2019年3月10日 公開

イギリスの幼児教育カリキュラムを支える「EYFS」│方針と指導内容

多くの課題を抱える日本の幼児教育ですが、他国の状況はどうなっているのでしょうか?こちらではイギリスの幼児教育カリキュラムを支える「EYFS」をご紹介。理念、指導内容などからEYFSの全体像を読み解くとともに、日本の幼児教育のガイドラインとの違いも解説します。

EYFSとは?


EYFSとは「Early Years Foundation Stage」の略で、日本語での直訳は「早期基礎段階」。就学前の学習・発達・ケアの質の基準を定められています。5歳から義務教育がはじまるイギリスでは、生まれてから5歳就学前までの幼児期の子どもたちが対象です。

幼児教育・保育分野における政策が、1990年前後から少しずつ立てられてきたイギリス。それが1997年の政権交代がきっかけで大きく前進し、2008年にEYFSの法定枠組みがはじめて発行されました。その後2012年と2014年の2回の改訂を経ています。

EYFSの適応範囲


すべての認可された英国の保育者、幼稚園・保育所などの保育機関は、このEYFSの基準に従った教育を義務づけられています。そして準政府機関の教育水準局によって、査察を4年に一度受けることもルール。基本的には機関であれば複数の査察官が実際訪問し、評価は公開され誰でも自由に見ることが可能です。

この評価結果は、イギリスのパパママたちに幼児教育機関選びの際、参考としてよく使われています。

EYFSの理念


EYFSで述べられている理念は次の4つです。

1.子どもたちは各々唯一の存在で、継続的に学び、忍耐強く、能力と自信を持っている。
2.子どもたちはポジティブな関係を通して強さと独立心を学ぶ。
3.個人的なニーズが満たされるという経験と、保育者や保護者との強固な関係がある環境で子どもたちは学び、成長する。
4.子どもたちは異なる過程・リズムで学び、成長していく。

そしてすべての保育者、保育機関はこの理念に沿うべきだと述べられています。

EYFSの教育の内容は?


EYFSの教育の内容は次の7領域です。

1-コミュニケーションと言語
2-身体的発達
3-人間的・社会的・情緒的発達
4-リテラシー(読み・書き)
5-算数
6-事物の理解
7-表現芸術とデザイン

このうち1~3は基礎領域。学習への興味・意欲をかきたてるとともに、子どもの成長に欠かせない領域です。4から7は特定領域で、就学準備が強調されています。

日本の幼児教育ガイドラインとの違い


日本は幼稚園が文部科学省、保育所が厚生労働省と、管轄官庁が違っています。このため国としての統一した幼児教育のガイドラインがありません。イギリスは個人であれ機関であれ、幼児教育の提供者として認可されていれば、すべて一括でEYFSのコントロールの元にあります。

またEYFSでは「就学準備」という点がクローズアップされている点も特徴。しかし日本の「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」では、小学校の準備を第一目標としては挙げていません。さらにEYFSでは目標で到達すべきレベルが掲げられているのに対し、日本の場合は目標はあくまでも方向性で、到達は求めていないという違いがあります。

明確な方向性を持つEYFS

イギリスの幼児教育のカリキュラムEYFSをご紹介しました。EYFSはとても具体的な内容であるとともに、明確な方向性を持っています。英国と日本では国民性なども違うため、日本の幼児教育のシステムと比べどちらがいいとは一概には言えません。しかし国としての幼児教育に対する方向性が一本化されているところは、大きな魅力でしょう。
参照:「イギリスの就学前ナショナル・カリキュラムについて」
https://dwcla.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=764&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

Mariko.K Mariko.K  大学卒業後、大手雑誌社広告営業、進学塾講師を経て、結婚を期に2000年よりスペイン在住。マヨルカ島にてスペイン人の夫、中学生の娘と暮らす。バレアレス州立音楽学院高等部でパイプオルガン専攻中。東京都出身。