寒い冬を越すと、いよいよ待ち焦がれた春。店頭に新物が並ぶと、何だかウキウキしてきます。そこで「春に旬を迎える食べ物が主役」の絵本を選びました。旬の食材はうまみや栄養も豊富です。お子さまと一緒にお話を楽しみながら、目と心と舌で春を感じてみませんか?
たけのこ にょきにょき
著者 :いもとようこ(絵・文)
出版社 :至光社
なんと、たけのこが帽子をかぶったまま、にょきにょき大きく伸びてしまったのです。最後には広げると3ページ分にもなる、長~いたけのこが!小さなお子さまでもたけのこの変化が楽しめるようになっています。
たけのこは成長が早く、約10日(旬日)で竹になるといわれることから「筍」の字が当てられたそうです。年中水煮であれば入手できますが、4~5月の旬になると、スーパーにも茶色の皮をかぶったたけのこが登場しますよね。たけのこごはんにお吸い物、土佐煮といった春を彩るメニューをぜひいただきたいもの。
ゴールデンウィークのイベントには、たけのこ堀りもおすすめです。
そらまめくんのベッド
著者 :なかや みわ(作・絵)
出版社 :福音館書店
ふかふかで広くて……というベッドの描写はそらまめの「さや」そのもの。そしてほかの登場人物も、えだまめくん、グリンピースの兄弟、さやえんどうさん、ピーナッツくんと、食卓に並ぶお豆ばかりです。
ストーリーを通して、それぞれの「さや」のサイズや特徴を比べることもでき、まさに食育向け。絵本を読んだらぜひスーパーなどで登場人物たちを買ってみてください。特にそらまめは独特の苦みがあって苦手だというお子さまも多いようですが、こんな素敵なお話を読んだあとならきっと……!そらまめやグリンピースをさやから取り出すのも、お子さまのお手伝いには持ってこいですね。
物語の最後はそらまめくんのベッドでみんなが「おやすみなさ~い」。暖かくなって外で身体をたくさん動かした日の、ベッドタイムストーリーとしてもおすすめです。
よもぎだんご(ばばばあちゃん)
著者 :さとう わきこ(作)
出版社 :福音館書店
よもぎだんごをつくろう!と子どもたちと一緒にでかけるばばばあちゃん。よもぎだけでなく、なずな、よめな、いたどり、つくし、せりなど、いろいろな春の草の特徴や見分け方がイラストと絵本の言葉で紹介されています。
最後は摘んできた草をみんなで料理。ゆでたら水につけて苦味を抜いたり、ゴマをすって和えたり、丁寧におだんごをつくる過程は、見ているだけでも参加している気分に……。
読み終わると必ず、「よもぎだんごつくりたーい」と子どもたちからリクエストのでる1冊です。お団子やさんで草餅を買ってみるのもよいですね。絵本を読んでからだと、一層おいしく感じるのではないでしょうか。
また挿絵でも、咲き乱れた桜、タンポポに蝶などが描かれており、視覚的にも春を感じられる絵本となっています。
よるのさかなやさん
著者 :穂高 順也(文)/山口 マオ(絵)
出版社 :文溪堂
春が旬のお魚といえば、ホタルイカ、イイダコ、マダイ、サワラ、カツオ、アサリ、サクラエビなど。これらは、冬の時期に不足しがちなビタミンやミネラルを補ってくれる役割があるそうです。
「よるのさかなやさん」に登場するのは春のお魚ばかりではありませんが、マダイやタコが大活躍します。
普段はスーパーでお買い物をされているご家庭も、機会があればお魚屋さんをのぞいてみてください。旬のお魚が丸ごと並んでいる姿には、お子さまもきっと興味を持つのではないでしょうか。エプロンに長靴姿の魚のプロが、きっとおいしい食べ方などを教えてくれますよ。