2019年04月06日 公開

国際的な絵本賞「ナミコンクール」で日本人初受賞!その作品は?

韓国のナミ島で開かれている国際的な絵本コンクール「ナミコンクール」において、2019年の受賞者に日本人2名が選ばれました。これは初の快挙です。そのうち1名は絵本『トマトさん』で人気の田中清代さん。ナミコンクールの詳細と、田中さんの受賞作品をご紹介します。

韓国のナミ島で開かれている国際的な絵本コンクール「ナミコンクール」において、2019年の受賞者に日本人2名が選ばれました。これは初の快挙です。そのうち1名は絵本『トマトさん』で人気の田中清代さん。ナミコンクールの詳細と、田中さんの受賞作品をご紹介します。

ナミコンクールとは?

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ナミコンクールは、韓国のナミ島で2年に一回開催される国際的な絵本コンクールです。世界中の絵本が審査の対象となり、そのなかから優れたイラストを描いた方に賞が与えられます。与えられる賞は、以下の4つ。

・グランプリ(1名)
・ゴールデンアイランド賞(2名)
・グリーンアイランド賞(5名)
・パープルアイランド賞(10名)

このコンクールは世界最大の絵本の祭典「ボローニャ国際絵本原画展」に次ぐ応募者数を誇り、参加国数はこれを上回っています。

日本人が初の受賞

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ナミコンクールの過去の有名な受賞作品には、トーベン・クールマン氏の『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』、イ・ミョンエ氏の『いろのかけらのしま』などがあります。

そして2018年の同コンクールにおいて、なんと2名の日本人が初受賞を果たしました。今回は98カ国から1844点の作品がエントリー。そのなかからゴールデンアイランド賞に加藤寛之さん、パープルアイランド賞に田中清代さんが選ばれました。

『トマトさん』の作者・田中清代さん

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『くろいの』でパープルアイランド賞を受賞した田中清代さんは、人気絵本『トマトさん』(福音館書店)の作者として知られています。1972年神奈川県生まれ、銅版画家としても有名です。銅版画を取り入れた絵本も創作しています。

1995年、大学時代に作った絵本がボローニャ国際絵本原画展ユニセフ賞を受賞。1997年に『みずたまのチワワ』でデビューを果たしました。その後『トマトさん』で人気作家への仲間入りを果たします。今回受賞した作品『くろいの』は、トマトさん以来16年ぶりの単著となりました。

田中さんは絵本を作るとき、「子どものためのもの」ということを意識して創作しているのだそう。最近は大人のための絵本が多く出版されていますが、田中さんは子ども向けにこだわりたいと語っています。また絵本をとおして、子どもたちに外で遊ぶことの楽しさを伝えたいとも話しました。

不思議で優しい物語『くろいの』

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タイトル:くろいの
著者  :田中清代(作)
出版社 :偕成社
パープルアイランド賞を受賞した『くろいの』は、田中さんの銅版画による作品です。絵本には珍しい全編モノクロのイラストが、どことなく不思議な印象を与えます。

女の子は一人で帰るいつもの道で、正体不明の黒い生き物と出会いました。その「くろいの」は、なぜか女の子にしか見えていないよう。女の子がくろいのについていくと、そこは古い日本家屋でした……。

物語の最後まで、くろいのの正体は明かされません。しかし読み終えたあとには、優しく温かい気持ちになるでしょう。ジブリ映画『となりのトトロ』がお好きな方にもおすすめです。女の子の気持ちに寄り添うようにあらわれたくろいの。その正体がなんなのか、ぜひ絵本を読んで想像を巡らせてみてください。

親子で絵本を楽しんで

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日本人の絵本や児童文学は世界で高い評価を受けており、さまざまな国際コンクールで賞を獲得しています。2018年には『魔女の宅急便』でおなじみの角野栄子さんが、国際アンデルセン賞を受賞しました。

お子さまの絵本選びに迷ったときは、過去の受賞作のなかから探してみてはいかがでしょうか。小さなうちから世界で認められた作品にふれることで、お子さまの感性も豊かになるかもしれません。また素晴らしい作品は、子どもだけじゃなく大人も一緒に楽しめます。ぜひ親子で絵本の世界に浸ってみましょう。

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この記事のライター