2018年11月05日 公開

異年齢保育の意味と狙いとは?メリット・デメリットと遊びの例

少子高齢化が進み兄弟・近所の子ども同士で遊ぶ機会が減っている現代社会。年下・年上の子とともに生活し、関わる「異年齢保育」を行う保育園・幼稚園も増えています。発達段階の違う子どもたちが交流する異年齢保育が、子どもたちの健やかな成長を促してくれるでしょう。

少子高齢化が進み兄弟・近所の子ども同士で遊ぶ機会が減っている現代社会。年下・年上の子とともに生活し、関わる「異年齢保育」を行う保育園・幼稚園も増えています。発達段階の違う子どもたちが交流する異年齢保育が、子どもたちの健やかな成長を促してくれるでしょう。

異年齢保育とは

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かつての日本の家庭環境では、いろいろな年齢の子どもが一緒に遊ぶことが普通でした。祖父母と同居し、兄弟が3人以上いるような環境では、自分より年上・年下と交流することも自然なこと。生活のルール・思いやりの気持ちなど、社会生活に必要な力を自然と身につけることができたのです。

核家族化・ひとりっ子の世帯も珍しくない現代、異年齢の子ども同士で遊ぶには、保護者・保育者が環境を整える必要があります。

今まで保育園・幼稚園・保育所では0歳児クラス・2歳児クラス・年少・年中など「同年齢」でのクラス分けが主流でした。近年、さまざまな年齢の子ども同士を一緒に生活させる「異年齢保育」を導入する施設が急増しています。

縦割り保育や混合保育とも呼ばれる

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異年齢保育は「縦割り保育」や「混合保育」とも呼ばれ、文字通り「さまざまな年齢の子どもを一緒に保育する」ことです。

異年齢保育の形態はさまざまで、保育時間の長さ・方法は施設によって違います。
・日常活動の多くを年少・年中・年長一緒に行う幼稚園
・食事・おやつを0~6歳児全員一緒の場所で食べる保育園
・週に1回「全年齢一緒に遊ぶ」保育所

0歳~6歳までの子どもが通う保育園・保育所などでは年齢層が広いため、全年齢混合の活動は困難です。この場合、異年齢保育を発達段階に合わせてクラス分けする配慮が必要となります。

たとえば、2~3歳児クラス混合と4~6歳児クラス混合の2つの異年齢グループに設定する形などです。「お世話される、援助する」の異年齢交流が程よい距離感で行われます。

意味と狙い

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発達度合いが同じ同年齢同士の交流では、相手のとの力関係はほぼ対等です。しかし、異年齢保育の場合は、相手によって自分の立場・関わり方が変化します。

自分がお兄さん・お姉さんの役割を担って、優しく言葉がけをしてお世話をすることもあれば、年上の子から注意される、助けられる場合もあることでしょう。

異年齢保育の魅力は発達度合いの違う子ども同士の交流を通して、多くのことを学べることです。赤ちゃんを含めた年下・年上の子と生活し遊ぶことで、社会性・共感力・忍耐力・コミュニケーション能力など、生きていくために必要な能力を伸ばします。

異年齢保育のメリット・デメリット

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メリット

相手が自分よりも年下か、年上かでそれぞれ次のようなメリットが得られます。

年下の子と関わる場合
・思いやりの心が育つ
・弱い立場の人に譲る習慣がつく
・相手の行動・言動を待つことで忍耐力がつく
・頼られることで自尊心・責任感が育つ

年上の子と関わる場合
・憧れの存在が身近にいることで、運動・学習・表現活動などすべてにおいて向上心が芽生える
・お兄さん・お姉さんに優しくしてもらうことで「自分も同じことを年下にしてあげたい」と思えるようになる
・年上の子が褒められ、叱られるのを見ることで道徳観念が育つ

デメリット

異年齢保育のデメリットは、保育者の指導方法・教育カリキュラムの組み方によっては、子ども・保育者がともにストレスを感じてしまうこと。

幼稚園を例にすると、3歳(年少)と5歳(年長)をペアにして活動する際は、それぞれの発達度合い・個性に配慮した取り組み方が必要です。

好奇心旺盛で色々なものに挑戦したい3歳児と、表現力・集中力が育ってきて、自分の世界を大切にしたい5歳児。一緒に作業を行うには、保育者による適切な区分け・役割分担が大切です。たとえば、貼り絵を行う場合なら、作業工程・貼る部分を分けることで衝突・混乱を避けられます。

