2018年9月6日 公開

子育てが楽しくなる!大人気しかけ絵本『お?かお!』著者インタビュー

「赤ちゃんが夢中になる絵本」として大人気の『お?かお!』の著者・ひらぎみつえさんに独占インタビュー!シリーズで大ヒット中の「動くしかけ絵本」はどんな風に生まれたのでしょうか?大人にも思い出してほしい大切な気持ちがありました。連載『絵本はお友だち』Vol.3です。

絵本作家・ひらぎみつえさんインタビュー

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『お?かお!』というしかけ絵本をご存知ですか?

「赤ちゃんが夢中になる絵本」として、テレビや雑誌、webなどでも数多く取り上げられている、今大人気の絵本です。
お?かお! (あかちゃんがよろこぶしかけえほん) | ひらぎ みつえ |本 | 通販 | Amazon (109509)

タイトル:お?かお!
著者:ひらぎみつえ
出版社:ほるぷ出版
この絵本の著者であるひらぎみつえさんと私が出逢ったのは、実はまだひらぎさんが絵本作家としてデビューされる前のこと。当時、私がお手伝いをしていた絵本講座をひらぎさんが受講されたことがきっかけでした。

絵本講座生時代からひらぎさんの作品が好きで、その後は書籍のお仕事でイラストをお願いするなど、お仕事をご一緒する機会もありました。

今や絵本作家として大活躍のひらぎさんに、絵本のこと、子育てのこと、いろいろお話を聞いてみたい……ということで、今回のインタビューが実現しました!

まずは前編として、『お?かお!』などひらぎさんの絵本についてのお話をお届けします。

『お?かお!』誕生秘話:子育て中の思い出がきっかけ

photo by Akari Itoi (110098)

絵本作家のひらぎみつえさん。
via photo by Akari Itoi

ほん 『お?かお!』のヒットと、3冊の新刊絵本の発売、おめでとうございます!

ひらぎ ありがとうございます。

ほん 『お?かお!』は、今や置いていない本屋さんはないくらい、本当に大人気ですよね。
この絵本は、どんなきっかけで誕生したのでしょうか?

ひらぎ 絵本コンクールに出品した際に審査員だった編集者さんとの出逢いがきっかけです。赤ちゃん向けのクリスマスのしかけ絵本を出版する企画があり、声をかけていただきました。

ほん それが、絵本デビュー作である『サンタさん どこにいるの?』と『クリスマスパーティーはじまるよ!』ですね。

ひらぎ そうです。その後、「あかちゃんがよろこぶしかけえほん」として次にどういうテーマでやると面白いか、企画を考えていて……。何度か企画を提出しながらも「もっとないかな」と思って、気持ち悪くなるくらい出し切ったところで、このアイデアが出てきたんです。

ほん 気持ち悪くなるくらいアイデアを絞り出すって、すごいです……。
どういうきっかけで、この「顔のしかけ」のアイデアが出てきたのでしょうか?

ひらぎ 娘が赤ちゃんのころ寝かしつけで添い寝していたとき、すごく真剣に私の顔を動かしていたなって、思い出したんです。私の顔のあちこちをつねってぐいぐい。特に笑顔になるわけでもなく、ただひたすら真剣な表情で私の顔を動かしていました。赤ちゃんの薄い爪で容赦なく力を入れるから本当に痛くて……。

ほん 赤ちゃんに爪を立てられると、紙で指を切ったときみたいな痛さですよね。

ひらぎ そうなんです。でも、こんな風に私の顔で遊んでくれるんだな、かわいいな、という思い出があって……。

ほん 「赤ちゃんにとっては顔もおもちゃになるんだ」という思い出が原点なんですね。

ひらぎ そして、半円の形をスライドさせていくのって、顔っぽくないかな?と思いついて。そうすると一気にバババッと「顔のしかけ」のアイデアが5種類、浮かんで出てきたんです。

photo by Akari Itoi (110082)

半円の中をスライドさせれば、顔の表情の変化のようになるのでは?という発見が、この絵本の原点だそう。
via photo by Akari Itoi

ほん それぞれいろんなバリエーションがありますよね。顔が変わったりまゆげが動いたり、あっかんべーしたり……。
5種類のうち、表紙としてこちらを選んだ理由はありますか?

