子どもの自制心の有無を知ることができる「マシュマロ・テスト」をご存じですか?「マシュマロ・テスト」とは、4歳児の幼児を対象とした心理テスト。子どもの自制心を測ることで、将来成功ができるか予測することができます。テストの結果や正しいやり方をご紹介します。
マシュマロ・テストとは?
マシュマロ・テストとは、1960年代にスタンフォード大学の心理学者であるミシェル博士が作った、幼児向けの心理実験です。
4歳児を対象に、「目の前のマシュマロを15分間食べるのを我慢できたら、2個にしてあげる」といって立ち去り、その子が我慢できるのかをみるというシンプルなテストです。
このテストでは「目の前の欲求を我慢することで、将来の大きな成果を得る」ことを考え、実行できるかどうかが見られています。
標準的な結果は、3人のうち2人が15分間待てずに食べてしまうとのこと。4歳児ですから納得の結果ですが、我慢ができた3人のうちの1人は、その後の人生で成功をおさめやすいという検証結果が出ており、今注目されているテストです。
目の前を欲求を我慢できた子どもはどうなった?
さらに注目すべき点は、幼児期の自制心の有無が、大人になってからも変わらない結果になったということ。テストでマシュマロを食べなかった子どもは、生涯にわたって周囲から「優秀」という評価を受けやすいことがわかっています。
実験の18年後、SAT(大学進学適性試験)での成績で大きな差が出ている以外にも、社会的成功をおさめるケースが多かったようです。
マシュマロ・テストは、簡単な「自制心」を見る心理テストですが、その後の人生に大きくかかわる指標を得ることができます。
自制心・セルフコントロールができる子どもとは?
マシュマロ・テストによって自制心の有無が明らかになりますが、「自制心=我慢ができる力」のこと。我慢強く、セルフコントロールができる子というのは、先のことを考える能力を持っているともいえます。
しかし、いきなり「我慢をしなさい」といわれて、理不尽な我慢をできる子どもはなかなかいません。「なぜ我慢をするのか」「我慢したらどうなるのか」という理屈を考えられるのは、普段から小さな我慢をし慣れている子どもです。日頃から、自制心を鍛える練習が必要です。
生活のなかで我慢が必要な場面は、多いもの。そこで、我慢ができたときは大人がしっかりとお子さまをほめてあげてください。「あなたが我慢できたから○○だったよ」「えらかったね」と言ってあげることが、自制心の芽生えにつながります。
マシュマロ・テストの正しいやり方
マシュマロ・テストは特別な道具が必要ないため、自宅でも試すことが可能です。正しいやり方をチェックして、テストを行ってみましょう。
【準備】
・机や机の周りにおもちゃを置かない。
・子どものおなかの状態を空腹でも満腹でもないようにしておく。
【方法】
1. 机の上のお皿にマシュマロを1つのせた状態で、子どもをいすに座らせ、次の3点を伝える。
「15分間このマシュマロを食べなかったら、もう1つのマシュマロをあげる」
「食べたら、2つ目のマシュマロはあげられない」
「用事があるから、ここで待っていて」
2. 子どもの様子を観察する。
何分で食べたか、どのように気を紛らわせているかなどを気づかれないように、チェックしてみましょう。その後の子どもへの接し方の参考になるはずです。
マシュマロ・テストの人気書籍の紹介
タイトル:マシュマロ・テスト――成功する子・しない子
著者:ウォルター・ミシェル(著)、柴田 裕之(訳)
出版社:早川書房
マシュマロ・テストの生みの親、ミシェル博士の訳本です。実験対象となった子どもたちを、50年にわたって追跡調査。マシュマロ・テストの結果と子どもの将来に、どのような関連性があるかを考察しています。マシュマロ・テストについて、より深く知ることができる1冊です。
成功できる大人になるために
自制心やセルフコントロールの方法を学ぶことは、人間関係や仕事、勉強とあらゆる場面で重要です。マシュマロ・テストをきっかけにして、お子さまと一緒に、大人も自制心の訓練に取り組んでみましょう。
日常のなかの「小さな我慢をする」「決めたことを毎日実行する」「自分を客観的に見る練習をする」という積み重ねが、お子さまの自制心を育てます。パパママが、日ごろから子どもにとってお手本となるような行動をとりたいものです。