2017年10月12日 公開

子どもを「いい子症候群」にしない子育ての4つのポイント

「いい子症候群」という言葉をご存知ですか?これは、大人の顔色をうかがい「いい子」にふるまう子どものことを言います。「いい子」なのは一見よさそうにも思えますが、実は問題をはらんでいることも。そこで、お子さまをいい子症候群にしないためのポイントを4つご紹介します。

「いい子症候群」という言葉をご存知ですか?これは、大人の顔色をうかがい「いい子」にふるまう子どものことを言います。「いい子」なのは一見よさそうにも思えますが、実は問題をはらんでいることも。そこで、お子さまをいい子症候群にしないためのポイントを4つご紹介します。

いい子症候群って?

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日本は、世界の中でも引きこもりなどの問題を抱える子どもが多いといわれています。この一因と考えられているのが「いい子症候群」です。

親の顔色を常にうかがい、親が望むいい子を演じている状態

「いい子症候群」という言葉は、テレビなどでも有名な「尾木ママ」が広めたといわれています。尾木ママ自身も、自分の娘を「いい子症候群」にしてしまったそうなのです。尾木氏はテレビ番組の中で、次のような自身の体験を紹介していました。

「長女がある日、嫌いなはずのチョコレートを大量に食べ、いつもは見ないテレビを一日中見続けた。不思議に思った尾木氏が理由を聞くと、『テレビを見なかったのも、チョコを食べなかったのも、親が喜ぶからだ』と長女は叫んだ」

教育評論家である尾木氏の長女ですらおちいってしまったいい子症候群。実は子育ての中で何気なく言いがちな言葉や、やりがちなしつけの中にも危険が潜んでいるのです。

いい子症候群になる原因とは?

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子どもがいい子症候群になる原因の多くは、パパママの態度や接し方にあるといわれています。では具体的にどういった接し方がいい子症候群を引き起こしてしまうのか、見ていきましょう。

親の喜怒哀楽が激しい

親が子どもに感情豊かに接することは、悪いことではありません。しかし、喜怒哀楽が激しすぎて感情的になることが多いと、子どもは親の機嫌をとろうといい子にふるまおうとすることがあります。特に感情に任せて子どもを叱りがちな方は注意が必要です。

子どもに無関心

親が子どもに無関心な場合、子どもは親に振り向いてもらうために必死になります。過剰にいい子でいることで、親の関心を引いて言葉をかけてもらおうとするのです。

子どもを褒めない

子どもはみなパパママのことが大好きで、「認めてもらいたい」「褒めてもらいたい」と感じています。褒められる機会の少ない子どもは自分に自信が持てなくなり、自分の希望を抑え込んで親の望むいい子であろうとします。

他の子どもと比べる

子どもにはそれぞれ個性があります。それはわかっているつもりでも、ついついほかの子どもと比べてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、これもいい子症候群の原因だといわれています。

子どもは頻繁に誰かと比べられることで、自信を失ってしまいます。他の子を基準にしてお子さまを見るのではなく、お子さま自身の個性や成長を認めることが大切です。

いい子症候群の特徴とは?

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ここまで見て、「うちの子は大丈夫だろうか……」と不安を感じた方もいるのではないでしょうか。いい子症候群の子どもに多く見られる特徴に当てはまらないか、お子さまの様子をチェックしてみましょう。

人からどう思われているか気になる

いい子症候群の子どもは自分に自信がないため、他人に評価してもらうことで自分の価値を確認しようとする傾向があります。そのため、必要以上に人の目や評価を気にしがちです。

自己主張が苦手

いい子症候群の子どもは、多くの場面で自分の意思ではなく親の意思を優先します。自分自身のしたいことを抑え込むことが多いので、逆に自己主張や素直な感情表現が苦手になります。

自己肯定感が低い

常に親の顔色をうかがい、親の期待に応えることに自分の存在価値を見出すのもいい子症候群の特徴。「ありのままで認めてもらえる」という認識が薄いため、自己肯定感も低くなりがちです。

指示がないと何もできない

何かを選択するとき、いい子症候群の子どもは「親が喜ぶほう」「親にとって都合が良いほう」を基準にします。自分で考えて行動する経験が少ないため、指示がないとどうしていいのかわからなくなってしまうのです。

一度凹むと立ち直れない

いい子症候群の子どもは自己肯定感が低いため、少しでも否定的なことをいわれると必要以上に落ち込んでしまうことも。

また、親の言う通りの行動をし続けているので失敗した経験があまりありません。家庭で失敗から立ち直るすべを学べないため、挫折からのリカバリーが苦手な傾向があります。

断るのが苦手、嫌と言えない

いい子症候群の子どもは常に親の求める反応を考えて行動しているため、人からお願いされたときや期待されたときにそれを自分から裏切ることができません。相手の反応が気になり、嫌とは言えなくなってしまうのです。

