2019年8月26日 公開

「縦割り保育」にはどんな効果がある?ねらいやメリット・デメリットを紹介

少子化や核家族化など、今の子どもたちを取り巻く環境は、私たちが子どものころとは変化しています。そんななかで注目を浴びているのが縦割り保育です。こちらの記事では、縦割り保育の詳細やメリット・デメリットをご紹介します。

縦割り保育とは?


縦割り保育とは、幼稚園や保育園などで年齢別ではなく、異年齢の子どもの集団で活動を行うことをいいます。異年齢保育などとよばれることもあります。「異年齢の集団でクラス編成をすること」というイメージがあるかもしれませんが、正確には活動のみを異年齢の集団で行うことも縦割り保育です。

0、1、2歳児と3、4、5歳児のクラスを分け、それぞれで縦割り保育を導入するなど、園によってやり方は異なります。筆者の子どもが通っていた幼稚園では、クラス分けは年齢別でしたが、自由遊びの時間やお買い物ごっこなどの行事の際に縦割り保育を取り入れていました。

縦割り保育は、モンテッソーリ教育の保育園や幼稚園で取り入れられていることでも有名です。また最近は兄弟姉妹の数が減少していることや、地域での子ども同士の触れ合いが少なくなってきていることなどから注目されています。

縦割り保育のねらい

shutterstock / Toby Howard

昔であれば、近所に住むさまざまな年代のお友だちが混ざり合って遊ぶ光景が一般的。そのなかで自然と、年上の子は年下の子のお世話をすることを学んでいました。年下の子は、そんなお兄ちゃんお姉ちゃんの姿を見て「自分も大きくなったらあんなふうになりたい」とあこがれていたものでしょう。

しかし上述のとおり、少子化が進むなど近年子どもを取り巻く環境が様変わりしています。日常生活のなかで、さまざまな年齢の子どもとかかわる機会は少なくなっているのではないでしょうか。

そこで保育園や幼稚園の縦割り保育が、年齢の違う子どもとの関わりを体験させることにつながります。人間関係の幅を広げ社会性を育てることが、縦割り保育の主なねらいです。

縦割り保育のメリット


縦割り保育には、子どものさまざまな面の成長を促す効果があるとされています。具体的にどういったメリットがあるのかご紹介しましょう。

社会性を育てる

縦割り保育を行うと、異なる年齢の子どもたちが同じ活動を行うことがあり、当然「年長児はできるけど、年少児には難しい」といった場面がたくさん見られます。そんなとき、年長児は自然と年少児の手助けをするようになるでしょう。

これは年長の子が、自分も年少だったときにお世話をしてもらった記憶があるため。自然と年少の子の面倒を見ることができるようになります。さらに子ども同士の活動のなかで、年長さんは必然的にリーダーの役割を担うことが多くなり、責任感が促されることも。この経験は今後の学校生活や、社会に出たときにも活かされるでしょう。

また小さい子どもは、ときに言うことを聞かなかったりわがままをいったりすることもあります。年長さんは自分の思い通りにいかない経験を積み重ねることで、上手な関わり方や協調性などを学ぶもの。逆に年少の子にとっては、お兄さんお姉さんはあこがれの対象となります。「あんなふうになりたい」という気持ちが頑張るモチベーションとなるかもしれません。

「やってみたい」という気持ちが育つ

きょうだいの下というのは、なんでも上の子どもの真似をしたがるもの。そのせいか「上の子よりも成長が早い」と感じることも多いのではないでしょうか。縦割り保育でも、これと同じ効果を期待できます。

縦割り保育では、年少の子にとって年長の子の姿はお手本。自然と年長児の活動に興味を持ち、「自分も早くやってみたい」と意欲的になるでしょう。しかも間近で活動を見ているので、見通しを持って取り組むことができ、その分飲み込みも早くなると考えられます。

人に教えることで深く理解する

縦割り保育のなかでは、遊びのルールなどを年長さんが年少さんに教える機会も多くあります。人に教えるとき、まずは自分がしっかりと理解していなければ上手に伝えることができません。そのため一つひとつのことを、より深く理解しようとするでしょう。

