「目玉焼き」。
どちらも食と化学の関係を理解するには最適の料理です。
ほかにも化学の力が隠された料理はたくさんあります。
子どもの食育もかねて挑戦させてあげましょう!

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この記事のライター