2016年10月期からスタートする朝ドラの主人公は、関西で根強い人気を誇る子ども服ブランドみんな大好き「ファミリア」の創業者のひとり、坂野惇子(ばんの あつこ)さん。今回は、日本の子ども服ブランドの草分け的存在である「ファミリア」創業の物語についてご紹介します。
子ども服のファミリアって、どんな会社なの?
著者:株式会社ファミリア(編)
出版社:ダイヤモンド社
株式会社ファミリアは、神戸市中央区に本社を置く1950年4月設立の子ども服ブランドで、子ども向け用品やベビー用品を主に取り扱っている会社です。皇室御用達ブランドとしても知られているファミリアは全国に販売店を有し、特に関西地方では子ども服の代名詞と言われるくらいの根強い人気を誇っています。
familiar ファミリア 公式サイト
創業者は、坂野惇子さんら4人の若い女性!
そもそものきっかけは、坂野惇子さんが手芸糸やハイヒールを買い取ってもらおうとモトヤ靴店を訪れたときに、そこの店主に「手作りの品を売ってはどうか?」とのアドバイスをもらったことでした。
その後、惇子さんは女学校のクラスメイトや友人たちと一緒に子ども服を作ることになったのです。
若い女性たちが選んだジャンルが「子ども服」だったことは、時代が望んだ自然な流れだったのかもしれませんね。
4人の女性創業者たちのプロフィール
・坂野惇子さん……繊維卸売業「佐々木営業部」(のちのレナウン)の創業者・佐々木八十八さんの三女として生まれ何不自由なく成長しましたが、結婚後、戦争のあおりを受けて生活のために「ファミリア」を創業しました。強い意志のもと、妥協のない高品質な子ども服を作り続けファミリアを皇室御用達ブランドにまで成長させた立役者です。
・田村江つ子さん……惇子さんの女学校時代のクラスメイトで、父親は坂東調帯ゴム(株)(現・バンド−化学株式会社)の創業者です。
・田村光子さん……江つ子さんの義姉で、大阪の田村駒商店(現田村駒株式会社)の創立者・田村駒次郎さんの長女です。父親から譲り受けた優れた商才と先見性を併せ持ち、のちにファミリアの生産と品質管理を一手に担った人です。
・村井ミヨ子さん……日綿実業(現・ニチメン株式会社)東京支店長・中井栄三郎さんの長女で、新婚の坂野夫妻の犬の散歩が縁で知り合いました。生まれつきの病弱な体を、もち前の気力でカバーしファミリアの創業を支えました。
こうして彼女たちのプロフィールを見ていると、いずれも恵まれた環境下に生まれたものの、戦争の影響を受けて生活のために会社を立ち上げたのだということが分かりますね。
逆境に負けない強さとしなやかさが、そして子どものことを思う母性が、彼女たちの事業を成功に導いた鍵なのではないでしょうか。
「あかちゃんと子どものために」を一番に
1992年に発信した「愛情品質」という製品コンセプト通りに、一貫した上等な品質にこだわる妥協のない姿勢が今日の成功に繋がったのでしょう。