2018年8月16日 公開

イギリスのグラマースクールって?メイ首相の教育政策で再注目!

イギリスのグラマースクールは、日本でいう公立の進学校です。私立に行かずとも大学進学への道が開かれるということで、人気を集めています。しかしこのグラマースクール、イギリスでは常に議論の的となっています。グラマースクールとは、いったいどのような学校なのでしょうか?

グラマースクールって?

「グラマースクール」は、日本でいう公立の中学校・高校にあたります。入学には選抜試験があり、進学校として知られています。

もともとは、大学進学に必要なラテン語の文法を教えるための学校でした。それが、1944年に制定された教育法により、進学校として位置づけられることに。それ以来、学力試験による選抜が取り入れられるようになりました。

ちなみに、イギリスのメイ首相、サッチャー首相がグラマースクール出身として有名です。

パブリックスクールとグラマースクール、学費の差は?

グラマースクールには、裕福ではない家庭の子にも、有名大学進学の機会を与えるという目的があります。では、パブリックスクールとグラマースクールの学費には、どれくらいの差があるのでしょうか。

パブリックスクールは、平均すると年間1万6,000ポンドかかるといわれています。日本円にすると年間約236万円ほど。学校によっては、もっとかかるところもあります。日本の私立学校以上に、お金がかかることが多いようです。そのためパブリックスクールに通う子どもは決して多くなく、そのほとんどが上流階級の子どもです。

一方、グラマースクールは、公立なので原則無料です。

グラマースクールの受験って?

イギリスのグラマースクールを受験する子どもは、日本で中学受験をする子どもと同じように受験対策を行います。

グラマースクールに入学するためには、「イレブン+」という試験を受けなければなりません。この試験は、新卒採用試験などでよく使われる「SPI試験」と似ているようです。そのため、基本的には対策を行わなくてもできるとされています。しかし、ほとんどの子どもが塾や家庭教師など、何らかの対策を行っています。なかには試験対策のために、私立小学校に入学する子どもまでいるそうです。

しかし、日本と少し違うのが、イギリスでは小学生が受験勉強をすることに懐疑的だというところです。そのせいか、「勉強漬け」にされる子は少なく、遊びや趣味などの時間もしっかりととられています。

テリーザ・メイ首相がグラマースクールに注力

イギリスは、日本と違い「階級社会」が根強く残っています。そのため以前は、パブリックスクールに通うことができる裕福な家の子どもしか、名門大学に行くことはできませんでした。もともとそういった格差解消のために、「グラマースクール」はできました。

しかし実際のグラマースクールには、お金のある中流階級以上の子どもが多く集まりました。このままでは階級分断が一層強まると懸念。1998年には新設が禁じられ、地域によっては、グラマースクールを廃止したところもあります。

しかしイギリスのメイ首相は、グラマースクールの復活を政策として打ち出しています。自身もグラマースクール出身だったメイ首相。貧困層の学力を底上げし、社会的移動の機会を与えたいとの思いが強いのかもしれません。

そのため、これまでのグラマースクールとは違い、貧困層家庭に一定の入学枠を設けることを検討しているそうです。

イギリス国内では反対意見も

しかし、イギリス国内には反対意見が多くあります。もともと「階級分断を強める」と考えられ、減少したグラマースクール。それを復活させようというのですから、風当たりが強くなるのも当然といえば当然かもしれません。

実際、ビジネス誌「The Economist」では、「このやり方は社会的流動を損なうものだ」と批判しています。このほかにも、さまざまなメディアで「社会的移動が可能になるのか」「階級分断を強めるのか」といった視点で意見が交わされています。 

なお、「小学生に受験をさせること自体がどうなのか」「競争をさせることはよくない」といった意見もあるようです。

お子さまの教育選択のヒントに

日本も現在、大学受験制度が変わるなど、教育の転換期にあります。お子さまの教育について、どうすればよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。そんなとき、諸外国の受験事情などを調べてみると、お子さまへの教育を選択するためのヒントとなるかもしれませんね。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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rinoyuzu rinoyuzu  はじめましてrinoyuzuです。高校生の娘と息子がいます。以前は教員をしていました。これまでの経験を活かしながら、記事を書いていきたいです。みなさまのお役に立てるとうれしいです。