街がクリスマス・デコレーションで彩られる11月下旬。カナダ・ケベック州の子たちが待っているのは、サンタクロースだけではありません。サンタのおもちゃ工場を飛び出した小人が家に来るのも待っているのです。ケベック州の子どもが胸躍らせるクリスマス前の習慣を紹介します。
サンタクロースの小人がサンタ村から逃げ出した?
筆者がこの習慣を知ったのは、息子が小学1年生のときのこと。学校から帰ってきた息子が突然「小人を捕まえたい!」と言いだしたのです。「小人がポテトチップスの袋でパンツを作ったんだって」と友達から聞いた話を興奮気味に話す息子。筆者は、何のことなのか全く分かりませんでした。そこで、さらに息子に話を聞いてみると、何人ものクラスメイトが小人を捕まえたとのこと。これはわが家でも小人を捕まえなくては……と小人について調べたのでした。
小人を捕まえる習慣のはじまりは?
はじまりは、2007年のこと。ケベック州の北部にある小さな街、ラック・ア・ラ・クロワに住むレジ・トランブレーさんというおじいさんが、サンタのお手伝いをする小人の話を孫たちにしたそうです。
「北国のサンタクロースのおもちゃ工場では、たくさんの小人たちが世界中の子どもたちのために1年中おもちゃを作っているんだ。そして、クリスマスプレゼント用のおもちゃ作りが終わった小人たちは、クリスマスまではお休み。すぐにおもちゃ工場を飛び出して、ケベックまで歩いてやってくる。それから、いろいろな家に忍び込んでいたずらをするんだよ……」
そう話をしたあと、トランブレーさんは小人を捕まえる罠を仕掛けて、孫に小人を捕まえてあげたそうです。
イタズラ好きの小人はどうやって捕まえる?
まず、バケツを棒で支えて小人が入れるように持ち上げます。そして、バケツの下に小人が大好きなクッキーやチョコレートを置いておびき寄せるのです。小人が罠の中に入ると、棒が倒れて小人はバケツの中に閉じ込められる仕組みです。
夜の間は、自由に動き回ってイタズラをするという小人。けれども、朝には人形のように動かなくなります。人間には動いているところは絶対見せません。
イタズラ好きで好奇心旺盛な小人は、退屈すると逃げ出してしまいます。それで、小人を捕まえたあとは、一緒に遊んだり、お菓子を食べさせたりとおもてなしをしなくてはいけないといいます。
ちなみに、小人の人形は、写真のように顔がプラスチック製のものを使うことが多いです。息子は、布製の小人のぬいぐるみは、本物の小人ではないと信じています。
クリスマスにサンタが小人を迎えにやって来る
クリスマス・イブ。小人にたっぷりおもてなしをしたあと、夜寝る前にクリスマスツリーの下に座らせておきます。すると、サンタクロースがプレゼントと引き換えに小人を連れて帰るのです。
せっかく仲良くなったのに、小人と別れるのは寂しいもの。でも大丈夫。楽しく過ごした小人は、次の年もまた同じ家にやって来るかもしれないよ、とトランブレーさんの話は締めくくられています。
孫との交流が口コミで広がりクリスマスの習慣に!
その後、トランブレーさんは小人の絵本を出版や短編映画を製作し、たくさんの子どもたちに夢をプレゼントしています。
Chapeau d’lutin
アレンジは自由!子どものワクワクを膨らませて!
また、おかしなレゴを組み立てたり、らくがきしたりなど、小人のイタズラは、親の腕の見せ所です。小人の存在を信じる子どもの夢を壊さず、クリスマスまでワクワクが続くようなアイデアを考えます。
活発な小人は、はるばる日本までやって来るかもしれません。ぜひ、オリジナルの小人ストーリーでお子さんと楽しんでくださいね。