異年齢保育での遊びの事例

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運動能力・言語能力に差がある異年齢同士が一緒に楽しく遊ぶには、年上の子にハンディをつける・小さい子に合わせたルール設定にするなどの工夫が必要です。実際の遊び方の例をご紹介しましょう。

お店屋さんごっこ

おもちゃさん、くだものやさん、レストラン、ペットショップ……。やってみたいお店を決めたら、商品、お金をみんなで手作りして開店準備をします。

商品作り、店員さん、お客さんどの役割も全員経験できるように、交代制で遊びましょう。

誤飲を防ぐ大きさのおもちゃ・道具で使うことで乳幼児も参加できます。

まねっこダンス時々コチョコチョ

子どもたちで輪になり、中央にダンスのお手本になる人が立ちます。お手本のダンスを真似て、みんなで踊ります。お手本は保育者・可能であれば5,6歳児が行いましょう。

ダンスの途中で、お手本をしている人が「右コチョコチョ」と言ったら、右の人をくすぐり、「左コチョコチョ」と言ったら、左の人をくすぐります。

園の踊りやアンパンマン体操mミッキーマウス体操など、簡単にみんなが踊れるものがおすすめです。

ペアハンカチ落とし

ハンカチ落としを年少・年長、2歳・4歳など異年齢ペアで行います。

次のようなルールをはじめに提示して、安全に楽しく行いましょう。
・無理に手を引っ張らない
・鬼になってもお互いを責めない

しっぽ鬼

10人前後の異年齢グループにおすすめです。小さい子が鬼になっても捕まえられるように、決められたエリアの中で行いましょう。

鬼以外の人は、ハチマキ・紙テープなどをしっぽにしてたらします。鬼にしっぽをとられた人はエリア外に出ます。

以下の2つのルールを守りましょう。
・しっぽを押さえない
・体に触れない

絵本・紙芝居の読み聞かせ

各年齢に合わせた絵本・紙芝居を異年齢グループで楽しみます。声を上げたり、笑ったり……年齢によって、反応はさまざま。他年齢の子の感じ方・表現方法を見ることで絵本・紙芝居がより楽しめるはずです。

また、静かに聞いている年上の子を見て「話の聞き方」を学ぶことができます。

それぞれの遊びを異年齢保育で行う意義

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子どもにとって遊びの時間は、自分の力を試す、協調性を学ぶ、身体能力の鍛錬など多くの意義を持つものです。同年齢同士の場合は比較的自由に遊べますが、異年齢グループで遊ぶ場合は身体能力・発言内容に制限がかかるケースもあります。

・自分より年下の子に合わせてゆっくり走る
・年下の子に分かりやすいように説明する
・年上の子の指示に従う

異年齢で遊ぶ意義の1つとして、「自分の立場をわきまえ、行動・言動を制御することを学べる」ことがあげられます。家庭・同年齢保育だけでは伸ばしづらい社会生活能力を、普段の遊びで無理なく向上できるのが異年齢保育の強みです。

家庭での声がけで異年齢交流をスムーズに

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幼児期は、周囲の注目を自分に向けさせたい時期でもあります。自分より優れていたり、可愛がられていたりするように見える異年齢の子に、素直に接することができないことも。

・自分より年下の兄弟が可愛がられるとかんしゃくを起こしてしまう
・年上の子にちょっかいを出して、叩かれてしまう
などはよくあるトラブルです。

相手の年齢に関わらず上手にコミュニケーションをとるには、自分に自信を持つことと相手を認める素直さ大切です。児童館、近所づきあいなどで普段から異年齢のお友だちと接する機会を設けることで、トラブルは減っていきます。

「○○ちゃん(年下)に優しく話しかけていて素敵だったね」
「△△ちゃん(年上)、鉄棒が上手だね。あなたも頑張りやさんだから練習したらできそうだね」

家庭内では子どもを認め自尊心を育てると同時に、他者を認めるような声がけを心がけましょう。

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この記事のライター

AOTANAOAO
AOTANAOAO

2015年よりライターと鞄・アパレル雑貨メーカーのWEBモデルの仕事をしています。Chiik!!では幼稚園入試、英語学童、インターナショナルスクール、親子で作れる知育玩具などの記事を執筆。 教育・健康・レジャー・ファッションなど、「日常生活がより豊かに楽しく送れる」ような情報記事を書いております。