2017年1月30日 公開

ヨーロッパの外国語教育、複言語主義とは?

英語などの外国語、ずっと勉強してきたのに、なかなか自信が持てないという方が多いのでは?子どもには語学に自信を持たせたいと思っているご家庭も多いでしょう。ヨーロッパに住んでみると、エリートでなくても3カ国語、4カ国語を話せるという人がたくさんいます。そんなヨーロッパの外国語学習について、フランスからお伝えします。

実は外国語が苦手なフランス人

フランスに旅行して、英語で話しかけるとフランス語で返事される…なんて話をよく聞きますよね?筆者はパリに住んでいますが、これは実際によくある話です。

フランス人がフランス語に自信を持っているからだ、と言われていますが、筆者はそれだけではないと思います。実は、フランス人は英語を含めた外国語に自信がない人が多いのです。フランス人たちと外国語について話すと、日本人並みの外国語コンプレックスを持っていることが分かります。

そんなフランスでも、2001年に始まったヨーロッパ共通の外国語学習システムの中で、2008年以降は小学校1年生から外国語教育を始め、高校卒業後には最低でも2つの外国語を使えるようになろうという目標が、国民教育省によって定められました。

ヨーロッパの外国語教育

ヨーロッパ評議会は外国語教育の習得状況を示す、ヨーロッパ言語共通枠(CEFR)というものを2001年に作りました。これによって、ヨーロッパのあらゆる言語の習得レベルが共通化され、より明確になりました。

A1・A2・B1・B2・C1・C2というレベル分けを見たことがありますか?このレベル分けは、ヨーロッパ言語共通枠を使っているんです。

英語やフランス語だけを重要視するのではなく、全ての言語を平等に扱っている、というのが新しい考え方です。

複言語主義って何?

このヨーロッパ共通の言語学習で提案されているのが、「複言語主義」。これは、ひとりの人間がいくつもの言語を、相手や場合によって使い分けている、という考え方です。

例えばフランスでは、両親とはアラブ語で、学校ではフランス語で、仕事では英語でコミュニケーションをとる、というような人がたくさんいるからです。それぞれの言語を使ってできる能力を認めようという考え方なのです。

日本に住んでいても、幼稚園では日本語で、プリスクールでは英語で、友達とは片言の中国語で会話ができる子どもは、立派な複言語主義を実現している子どもだと言えます。

ネイティブのように話せなくてもいい?

複言語主義では、ネイティブのように話すことを目指していません。それよりも、「その言語を使って何ができるか」、ということに注目しています。

ヨーロッパでは3カ国語、4カ国語を話せる人も少なくありません。筆者は8カ国語話せる人に会ったこともあります。彼らに共通して言えるのは、発音の良さなどにこだわっていないということです。言語はコミュニケーションのための、「ツール」にすぎませんから、それを使って何かを伝えたり、何かが分かれば、それだけでも素晴らしいことなのです。

行動をする中で言語学習♪

こういった考え方に基づいた外国語教育では、「行動をする中での言語学習」が大切だと言われています。ひたすら文法などを勉強するような往来の方法ではなく、バランスのよい「使える」言語学習が重要なのです。

例えば、英語を使ってインターネットで何かの情報を探すことができれば、これも一つの外国語能力です。韓国語や中国語で観光客に挨拶ができることも、一つの能力なのです。

いい点数をとるため、試験に合格するための外国語ではなく、それを使って実際の生活で何ができるか、というのが大切なのです。外国語のレベル判定は、現在自分がその言語を使って何ができるかを知るためにあり、高いレベルの証書をもらうためのものではない、というのが根底の考え方としてあります。

外国語を使って「できる」ことを増やそう!

では実際に、親は子どもにどんな環境を提供してあげられるでしょうか。

外国語のアニメや映画を見せるのも一つの方法でしょう。外国語を理解することができるようになります。
いろいろな言語を使う家庭と交流させることもいいかもしれません。いくつもの言葉を使うことへの精神的ハードルを下げることができます。
海外旅行で積極的に子どもに質問などをさせるのも、「コミュニケーションができた!」という自信をつけてあげることができるかもしれません。

その際、「こんなことができるんだね!」と褒めてあげてください。「できる」というポジティブなイメージが子どもの外国語学習への自信につながります。

外国語学習へのプレッシャーをなくそう!

ヨーロッパの外国語学習で重視されている「複言語主義」、いかがでしたか?

「できる」能力を評価したり、行動しながら学んだり、お子さまの外国語教育を行う上で、ポジティブな力になるアイデアがたくさんあるのではないでしょうか。

現在フランスの子どもたちが外国語を使用するのに自信を持っている姿をみたとき、外国語に自信がなかったり、発音が気になったりするのは、受けた教育によるものなのだな、と実感します。教育方針によっては、自信を持って外国語を話せる子どもを育てることができるのです。

ヨーロッパとは地理的事情も違う日本ですが、参考にできるアイデアは積極的に取り入れていきたいですよね!
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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kaori kaori  在仏9年目、パリ在住。慶応義塾大学文学部卒業、フランスの大学院で日本語教育学を学びました。現在、フランスのラグジュアリー・ブランドに勤務しつつ、日本語学校を運営しています。現地からフランス流の子育て情報をお届けします!