2017年1月26日 公開

義務教育を自宅で?フランスのホームスクーリングの仕組み

最近話題になっているホームスクーリング。アメリカを中心に人気があるといいます。ヨーロッパでは、どうなのでしょうか?例えば、ドイツでは学校へ通うことが義務付けられていて、ホームスクーリングは禁止されています。フランスではどういったシステムになっているか、どのように捉えられているのか、現地からお伝えします!

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フランスのホームスクーリング・システム

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フランスでは6歳から16歳の子どもの義務教育が定められています。
この義務教育は通学だけではなくホームスクーリングも対象にしています。
地域的な事情によって学校へ通うことが難しい子どもや、障害を持つ子ども、また家庭の方針として学校へ通わないことにした子どもは、ホームスクーリングを選択することができ、国民教育省によって認められています。

フランスでも最近、徐々に注目され始めているホームスクーリング。
2008年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した「パリ20区、僕たちのクラス」で描かれているような学級崩壊が問題視されているため、公立学校教育に不安を抱える家庭がますます増えているという背景があります。

CNED 国立遠隔教育センター

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ホームスクーリングにはいろいろな方法があります。もっとも人気があるのは、国立遠隔教育セミナー、CNEDという生涯教育機関によって提供されているプログラムです。CNEDは、小学校・中学校・高校・大学・職業教育・教養教育において3000以上ものコースを提供しています。

CNEDのコースに申し込むと、教科書とそれに付属したCDやDVDが1年分送られてきます。このコースを子どものリズムに合わせて進めます。決められた提出日にインターネット上のプラットフォームに課題を送ると、先生によって添削されたものが返ってきます。この先生は、公立学校と同じ、教員資格を持った国家公務員。外国語のオーラルに関しては、子どもの声を録音して送ります。担任の先生というのも決まっていて、質問がある場合は電話などで聞くこともできます。

CNEDのプログラムの評判は良く、フランスでホームスクーリングを選択した子どもの約70%がCNEDを利用しています。

義務教育を無料の遠隔教育で!

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CNEDは国民教育省によって定められた、公立義務教育のカリキュラムに沿って通信教育を行っています。これはフランス国内にいながらも何らかの事情で学校へ通わない子どもや、フランス語学校のない外国に住むフランス人の子どもなどが、いつでも学校生活に戻れるようにするためです。また難読症などの障害を持つ子ども向けの特別プログラムなども用意されています。

体育に関しては、公立のスポーツ施設で行われているクラスに参加できるようになっています。

国民教育省のコントロール

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ホームスクーリングを選択し、CNEDの通信教育を受けていない子どもに関しては、毎年市役所に報告をすることが義務付けられており、市役所職員による家庭訪問が行われます。
この家庭訪問では、子どもの学習環境と前年の成績と比較した進歩度がチェックされます。

フランスのホームスクーリング

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フランスでホームスクーリングを行っている子どもは2万人程度に過ぎず、一般に受け入れられているとはいえません。共働きの家庭が多いフランスでは、ホームスクーリングの家庭負担が指摘され、また子どもの社交性を妨げるのではないかという意見もよく耳にします。

とはいえ、その人数は近年増加傾向にあります。これは、学級崩壊やいじめという社会問題がフランスでも注目されている結果だといえます。

CNEDを利用すれば、世界中どこにいても、自宅にいながらフランスの公立学校と同じカリキュラムで義務教育を受けることができ、国に認められているというのは便利なシステムですよね。

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フランソワ・ベゴドー, ラシェル・レグリエ, エスメラルダ・ウエルタニ, フランク・ケイタ, カルル・ナノール, リュシー・ランドロヴィー, ローラン・カンテ
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

kaori kaori  在仏9年目、パリ在住。慶応義塾大学文学部卒業、フランスの大学院で日本語教育学を学びました。現在、フランスのラグジュアリー・ブランドに勤務しつつ、日本語学校を運営しています。現地からフランス流の子育て情報をお届けします!