メキシコで子育て中の先輩ママからよく聞くのが、「メキシコの子どもには反抗期がない」というもの。とはいえ、メキシコ人が日本人とは異なる成長ホルモンを持つわけでもなし。これはどうやら、幼い頃からの扱われ方、そして親や周囲の大人との関係性が影響を与えているようです。
「子ども」であっても「例外」ではない
こちらメキシコでは、週末に家族や親戚一同がそろって、レストランで食事をとるという習慣がまだまだ根強く残っています。そして、そういった場には、新生児といっていいくらいの月齢の赤ちゃんから、幼い子ども達も一緒に連れられてきて、参加しているものなのです。
そして、子どもだから……と例外的に扱われるのではなく、大人と同じテーブルにつき、同じ様に食事をするー。それが当たり前のこととして、子どもたちは育っていきます。そのためか、たとえ落ち着いた雰囲気のレストランであっても、子どもがわめき散らしたり走り回ったり……という場面に遭遇することはほとんどない、と言っていいくらいなのです。
TPOをしっかり学ぶ
このように、子どもではありながら、大人たちと同じ「人間」として扱われることが、反抗期が起こる年齢特有の「子どもでもない、大人でもない」モヤモヤを軽減させ、反抗期が表れにくい理由の一つになっているのでは、と筆者は感じます。
物理的、心理的な親子の距離感
そのため、必然的に、たとえ思春期であっても親と一緒に行動することが当たり前の環境なので、「親と一緒に出歩くなんてありえない!」といった、反抗期特有の反発が現れる余地がない、という意見も聞かれます。
また、塾というシステムが存在しない一方で、低年齢の頃から学校が宿題を多く出すことで悪名高い(?)メキシコ。子どもの日々の宿題や予習復習は、必然的に家族がサポートしなければなりません。共働き世帯にはなかなか頭の痛い問題ではありますが、親と二人三脚で勉強に励む点には心理的な距離の近さを感じます。
叱り方も、同じ高さの目線から
この場合、「叱る」というのは、ネガティブなフィードバックを行う、ということになりますが、これは何も子育てだけの話ではありません。ポジティブなフィードバックは、人の前で行い、反対にネガティブなことは個別に行います。これは、「先生=生徒」や「上司=部下」との関係にもあてはまる、指導者のコミュニケーション・スキルとして、当たり前の形なようです。
私たち親も人間ですので、思わず声を荒げて頭ごなしに叱りたくなる場面は、山のようにあります。ですが、子どもも自尊心を持っています。一度、ひと呼吸おいて、何が悪かったのか、何を直さなくてはいけないのか。それを一対一の対話として、伝えてみてはいかがでしょう。
最後に
彼女の言葉で印象的だったのは「メキシコ人の子育ては、義務感が伴うというよりはもっと自然体。子どもと一緒に生きている、と感じる」というもの。
当然、私たち親には、子どもを育てる責任があります。ですが「子育ては同時に親育てでもある」の言葉どおり、親から子へトップダウン型に与えられるものではなく、親と子が共に学んで成長していくことが肝要なのでしょう。
それが結果として、親子の関係性をよい方向へと導き、「反抗期があまり表れない」ということにつながるのかもしれませんね。