2017年08月21日 公開

刺激的すぎる話題の絵本「いちにち」シリーズと広がる子どもの想像力

独特のユーモアと刺激的な絵で構成されている絵本、「いちにち」シリーズ。twitterやテレビなどで「子どもには刺激の強い絵本」「怖すぎる絵本」として話題です。おもちゃ、ぶんぼうぐ、のりもの、おばけ、こんちゅうなど、身近なものに子どもが「変身」してその大変さや面白さを体験するその内容は、子どもの豊かな想像力を広げ、実は読み聞かせにもピッタリです。シリーズ累計20万部を突破した8作品、全ての魅力をここでご紹介します。

独特のユーモアと刺激的な絵で構成されている絵本、「いちにち」シリーズ。twitterやテレビなどで「子どもには刺激の強い絵本」「怖すぎる絵本」として話題です。おもちゃ、ぶんぼうぐ、のりもの、おばけ、こんちゅうなど、身近なものに子どもが「変身」してその大変さや面白さを体験するその内容は、子どもの豊かな想像力を広げ、実は読み聞かせにもピッタリです。シリーズ累計20万部を突破した8作品、全ての魅力をここでご紹介します。

「いちにち」シリーズのユーモアと想像力

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「いちにちこんちゅう」より
シリーズタイトル:「いちにち」シリーズ
著者:ふくべあきひろ(作)/かわしまななえ(絵)
出版社:PHP研究所 

絵本の読み聞かせで子どもの目が輝くときは、子どもの想像力に広がりを見せた瞬間ではないでしょうか。
「いちにち」シリーズは子どもの豊かな想像力をかなり刺激してくれる絵本です。

独特のストーリー展開

このシリーズでは、主人公の子どもが身近なものに興味を感じ素朴な疑問を持つところからはじまり、じゃあ、「なってみよう」と思いつき、「なってみて」、最後に「どう感じた」というストーリー展開となっています。発想がユニークすぎて大人の想像力では追いつかないところもありますが、これが刺激的な絵と相まって子どもの心をつかみます。

刺激的な絵とのんびりした日常とのギャップ

ストーリー前半の「のんびりとした日常」を描いた絵から、中盤に入ると「なってみた」を表現した刺激的な絵がこれでもかと続き、最後の「のんびりとした日常」に戻る、この絵の展開の移り変わりはギャップが激しく、とてもパンチが効いていて読み聞かせする際にも自然に親子で盛り上がってしまうほどです。

そんな「いちにち」シリーズの絵本をタイトルごとに紹介します。

『いちにちおもちゃ』

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タイトル:いちにちおもちゃ
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所 
シリーズ1作目となるのが『いちにちおもちゃ』。くれよんにコマ、けん玉、積み木など、子どもたちが大好きなおもちゃに「なってみた」男の子は、楽しそうに見えて実は大変なおもちゃの気持ちを理解していきます。読み手の子どもも一緒に体感していくのですが、おもしろいのがその衝撃の展開。くれよんが顔を引きずられたり、高速回転したコマが「おえ~」と気分を悪くしたり。想像もしていなかった内容に、子どもも「うわぁ」と驚いたり、「あはは」とウケたりしながら読み進めます。ちなみに、このシリーズは「4~5歳から」となっていますが、3歳頃からの読み聞かせも可能。子どものナイスリアクションを引き出してくれるので、読んでいる親も楽しくなります。
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そして最後は、おもちゃの大変さを理解した男の子が、「いちにち おもちゃで あそんだら、ちゃんと おかたづけしてあげなくっちゃ。」と言っておしまい。楽しいだけじゃなく、ちゃんと大人の言いたいことも伝えてくれていますよね。

『いちにちぶんぼうぐ』

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タイトル:いちにちぶんぼうぐ
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所 
2作目は『いちにちぶんぼうぐ』。紙を大量に挟みすぎのクリップや、バシーン!と顔を打つメジャー、腕を全力で何度も回すえんぴつけずりなどが登場します。今回も全力で「なってみた」男の子は、クールでかしこそうに思えたぶんぼうぐたちが、実はすごく「がんばってるなぁ。」と感心します。そして、「ぼくも みならって おべんきょう がんばらなくっちゃ。」というオチ。なるほど、そうくるか!と思うようなストーリー展開で、大人も楽しく読み進められます。

