2018年5月20日 公開

メキシコってどんな国?神話や食生活からメキシコを知る絵本3選

飛行距離12,000km。日本への直行便としては最長距離にある場所、それがメキシコです。地理的にみて、はるか遠くにあるメキシコですが、映画『リメンバー・ミー』の大ヒットで身近に感じる機会も増えたのではないでしょうか?そんなメキシコを親子でもっと知って楽しむための、絵本3選をご紹介します。

アステカ時代より続く神話を絵本に

うさぎのみみはなぜながい (日本傑作絵本シリーズ) | 北川 民次 |本 | 通販 | Amazon (93999)

タイトル:うさぎのみみはなぜながい
著者:北川民次(文、絵)
出版社:福音館書店
小さくて、弱い自分の体を大きくして欲しい―。そうお願いしたウサギに神様が課したのは「トラ、ワニ、サルを殺して、皮をはいで持ってくる」という試練でした。「それができたなら願いを叶えてやろう」と言われ、ウサギは知恵を絞って自分より大きく強く、そして賢い獣たちをだまし、神様のもとへ皮を持っていきます。

それを見た神様は「知恵のある者に、大きな体と力を与えてしまうと恐ろしいことになる」と考え、ウサギの耳だけを長くした、というお話です。

扉には「これはメキシコがまだ、ナオワの国といった時代の、おおむかしの物語です」とありますが、「ナオワ」すなわち、ナワはいわゆるアステカ時代の中心となった民族のことで、このお話が、アステカの民話をベースにしていることがわかります。

メキシコ・ルネサンスを肌で感じた著者の力強い絵にも注目

著者の北川民次氏が、メキシコに渡ったのは1923年。折りしもメキシコ壁画運動(メキシコ・ルネサンス)が、高まりを見せていた時代でした。

壁画運動の担い手であったディエゴ・リベラ(日本でも人気のある女性画家、フリーダ・カーロの夫)、ホセ・クレメンテ・オロスコ、そしてダビッド・アルファロ・シケイロスに共感、交流のあった北川民次の絵は、骨太で迫力があります。

メキシコを愛した作者の創作民話

ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん (日本傑作絵本シリーズ) | 清水 たま子, 竹田 鎭三郎 |本 | 通販 | Amazon (94000)

タイトル:ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん
著者:清水たま子(文)、竹田鎭三郎(絵)
出版社:福音館書店
メキシコにある海辺の国、ウワベ国とチョンタル国。隣同士、長い間いがみあい、戦争を続けていたせいで国は荒れ放題。争うことに疲れ切ってしまった人間たちは、神様にアドバイスを求めにいきました。

そこで「それぞれの国から1人、娘を差し出して、相手の国の若者に嫁がせるべし」との信託をうけた両国が差し出したのは、ワニとハチドリでした-。

絵本としては、かなりのボリュームがあるこちらの作品は、27年間メキシコで暮らした作者が、村に伝わる民話をベースに創作したものです。

かつてのチョンタレスとウアベスが住んでいた地域、現在のオアハカ州サン・ペドロ・ウアメルーラ市では、市長がワニと結婚式を挙げるという儀式が、お祭りの一貫として今でも執り行われているそうです。

色彩溢れる絵本は、カバーをはずしても秘密が…

絵を担当するのは、竹田鎭三郎氏。前述の北川民次氏に憧れ、1963年に渡墨しました。

現在、半世紀以上にわたりメキシコで活動する氏は、岡本太郎の「明日の神話」現地制作にも携わった画家です。

このボリュームの絵本をまだ読むことのできない年齢でも、その色彩豊かで、メキシコの神話的アイコンにあふれた絵を見るだけでも、刺激になるのではないでしょうか。

実はこの絵本、カバーをはずすと秘密があるのです……。こちらもお見逃しなく。

ユネスコ無形文化遺産・メキシコ料理を知る絵本

メキシコのごはん (絵本 世界の食事) | 銀城 康子, 高松 良己 |本 | 通販 | Amazon (94001)

タイトル:絵本 世界の食事 メキシコのごはん
著者:銀城 康子(文)、高松 良己 (絵)
出版社:農山漁村文化協会
メキシコ料理と聞いてぱっと思い浮かぶのは、タコス……!そういう方も多いでしょう。でもタコスって、和食でいう「おにぎり」みたいなものなのです。

和食に先駆けること2010年に、ユネスコ無形文化遺産にも選ばれているメキシコ料理は、プレヒスパニックとスペインの食が融合した、実に豊かなもの。そのメキシコ料理を管理栄養士である著者が、子ども向けにわかりやすく説明した絵本です。

メキシコ料理の基本であるチレやとうもろこし、豆食の歴史から「日本と違って、昼をしっかり食べて夜は軽く食べる」といった食生活の違い、さらには代表的かつ手軽に作れる料理のレシピを掲載しています。

読んだあとに、お子さまと一緒に実際に食べて知る楽しみもあるのではないでしょうか。

絵本でメキシコに触れる

メキシコ在住者から、メキシコを知っている人でも知らない人でも楽しめる絵本を紹介しました。今回、取り上げた3冊を通じて、メキシコの魅力を知っていただく機会になればうれしいです。ぜひ親子で、楽しんでみてくださいね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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LOA

WRITER

Mariposa Torres Mariposa Torres  メキシコシティ在住9年目。メキシコ人の夫、娘、2匹の猫と一緒に暮らしています。現地日本語・スペイン語フリーペーパーの編集長を経て、現在は企業勤めのかたわら、フリーライター。タコスやテキーラ、太陽サンサン…でも世界でもっとも危険な国!?というメキシコのステレオタイプなイメージを変える、そんな楽しい現地レポートをお届けします。