東京大学の開一夫教授と出版社のディスカヴァー・トゥエンティワンが共同で開発した「あかちゃん学絵本」は、刊行半年でシリーズ累計5万部のベストセラーになっています。その開教授と編集担当の堀部直人さんに、絵本の開発秘話や読み聞かせの効果について伺いました。
あかちゃんが選んだ本「あかちゃん学絵本」とは?
この「あかちゃん学」絵本の誕生秘話や、どういった研究がされていたか、またあかちゃんへの読み聞かせについて開教授と編集担当の堀部直人さんにお話をお聞きしてきましたのでご紹介します。
世界初!あかちゃん自身が選んだ本当に好きな絵本3選 – Chiik! – 3分で読める知育マガジン –
「あかちゃんが本当に好きな絵本」はこうして生まれた
「保育士になりたかった」というほどあかちゃんが好きという開教授は、以前から「あかちゃん向け」と謳った絵本を見て、それはあくまで大人が「あかちゃんが好きそうな絵」を選んだもので、本当にあかちゃんの好みかどうかわからない、と感じていたと話します。
そこで、実際に複数の絵をあかちゃんに見せて、あかちゃん自身に好きなものを選んでもらうという絵本作りのプロジェクトをスタートさせました。
あかちゃんはいろんなことを考えている!?
「あかちゃんだから、キョロキョロと周りを見て集中しないんじゃないかと思っていたんですが、意外とじーっと絵を見つめ続けるのでびっくりしました。しかも、アイトラッキングのデータを見ると、ちゃんと顔のあたりを集中して見ているんですよ」
「月齢が高くなると、もういろいろなものを見たり聞いたりして学習しているので、それぞれの好みが分かれてくるのかもしれません」(堀部さん)。
お話を伺って、言葉で明確な意思表示をしていなくても、あかちゃんなりにいろいろなものを見て、考えて、どんどん吸収しているということがよくわかりました。
読み聞かせはいつからはじめればいい?
「泣いているときに『もいもい』を見せたら笑顔になった」(月齢1カ月)
「普段はすぐに飽きてしまうのに、『モイモイとキーリー』には声を出して反応した」(月齢6カ月)
「絵をじっと見て、楽しそうにしていた」(月齢8カ月)
やはり「あかちゃんが選んだ絵」だからなのか、とても反応がいいようですね。
開教授によれば、「読み聞かせは2~3カ月ぐらいからはじめてもいいと思います。言葉の意味は理解していなくても、一緒に絵を見ながら親が語りかけるというコミュニケーションを通して、あかちゃんは『楽しい』と感じているはずです」
コミュニケーションの機会が増えることで、子どもの語彙が増えたり、コミュニケーション能力が高まるといった効果も期待できるそうです。
どんな絵本を読めばいいの?
「まだ言葉を理解する前の小さな赤ちゃんには、絵が中心の単純な絵本が向いていると思います。そして、少しずつ言葉を覚えてきたら、ストーリー性のあるもの、言葉中心の絵本に置き換えていくといいでしょう」
いろいろなタイプの絵本を見せて、わが子の好みを探ってみるのも面白そうですね。
地域の図書館などに足を運んでみると、おすすめ絵本のリストが置かれていたりします。また、図書館のホームページに「こどもページ」を設けているところも多く、年齢別のおすすめ本が紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。
子どもにとっての絵本は音楽のようなもの
「でも、大人だって好きな音楽はくり返し聞きたくなりますよね。子どもにとっての絵本は、それと似ているような気がします」と開教授。
なるほど、そう考えると、読み聞かせは子どもにとって、単に楽しいとか面白いだけじゃなく、とても心地のいいものなのかもしれません。
ですから、親の方もあかちゃんの表情を見ながら、読み方を変えてみたり試行錯誤することも大切です。
「あかちゃんが本当に好きな絵本」で、読み聞かせの心地よさを一緒に味わってみてはいかがでしょうか。