『いちにちのりもの』

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タイトル:いちにちのりもの
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所 
3作目は、男の子にはテッパンの『いちにちのりもの』。特に乗り物が好きでまだ小さい男の子には、本作から読んでみても良いかもしれません。三輪車や新幹線、ミキサー車など、人気の乗り物たちが続々登場しているので、子どもの食いつきもすごいです。

本作あたりから顕著になってくるのが、時々出てくる、ちょっと激しいテイストのイラスト。歯が痛いショベルカーなど、「ガガガガ」という太字の文字とともに、激しく振動するショベルカー扮する男の子が描かれていたりして、子ども向けにしては刺激が強そうな感じもします。それが子どもの大笑いを引き出すユーモアにもなっているのですが、やさしい絵本に慣れている親だと、少々面食らうかもしれません。

『いちにちじごく』

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タイトル:いちにちじごく
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所
そんな本シリーズの刺激の強さがよく現れているのが、順番は変わりますが8作目の『いちにちじごく』。悪いことをしたら地獄に行くってほんとかな?と考えた主人公の男の子が、「いちにち じごくの おに」になってみるお話です。
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こちらは、「のりもの」や「ぶんぼうぐ」とはトーンも変わって、なかなか怖い内容。「したぬきじごく」や「はりやまじごく」、そしてラストで人を殺したときの恐ろしすぎる地獄など、大人でも夢に出てきそうな描写が登場します。ただ、本作が伝えたいのは、「もう わるいこと、ぜったいに しないよ。」と思ってもらうこと。嘘をついたり、ぬすんだり、動物をいじめたりすることは、本当に悪いことだということを教えるには、怖がらせることも必要なのかもしれません。ごていねいに、絵本とは別に地獄行きの行いをリストアップした「えんまちょう」までつけられていることから、作者の思いが伝わってきます。
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もちろん、全シリーズを通したユーモアあふれる絵柄はそのままなので、地獄の怖さも、ちょっと救われる印象にはなっていますよ。

『いちにちおばけ』

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画像提供:PHP研究所
タイトル:いちにちおばけ
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所
一方で、怖いものを、楽しく描いてくれているのが本作。かっぱが水泳で一等賞を獲ったり、ゆきおんながかき氷屋さんになっていたりと楽しい展開で、おばけに対する恐怖心をぬぐってくれます。お話のラストのように、夜、おばけのことを考えて怖くなったときにも、この絵本を思い出せば一人で眠れるようになるかもしれません。

『いちにちこんちゅう』

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タイトル:いちにちこんちゅう
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所
夏休みの自由研究でもよく取り上げられる「昆虫」をテーマにしたのが本作。
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クワガタに投げられるカブトムシや、
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貴公子のようなちょうちょなど、同シリーズならではのユーモアたっぷりの描写が楽しい一作です。虫たちへの興味が沸いて、「お母さん、虫獲りに行こう!」なんて声も聞かれるかもしれません。

『いちにちどうぶつ』

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タイトル:いちにちどうぶつ
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所
いきものでは、こちらの『いちにちどうぶつ』も。同シリーズならではのおもしろさはそのままに、キリンが立ったまま寝ることや、コアラの赤ちゃんが母親の糞を食べることなど、大人でも「へえ~」となる内容が紹介されています。「知らなかった~!」ということが、「なってみる」ことで、よりリアルに感じられるんですよね。おすすめです。

『いちにちむかしばなし』

 (59928)

タイトル:いちにちむかしばなし
著者:ふくべあきひろ作/かわしまななえ絵
出版社:PHP研究所
最後に紹介するのがこちら。桃太郎の桃に乗ったら揺れるから「ももよい」しちゃった、とか、浦島太郎のカメって速い~!とか、お話の内容を教えてくれるのかと思って読むと、「え、ふざけすぎじゃない!?」と思う人もいるかもしれません。でも、本作の狙いは、昔話に興味を持ってもらうこと。そういわれてみれば、子どもの頃って、昔話をあまり楽しいものだと思えなかった記憶がありませんか?

まとめ

着想のおもしろさに加え、「楽しい」「怖い」という子どもたちの感情に訴えることで興味を引き出す「いちにち」シリーズ。筆者の場合、シンプルに息子が絵本を読んで大笑いするのがうれしくて、次々と与えていました。初めて読んだときだけでなく、子どもの知識や年齢が上がれば、また違った楽しみ方ができそうですね。

画像提供:PHP研究所
著者:ふくべあきひろ(作)/かわしまななえ(絵)

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