ひらぎ 感覚的に、「目が動く顔を表紙にすると一番目を引くのでは」と編集さんも私も思い、これを表紙に選びました。

ほん 本当に小さな赤ちゃんも反応する絵本ですよね。0歳児から楽しめる絵本なので、今私の中で「出産のお祝いに贈りたい絵本ランキング」第1位です!

ひらぎ ありがとうございます(笑)

「動くしかけ絵本」のパイオニアに……!?

photo by Akari Itoi (109533)

2018年6月に発売された3冊の新刊絵本。どれも『お?かお!』と同じ「動くしかけ絵本」になっています。
via photo by Akari Itoi

ほん その後、2018年6月に、「あかちゃんがよろこぶしかけえほん」シリーズの新刊が3冊同時に発売になったんですよね。

ひらぎ はい。「工事車両」「動物」「食べ物」と、3つのテーマになっています。

ほん これらの「動くしかけ」も面白いですよね!
『お?かお!』も含め、ひらぎさんのしかけ絵本は「日本のしかけ絵本ぽくない」と感じました。海外のしかけ絵本っぽいというか……。

ひらぎ 確かに、日本ではしかけ絵本というとポップアップ絵本が多いですね。

ほん そういう意味では、「動く絵本界」でひらぎさんが新たなパイオニアになっているのではないでしょうか!?

ひらぎ どうなんでしょうか(笑)。

ほん もともと、動きが連動したりつながったりするしかけを考えるのが得意だったのでしょうか?

ひらぎ 確かに、からくりやピタゴラスイッチのようなしかけを考えるのは好きでしたね。
頭の中で「こうしたらここにひっかかって、こうしてこうなるんじゃないかな……」というのを考えるのが好きだったかもしれません。

ブルブル ブルドーザー

ブルブル ブルドーザー (あかちゃんがよろこぶしかけえほん) | ひらぎ みつえ |本 | 通販 | Amazon (112063)

タイトル:ブルブル ブルドーザー
著者:ひらぎみつえ
出版社:ほるぷ出版
photo by Akari Itoi (110086)

『ブルブル ブルドーザー』のワンシーン。ダンプカーの荷台を上げて、乗っていた土を工事現場に落とす。くるくると回すしかけが楽しい!
via photo by Akari Itoi

ほん  この、工事車両たちの動きを表現した『ブルブル ブルドーザー』も、本当に面白いですよね。

ひらぎ くるくる回してミキサー車からコンクリートを出したり、ショベルカーがごっそりと土をすくったり……。動きと絵がうまく合うように工夫しました。

どうぶつダンス

どうぶつダンス (あかちゃんがよろこぶしかけえほん) | ひらぎ みつえ |本 | 通販 | Amazon (112065)

タイトル:どうぶつダンス
著者:ひらぎみつえ
出版社:ほるぷ出版
photo by Akari Itoi (110089)

『どうぶつダンス』はしかけをくるくると回転させると、ペンギンたちが「エグザイルダンス」のように登場。コミカルな動きにも注目!
via photo by Akari Itoi

ほん 動物たちが動く『どうぶつダンス』はコミカルでクセになります!

ひらぎ これは、無限ループなんです。一度の動きで完結する遊びも楽しいのですが、ずっと続けてリズミカルに動かすことができたらまた面白いんじゃないかと……。リズムを感じるしかけができないかと考えて、そこから「動物たちのダンスショーにしよう」と思いつきました。

ほん 狙い通りいつまでも遊んでいたくなる楽しさです!

あーおいしい!