人に助けを求められない

いい子症候群になる子どもは、パパママが常に先回りをして手や口を出し、子どもが失敗する経験を奪ってしまっているケースが多いです。失敗したり行き詰まったりする経験に乏しく、どのように助けを求めればよいのかわからなくなってしまっています。

いい子症候群の子どもが成長したら起こりうる弊害

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いい子症候群の症状は、お子さまの人生にも大きな影響を与える可能性があります。いい子症候群の子どもが抱えうるリスクについても理解しておきましょう。

反抗期がない

いい子症候群の子どもの多くが、反抗期を経験せずに育つといわれています。「反抗期がないなんていいじゃない!」と思った方もいるかもしれません。しかし反抗期は、親とぶつかる経験を通して自分の意見を伝えるすべを学ぶなど、成長するうえでメリットも多いもの。反抗期がないと、上手に自己主張をすることができなくなるかもしれません。

不登校

いい子症候群の子どもは、親の前だけではなく学校でもいい子にふるまうことが多いです。常に周囲に気を張っていると、頑張りすぎてエネルギー切れを起こします。その結果登校そのものがつらくなってしまうことも。

アダルトチルドレン

「アダルトチルドレン」とは、機能不全家族の中で育った大人のことをいいます。アダルトチルドレンの方は、子どもの頃に親の関心を引くためいい子にしていたことが多いそう。

いい子症候群の子どもがすべて機能不全家族で育ったということではもちろんありません。しかし「いい子にしていた」という点は共通です。アダルトチルドレンと同じような生きにくさを抱える可能性は十分考えられるでしょう。

新型うつ

新型うつ病は仕事をすぐにやめてしまったり、仕事のミスを上司のせいにしたりするなどの問題行動が見られるのが特徴。上司にミスを指摘されるなどして自分の存在価値を見失うことで起こると考えられています。原因とされる自己肯定感の低さは、いい子症候群の子どもに見られる特徴です。

いい子症候群にしないための子育て!4つのポイント

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では、わが子をいい子症候群にしないためにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

ポイント1.叱り方に気をつける

子どもが何か悪いことをしたとき、パパママとしては当然叱ります。しかし、叱り方に注意をしないと、子どもがいい子症候群になることも。

子どもを叱るときは、決して子どもの人格を否定してはいけません。たとえば、「こんなことするなんて悪い子ね」「いうこと聞かない子は嫌い」など。このような叱り方は、子どもの自尊心を傷つけますし、「親に嫌われるかも」と不安にさせます。

また、頭ごなしに怒鳴りつけたり、たたいたりすることもよくありません。子どもは親から叱られることに敏感になり、「いい子」にふるまうようになってしまいます。

子どもを叱るときは、「~しちゃダメ」ではなく、「~した方がイイよ」と伝えることが大切です。とはいえ、イライラしてつい頭ごなしに叱ってしまうこともあるでしょう。そんなときは、気持ちが落ち着いてから「さっきはごめんね」とお子さまに伝えるようにしてくださいね。

ポイント2.子どもがやりたいことを自由にさせる

親は、心配のあまりついつい自分の意見を押し付けてしまうことがあります。でも、これでは子どもは自分の意見を言いにくくなります。

「ほんとはこっちが好きなのに」と思っても、つい親が喜ぶ方を選んでしまうのです。これが習慣化されると、自分の意見を持てなくなってしまうことも。

これを防ぐためには、お子さまの好きなことを思う存分させてあげることが大切です。筆者が以前児童精神科医から聞いた話の中に、「不登校を防ぐためには、子どもが好きなことを思う存分させることが大切」という言葉がありました。自分が好きなことを自由に、思う存分できた子どもは、自分に自信が持てるようになるのです。

「親がさせたいこと」ではなく、「子どもがやりたいこと」を優先させてあげましょう。

ポイント3.努力をほめる

子どもを褒めることはもちろん大切ですが、やみくもに褒めればいいというわけではありません。褒めるときに結果ばかりを強調してしまっては、「結果を出さないと褒めてもらえない」と子どもが感じてしまうことも。

これを防ぐためには、結果ではなく努力をしたことを褒めるのが大切です。「こんな点数を取ってえらいね」ではなく、「頑張ったんだね」と褒めてあげましょう。

どこが良かったのかを具体的に褒めることも効果的。たとえば子どもの絵を褒めるとき、「上手だね」ではなく、どこがいいと思ったのかを伝えましょう。

ポイント4.子どもが望む親になる

親はつい、「こんな子どもになって欲しい」と考えがち。しかし大切なのは、「子どもが望むような親になる」ことです。親が自慢できる子どもを育てるのではなく、子どもが自慢できる親になるよう、常に心がけるようにしましょう。

無条件で愛する気持ちが大切

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「何をしても大丈夫」と子どもが親のことを信頼し、安心して過ごせることで、いい子症候群は防ぐことができます。そのためには、子どものありのままを受け止め、無条件に愛することが大切です。お子さまと接するなかで、よくない言葉や態度をとっていないか振り返ってみましょう。

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この記事のライター