2018年12月10日 公開

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)とは?日本の結果は?

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)ってご存知ですか?これは理数系教育の各国の到達度をはかる、国際的な調査です。では世界的にみると、日本の理数教育の実力はどの程度なのでしょうか。2015年のTIMSSの結果から、日本の理数教育の成果や課題をご紹介します。

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)って?

国際数学・理科教育動向調査は、国際教育到達度評価学会(IEA)が4年に一度行っている、算数・数学、理科の各国の到達度を国際的に調査するものです。英語では「Trends in International Mathematics and Science Study」といい、一般的には「TIMSS」と呼ばれています。

この調査は1964年から行われ、1995年からは4年ごとの調査になりました。日本も毎回参加しています。なお調査対象年齢は、日本では小学校4年生と中学校2年生。TIMSSの目的を、文科省は以下のように説明しています。
初等中等教育段階における児童・生徒の算数・数学及び理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、児童・生徒の学習環境条件等の諸要因との関係を分析する。

2015年の日本の結果は上々

次回の調査は2019年となっています。そこで気になるのが前回2015年の結果です。結論から言うと、日本の結果は上々でした。この結果を受け、当時の文部科学大臣は以下のように述べています。
今回の調査結果によると、我が国の算数・数学、理科の結果は、比較できる範囲で最も良好な結果であり、国際的に見ても引き続き上位に位置するとともに、小中学生の算数・数学、理科の意識についても改善が見られることが分かりました。

これは、各学校や教育委員会において、「確かな学力」を育成するための取組をはじめ、学校教育全般にわたり教職員全体による献身的で熱心な取組が行われてきたことの成果であると認識しています。

文部科学省としては、児童生徒の学力を引き続き維持・向上を図るため、現在検討している次期学習指導要領においては、学習内容の削減はせず、知識・技能と思考力・判断力・表現力等をバランス良く着実に育むことができるよう指導の改善・充実を図るとともに、時代の変化に対応した新しい教育に取り組むことができる「次世代の学校」指導体制の実現に必要な教職員定数の充実を推進してまいりたい。
2015年の調査に参加したのは、小学校は50の国・地域の子ども約27万人、中学校は40の国・地域の子どもたち約25万人でした。日本は小学校は148校の約4,400人、中学校は147校の約4,700人が参加しています。

日本は小学校も中学校も、理科、算数・数学ともに平均点が上昇しました。またどちらの教科も上位5カ国に入っています。詳しい順位は以下の通りです。

小学校・算数
1位 シンガポール
2位 香港
3位 台湾
4位 韓国
5位 日本

中学校・算数
1位 シンガポール
2位 韓国
3位 台湾
4位 香港
5位 日本

小学校・理科
1位 シンガポール
2位 韓国
3位 日本
4位 ロシア
5位 香港

中学校・理科
1位 シンガポール
2位 日本
3位 台湾
4位 韓国
5位 スロベニア

このように、テストの得点を見ると結果は上々です。しかしいいことばかりではなく、課題も浮き彫りになりました。

なお、詳しいTIMSSの結果は以下で見ることができます。

外国と比べ課題も浮き彫りに

TIMSSにおいては学力調査だけではなく、子どもの意識調査も行われます。その結果「算数・数学が楽しい」と答えた子どもの割合は、増えているものの国際的な平均には及びません。そして「得意だ」と答える子どもの数は、あまり増えていませんでした。

理科に関しては、小学校では「楽しい」「得意だ」ともに増えており、さらに国際平均を上回っています。しかし中学校になると、理科を「楽しい」と答える子どもは増えてはいるものの、国際平均を下回りました。「得意だ」と答える子どもは国際平均を下回り、前回より割合も減っています。

特に中学生の理数教育へのモチベーションが低いということが、日本の課題といえそうです。これは小学校では実験や観察などが多く、扱われる題材も昆虫や植物など身近なものがほとんど。そのため関心を持ちやすく楽しんで取り組めるのでしょう。

しかし中学生になると、どうしても「受験のための勉強」という側面が強くなってしまいます。また扱う内容自体もグッと難しくなるもの。そのため意欲を失いやすいのかもしれません。

また日本の理数教育では、以下のような課題も指摘されています。

・知識・理解に偏重しがち
・実験の結果を分析したり考察したりすることが苦手

これらは中教審の答申のなかでも触れられている課題です。これらをふまえて現在、理数教育を改善していこうという動きがあります。

今後の理数教育はどうなるの?

今後の理数教育は、知識偏重にならず、実験や観察などを多く取り入れるとされています。そのために高校では「理数探求」という教科が新たに設けられることとなりました。

筆者の息子の高校では、実験的に2017年から始められています。高1のときはグループでテーマを決め、課題について調べたことをまとめて発表しました。高2では個人で探究活動。それぞれ好きなテーマを決め、それについてひとりで調査をしてまとめます。

自分で考えたり、その考えをまとめて発表したりする力が求められているのでしょう。理数教育に限らず、今後はすべてにおいて「考える力」や「考えを表現する力」などが重視されていきそうです。

理数系分野への関心を高めるかかわりを

2017年の「フォーブスジャパン」に、「アメリカの情報サイトの調査結果によると、最も金になる専攻分野はコンピューター、数学、工学関連」といった記事が掲載されました。しかし日本では2018年現在、大学入試において文系学部のほうが人気が高いという結果に。これにより、理系の人材不足も叫ばれているのが現状です。

理数系科目は、得意不得意が大きく分かれる科目でもあります。しかし小さなころからの積み重ねにより、「好き」にさせることはできるかもしれません。

お子さまがまだ小さいパパママは、お子さまの理数系の好奇心を促すかかわりを意識してみてはいかがでしょうか。お子さまの将来の選択肢が広がるかもしれません。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

rinoyuzu rinoyuzu  はじめましてrinoyuzuです。高校生の娘と息子がいます。以前は教員をしていました。これまでの経験を活かしながら、記事を書いていきたいです。みなさまのお役に立てるとうれしいです。