2017年3月5日 公開

フランスのバカロレア・システムとは?

フランスでは高校卒業前に、「バカロレア」という卒業試験を受けます。毎年バカロレアの時期になると、テレビでその年の問題分析から結果発表まで、受験者たちの悲喜こもごもとともに伝えられます。日本のセンター試験のようですね。でも、その試験内容、実は日本の試験と全く違うのです。そんなフランスのバカロレアについて、現地からお伝えします。

フランスのバカロレアとは?

Photo gratuite: Livres, Étudiant, Étude - Image gratuite sur Pixabay - 1012088 (43333)

フランスの「バカロレア」とは、フランス教育省が全国一斉に行う、中等教育修了を認める国家資格。毎年、学年末の6月にフランス全土の高校生がこの試験を受けるのです。日本の高卒資格にあたります。
このシステムはなんと、1808年にナポレオン・ボナパルトによって導入されたもので、通称「Bac(バック)」と呼ばれており、2016年には87,9%の学生が合格しています。

バカロレアは、普通バカロレアと技術バカロレア、職業バカロレアに分かれています。一般的な普通バカロレアは、さらに科学系(通称 Bac S)、経済社会系(通称 Bac ES)、人文系(通称 Bac L)に分かれており、それぞれ試験内容や科目が異なります。ここでの選択が、その後の大学選びの基本になります。現状としては、優秀な学生はたとえ人文系に進みたくても、科学系を選ぶようです。

7日に渡るテスト期間

Photo gratuite: Livre Ouvert, La Bibliothèque - Image gratuite sur Pixabay - 1428428 (43334)

試験はなんと7日間にも渡って行われます。
それぞれの科目の試験時間は3時間から4時間です。

科学系、経済・社会系、人文系に共通して、まず第1日目は「哲学」。
第2日目は「歴史・地理」、第3日目は「第1外国語」。
第4日以降は、選択系統によって日程が異なりますが、共通科目としては「数学」と「第2外国語」があります。

高校卒業時にすでに2つの外国語の試験があるのと、哲学が必須科目だというのが、すごいですね!

話題になるのは第1日目の「哲学」!

Photo gratuite: Bustos, Filsofia, Aristote - Image gratuite sur Pixabay - 756620 (43363)

そしてフランスのバカロレアの名物であるのが、第1日目の「哲学」の試験。
毎年、今年のお題は何だ、と話題になります。

ちなみに2016年の試験内容は、以下の通りです。
それぞれの系統ごとに、3つの題目がありますが、この中から1つ選び、ひたすら4時間論証しなくてはいけません。

科学系

Travailler moins, est-ce vivre mieux?
労働の減少は、よりよく生きることを意味するか。

Faut-il démontrer pour savoir?
知のために論証は必要か。

Explication de texte : MACHIAVEL, Le Prince (1532).
以下のマキャベリ『君主論 (1532)』の抜粋を説明せよ。(問題文略)

経済・社会系

Savons-nous toujours ce que nous désirons?
人は常に自分が欲しているものを分かっているか。

Pourquoi avons-nous intérêt à étudier l’histoire?
人はなぜ歴史を学習する必要があるのか。

Explication de texte : René DESCARTES, Principes de la philosophie (1644)
以下のデカルト『哲学原理(1644)』の抜粋を説明せよ。(問題文略)

人文系

Nos convictions morales sont-elles fondées sur l’expérience ?
道徳的信条は経験に基づくのか。

Le désir est-il par nature illimité ?
欲望は本来際限がないのか。

Explication de texte : Hannah ARENDT, Vérité et politique (1964).
以下のハンナ・アレント「真実と政治 (1964)」の抜粋を説明せよ。(問題文略)

記述が多いバカロレア試験

Photo gratuite: Étude, Étudiant, Dictée, Stylo - Image gratuite sur Pixabay - 921885 (43335)

バカロレアには、解答選択や穴埋めなどはありません。
どの科目に関しても、記述式のものばかりです。

例えば歴史・地理の問題は、「第二次世界大戦以降の、中東と近東における紛争について説明せよ」というもので、これについて年号なども入れながら、論文形式で解答しなければならないのです。

バカロレアに合格すれば、どの大学にも入れる?!

Photo gratuite: Sorbonne, France, L'Université - Image gratuite sur Pixabay - 1868165 (43337)

フランスではこのバカロレアに合格すれば、希望のどの大学にでも入ることができます。
例えば日本で有名なソルボンヌ大学(正式にはパリ第4大学)も、実は誰でも入ることができるんです。フランスでは大学に入ることよりも、修了することが重要視されています。

またフランスのエリートは、バカロレアの後大学には進まず、2年間の準備課程を経て、大難関グランゼコールの入試をします。

考える力を重視するフランス

Photo gratuite: Jeune Fille, Pensez, Femme, Femmes - Image gratuite sur Pixabay - 1721432 (43436)

フランスのバカロレア・システム、いかがでしたか?
高校までの教育で子どもたちに求めているものが、日本とは違うような気がしますよね。

フランス人と話していると、ディベート力に圧倒されることがありますが、これは小さいときから養われてきた論理性のおかげなんです。

お子さまにも普段から、自分の意見を論理的に言う機会を与えることができたらいいですね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

3分でわかる知育マガジン「Chiik!」

RECOMMEND この記事を読んだあなたにオススメ

「考える力」を伸ばす!フランス生まれのボードゲーム5選

「考える力」を伸ばす!フランス生まれのボードゲーム5選

シンプルなルールのものが多く、小さなお子さまも気軽に楽しめるボードゲーム。知育玩具の面を期待するなら、フランスのボードゲームがおすすめです。遊びながら集中...
鉛筆は使わない?フランスの学校で使う文房具事情

鉛筆は使わない?フランスの学校で使う文房具事情

小学校に入学したら、筆箱に鉛筆を揃え、授業に備えて毎日きちんと削って……日本では普通のことですよね?お国が変わればそれもまた変わります。今回は、鉛筆ではな...
絵本「バーバパパ」でわが子が前向きに!その秘密とは……!?

絵本「バーバパパ」でわが子が前向きに!その秘密とは……!?

人気絵本&キャラクターのバーバパパ。カラフルな彼らは、体の形を自由に変えられるのが大きな特徴。川があったら橋に変身するなど、困難は知恵と工夫で解決!日常で...
フランスのベビーシッター事情……費用はいくら?

フランスのベビーシッター事情……費用はいくら?

子どもがいても、自分たちの時間を大切にするフランス。小さい子どもをベビーシッターに預けて、ママが働きに出たり、夫婦2人でデートしたりすることも一般的です。...
【子どもの叱り方】フランスでは子どもを「子ども扱い」しません

【子どもの叱り方】フランスでは子どもを「子ども扱い」しません

子どもが「夜泣きしない」「何でもよく食べる」などと、育児書で取り上げられることも多いフランスの子育て。では、叱り方についてはどんな方法がされているのでしょ...

KEYWORDS

WRITER

kaori kaori  在仏9年目、パリ在住。慶応義塾大学文学部卒業、フランスの大学院で日本語教育学を学びました。現在、フランスのラグジュアリー・ブランドに勤務しつつ、日本語学校を運営しています。現地からフランス流の子育て情報をお届けします!