2017年4月12日 公開

宿題は本当に必要?カナダで議論されている小学校の宿題のあり方

1日学校で勉強してきた子どもが、放課後には好きなことをしたいと思うのは当然。でも、宿題が……。カナダでは長い間、小学生の宿題のあり方についての議論が繰り広げられています。宿題は本当に必要なのか。学力向上に結び付くのか。カナダの小学校の宿題事情に迫ります。

カナダの小学生の宿題は少ない?

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LightField Studios / Shutterstock.com
カナダでは、州の教育委員会が宿題に関するポリシーを作成している場合があります。けれども、学校や先生によって宿題の量に差があるのが実際のところ。

筆者の息子が小学校1年生のときの担任の先生は「1日30分以上宿題をさせないように」と言っていました。ただし、集中してやれば10分、20分で終わるような宿題であっても、飽きっぽい息子にとっては一苦労。だらだらと時間が過ぎ、親のイライラはつのるばかりでした。「どうすればスムーズに宿題をさせられるか」は小学生の親同士でもよく話題になります。

ただ、日本の小学校に比べれば宿題は少ないです。息子が日本の小学校に体験入学をしたときの宿題は、カナダの小学校の倍はありました。

小学校低学年にとって宿題は学力向上に関係がない?

宿題研究の第一人者、ハリス・クーパー氏(アメリカ・デューク大学)の研究によると、小学生の場合「宿題の量と学力」には関係性がないことが明らかになっています。宿題をすることで学力が向上するのは中学生や高校生の話。

とくに幼稚園児や小学校低学年の子どもの場合は、宿題には勉強を嫌いにするなどのネガティブな影響があると報告しています。また、年齢問わず、長時間の宿題は悪影響とのことです。

カナダでは、長年、宿題の必要性について議論されています。宿題を減らすべきという人の多くが、この研究を引き合いに出しています。ただ、クーパー氏の研究については、専門家の間でも賛否両論さまざまな意見があります。

1年間宿題なし―その実験効果は!?

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Iakov Filimonov / Shutterstock.com
2014年にケベック州の小学校の1校が、1年間宿題を出さないという実験を行いました。親のストレスを減らし、かつ児童の学力を向上させるというのがこの実験のゴール。

実験開始から1年後、児童がそれまでよりも幸せそうに通学し、勉強への意欲も高まったとこの学校の校長先生は報告していました。とくに、学習障害や問題行動のあった児童への効果が高かったとのことです。

確かに、子どものころの宿題にはあまり良い思い出はありませんよね。「宿題なし」と言われたときの嬉しさは、今も昔も変わらないようです。

カナダの夏休みは宿題なし!本当に勉強していないの?

日本の小学生の夏休みといえば、ドリル、絵日記、自由研究など宿題がたくさん。けれども、カナダは夏休み明けに新学年が始まることもあり、夏休みの宿題は全くありません。

カナダでも家庭学習用のワークブックは売られていますが、書店の片隅に少し置いてある程度。夏休み中に計画を立てて、しっかり勉強するというのは一般的ではないのです。ですから、新学年のはじめは、それなりに時間をかけて前学年の復習が行われます。

幼い子どもにとって宿題よりも大切なことは?

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Africa Studio / Shutterstock.com
カナダでは、小学生にとっては遊び、家族との時間、充分な睡眠が、宿題よりも大切だと考えている人が多いです。とくに低学年の時期は、ドリルをするよりも家族と一緒に本を読んだりゲームをしたりすることを推奨している州もあります。

親にとっては、多すぎるのも全くないのも困る子どもの宿題。必要派の意見で多いのは、学校で勉強したことを家で復習することにより知識が定着するというもの。また、勉強の習慣をつけるのに役立つという考えもあります。ただ、親の世代に比べ、今は宿題が増えていると感じている人が多いとの調査結果もあります。

カナダでの「適切な宿題のあり方」についての議論は、まだまだ終わりが見えていないのです。

皆さんはどう思いますか?
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

LOA LOA  カナダ在住のフリーライター。Web媒体で子育てや語学学習についての記事を多数執筆。8歳の息子が0歳のときからはじめた絵本の読み聞かせは、今では私たちの生活になくてはならないものになっています。これまでに息子と読んだ絵本や児童書は、日本語、英語、フランス語を合わせて数千冊。息子が笑顔になる絵本を見つけるのが喜びです。