また人に教える経験を積むことで、自分の考えをまとめて言葉にする能力が養われることも。コミュニケーション能力も促されそうです。

違いを認めることができる

さまざまな年齢の子どもが集まっているため、能力的にも身体的にもそれぞれ違いがあります。これにより「違っていて当たり前」ともいう感覚を育てることができるでしょう。

この経験が将来的に、多様性に対応できる感覚につながるかもしれません。また能力の違いを認めて助け合うという経験から、思いやりの気持ちもはぐくむことができます。

能力に合わせた活動ができる

年齢で分けて活動を行う場合、その年齢の発達段階に合わせた活動を行うことがほとんどです。しかし同じ年齢でも、発達の仕方は子どもによってさまざま。早生まれの子どもの場合、月齢による発達の差が見られることもあるでしょう。

発達がゆっくりな子どもは、周囲と比べて自信を失い、コンプレックスを抱えてしまうかもしれません。逆に発達の早い子どもは「つまらない」と感じてやる気を失ってしまうことも。しかし縦割り保育の場合は、自分の発達段階に合った活動を行う機会が増えます。自分の能力に合った活動なら、より楽しく取り組むことができるでしょう。

縦割り保育のデメリット


縦割り保育には、多くのメリットがあることがわかりました。しかし一方で、保育士さんの負担が大きいなどのデメリットがあることも事実です。

安全面への配慮が必要

異年齢の集団での活動は、さまざまな危険が伴う心配があります。たとえば年少の子どもが年長の子どもの真似をして、思わぬケガにつながる場合もあるかもしれません。

筆者の娘が4歳、息子が2歳のときのことです。登り棒をすべりおりる娘の真似をし、息子も一緒にすべりおりようとしたことがありました。すぐに気が付いて事なきを得ましたが、縦割り保育は常にこういった危険と隣り合わせとも言えるでしょう。

また年長の子が年少の子のお世話をすることで、思わぬ事故が起こることもあります。保育園の場合なら、年長の子どもが赤ちゃんを抱っこするとき、落としてけがをさせてしまうリスクも否定できません。年長児が年少児にいじわるをしてしまう事例も多く、子どものストレスがたまることも。特に一人っ子の場合、異年齢の集団に慣れておらず余計にストレスを抱えやすくなると考えられます。

このことから同年齢の集団で行われる横割り保育以上に、保育士が子どもの様子をしっかりと見守る必要があるでしょう。また保護者の方も、変わった様子がないかお子さまの様子を観察することが大切です。

活動内容に工夫が必要

年齢の異なる子どもが一緒に活動する際、年少児に合わせた内容になると、年長の子どもは物足りないと感じます。年長に合わせた内容だと、年少の子どもには難しすぎてやる気を失うかもしれません。

そのため、どの発達段階の子どもも楽しめる保育内容を工夫する必要があります。また自由遊びの際、結局は同じ年齢の子どもが集まってしまうことも多いようです。そんなときは、保育者が上手に導くことが必要になります。縦割り保育の良さを活かせるかどうかは、先生の指導力にかかっているのかもしれません。

縦割り保育ではどんな遊びをするの?


さまざまな年齢の子どもたちが一緒に活動をする縦割り保育。そのなかで子どもたちは、どういった遊び方をしているのでしょうか?

年齢に関係なく楽しめるものが多い伝承遊びは、縦割り保育では特に大活躍します。子どもから子どもへ伝え続けられた背景から、小さな子どもも楽しめる単純な内容のものが多いのが特徴。子ども同士教えあいながら楽しむにはピッタリでしょう。ルールの簡単な鬼ごっこも、縦割り保育で楽しめる遊びのひとつです。

おままごとなどのごっこ遊びも、年齢にかかわらず楽しむことができます。年長の子が年少の子をリードしながら、お絵かきや粘土などの製作遊びを行うこともあります。

子どもが楽しく過ごせる園選びを

縦割り保育にはメリットがたくさんある一方で、デメリットもあります。モンテッソーリ園がこれを取り入れていることもあり、気になっているパパママも多いかもしれません。縦割り保育の園を選択するときは、メリット・デメリットのどちらも考慮しましょう。そのうえで、お子さまが毎日楽しく安心して過ごせそうな園を選ぶことが大切です。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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rinoyuzu rinoyuzu  はじめましてrinoyuzuです。高校生の娘と息子がいます。以前は教員をしていました。これまでの経験を活かしながら、記事を書いていきたいです。みなさまのお役に立てるとうれしいです。