あーおいしい! (あかちゃんがよろこぶしかけえほん) | ひらぎ みつえ |本 | 通販 | Amazon (112067)

タイトル:あーおいしい!
著者:ひらぎみつえ
出版社:ほるぷ出版
photo by Akari Itoi (109523)

『あーおいしい!』はお菓子を食べたりジュースを飲んだり、「飲食」をテーマにしたしかけ絵本。同時発売になった3冊の中で一番反響があるそう。
via photo by Akari Itoi

ほん 『あーおいしい!』は、「食べる」がテーマなんですね。

ひらぎ 「食べる」って子どもにとって身近なことで、きっとすごく好きなことだから、読みながら「パクっ」なんて一緒に食べてくれたらいいなと思って作りました。

ほん どれもおいしそうで食べたくなります!

ひらぎ 表紙は、ペロっとひとなめでアイスクリームがなくなっちゃうようにするために、アイスの大きさ、全体のバランス、なくなったあとに不自然にならないクマのフォルムなど、いろいろとこだわりました。

ほん なるほど……。表紙だからタイトルも入れないといけませんものね、苦労を感じます……!

「プリミティブな気持ちよさ」を追求して

ひらぎ アイスをぺろりと食べたりジュースを一気に飲み干したり、「あったものがなくなる」って、原始的な気持ちよさがあると思うんです。
それは、『ブルブル ブルドーザー』でショベルカーが土を掘ってごっそりとなくなる、などにも共通します。

「掘るって楽しい」「あったものが全部なくなるって気持ちいい」というのは、みんなが同じように「気持ちいい」と感じるのではないか、と。

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『ブルブル ブルドーザー』で、ショベルカーのシャベルを動かすと土をこんもりとすくっていくしかけ。土が掘られてバケットにたまっていく様子が気持ちいい。
via photo by Akari Itoi

ほん 確かに、大人子どもを問わず「スッキリ感」を感じられる気持ちよさですよね。

ひらぎ こういうプリミティブなところを追求していくと、赤ちゃんも大人も関係なく共感できるんじゃないかって思うんです。 親子で遊んでいるとき、子どもは笑ってるけど親は「何がおもしろいのかわからない」という状態ってよくあると思うんですが、それってちょっとさみしいかなと……。
できれば、どちらも同じ思いを共有できる方がいいな、と思っているんです。

ほん 親も「気持ちいい」と思えたら、読んであげたい気持ちが増しますしね。

ひらぎ 親子で気持ちいい、という思いを共感し合えたら成功かな、と思って作っています。

ほん ぜひ、多くの方にこの気持ちよさを親子一緒に味わっていただきたいですね!

photo by Akari Itoi (109529)

via photo by Akari Itoi

大人も共感できる絵本なら、親子の時間がもっと楽しく

photo by Akari Itoi (110093)

via photo by Akari Itoi
ひらぎさんの「動くしかけ絵本」は、「動きがあって楽しい」だけではなく、人間が持つ根源的な感覚、性別や年齢問わず共通する「プリミティブな気持ちよさ」という心理も考えられて作られていることがわかりました。

確かに、大人になるとそんな気持ちよさを意識する機会が少なくなるかもしれません。それよりも理性やルールが先回りしてしまっていることも。

大人ももっと自然に「気持ちいい」という感覚に素直になってもいいのかもしれないですね。ひらぎさんの動くしかけ絵本を見ていると、そんな風に感じてきました。

次回の【後編】では、5歳のお子さまを育てるワーキングママとしてのひらぎさんの日常や子どもにかける思いなどをお届けします。

どうぞお楽しみに!
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

ほんえすん ほんえすん  1977年大阪府堺市生まれ。ライター/編集者。一女一男2児の母。ママ絵本作家。 出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。絵本の編集や絵本作家のアシスタントを通じて、絵本の世界の扉を開ける。2018年3月、ママ目線でつくったはじめての絵本「すき! I like it!」(教育画劇)を出版。