朝顔って夏の象徴のような花ですよね。子どもにとっては夏休みの観察日記でかならず一度はお世話になる花です。あまりにもありふれていて、朝顔がどんな花なのか意識することはあまりないかもしれません。その来歴や種類など朝顔にまつわる基礎知識についてご紹介します。
朝顔はアフリカ生まれでサツマイモの仲間
朝顔はヒルガオ科サツマイモ属の植物です。
「サツマイモと朝顔が親戚なの?」思うかもしれませんが、どちらも長いつる状の茎が伸び、ラッパ状の花を咲かせるという共通点があります。そういえば、サツマイモも朝顔も幼稚園や小学校でよく栽培されていますよね。
朝顔は便秘のくすりとして日本にやってきた
もともとはその種が下剤や利尿薬として利用されており、日本でも高価な薬として貴族など限られた人々のあいだで広まったようです。
現在のように観賞用の植物として変貌を遂げたのは江戸時代。
園芸技術が飛躍的に進化したことに伴い、多くの園芸愛好家や職人たちが競い合うように品種改良を行いました。突然変異や野生種なども含めると現在までに2,000を超える種類が確認されています。
これほど多様な遺伝子変化をとげた園芸植物は世界中で朝顔のほかにありません。
当時の日本はまだ遺伝学が存在しない時代だったにもかかわらず、観察眼と経験だけで膨大な数の新種が生まれたことは驚きです。
日本と西洋、2つの顔を持つ朝顔
・日本朝顔の葉には細かい産毛がたくさん生えているが、西洋朝顔の葉には生えていない。
・日本朝顔は早朝に咲いた花が昼頃にはしぼむが、西洋朝顔は午後3時くらいまで咲いている。
・日本朝顔は成長した葉っぱの脇に花が1輪だけ咲くが、西洋朝顔は3~4輪咲く。
どちらもつるが長く伸びるので日光をさえぎる緑のカーテンとして育てる人も多いですね。ただし、西洋朝顔が最盛期を迎えるのは晩夏以降ですので、遮光目的の緑のカーテンには日本朝顔のほうが向いています。
こんな顔でも朝顔?変化朝顔のいろいろ
江戸の盛夏を彩る華やかな朝顔市
文化文政期ころから園芸愛好家たちが自慢の朝顔を持ち寄り、さかんに品評会が行われていました。
現在では、七夕の前後3日間に入谷の鬼子母神の門前で開かれる朝顔市が全国的に有名です。100軒以上もの園芸業者が色とりどりの朝顔を陳列するので門前一帯はとても華やかに。いまでも江戸・東京の夏の風物詩として愛されています。