日本は新暦を採用しているので1月1日に新年がスタートしますが、中華圏である台湾では、旧暦でお正月を祝うため毎年日付が違います。日本のお正月とはまた違う文化や習慣など、筆者が台湾で過ごした旧正月で感じたことをまとめてご紹介します。
街は赤×ゴールドでゴージャスに飾りつけ
2018年の旧正月は2月15日が除夕(旧暦大晦日)、2月16日が初一(旧暦1月1日)となります。
中華圏でおめでたい色といえば、赤とゴールド。台湾でも、旧正月が近づくと、赤いちょうちんや干支の動物の飾りで街が一気に華やぎます。台湾のクリスマス時期の飾りはまだあまり洗練されていませんが、ゴージャスなデコレーションがデパートや商店に現れ、この時期だけの特別な市場が立つなど、旧正月は気合いの入れ方が違うと感じます。
親族が各地から集まる大晦日
除夕には、全国各地から親族一同が集結します。台湾人の感覚では、一緒に住んでいなくても「いとこ」の範囲までは「家族」と捉えているようで、旧正月はどこの家庭も大家族のようになります。
筆者の親族は、義父の実家に勢揃いしました。なんと、ニューヨークに住む親族までも旧正月のために帰国してきます!普段はおばあちゃんが一人暮らしをしている家で、集まった人から家の掃除を始めたり、春聯(チュンリエン)と呼ばれる縁起物の赤い紙を新しいものに貼り替えたりします。
一同そろったら、まずは「拜拜」
年夜菜を夕食にいただく前に先祖にお供えし、「拝拝(バイバイ)」というお参りをするのですが、おかずを10種類用意しなければなりません。筆者宅は一家の主であるおばあちゃんがベジタリアンであるため、全てベジタリアン食で作りました。
おかずを並べたら、全員が長い線香を代わるがわるに持って拜拜します。そして、外で紙幣に見立てた金紙と呼ばれる紙を燃やし終わったら、やっと夕食となります。
おせちのように意味がある年夜菜
拜拜用のおかずに加えて、夕飯用に肉や魚料理も用意するため、女性陣は昼間ずっとキッチンに立ちっぱなしです。筆者も数品作りましたが、評判が良かったのはきんぴらごぼうでした。甘辛い味が台湾人の好みに合うようです。
日本のおせちと同じく、年夜菜も縁起をかついだ食べ物が並びます。長年菜(チャンニエンツァイ)と呼ばれる青菜はその名の通り長寿を願うもので、旧正月前にだけ出回ります。日本人も大好きな大根餅は手作りする家庭が多く、台湾語でラッキーの意味があります。鍋は一家団欒、また、魚は「余る」という字と発音が同じなので、お金に余りが出る、とされています。カラスミやアワビのような高級品も出されます。
赤い封筒に入ったお年玉
紅包を渡すタイミングも日本と異なり、除夕です。年夜菜も紅包も除夕に済んでしまうので、除夕でメインイベントが終わった感があります。
誰に渡すかは家庭により違いますが、筆者宅では成人した子も上の世代からもらえますし、働き始めたら両親や祖父母にあげるというルールになっています。
旧正月を迎えたらすること
お正月2日目は、嫁が実家に帰る日です。筆者は帰るわけにはいかないので、この日は毎年義母の実家にご飯を食べに行きます。義母の実家も親族が泊まっている上に次々と来客があり、とてもにぎやかです。
旧正月を通して感じたこと
それでも、台湾人は子ども好きが多いので、息子を通してコミュニケーションが図れます。誰かが常に息子と遊んでくれるので助かりますし、大勢の大人に囲まれて過ごすためか、息子の単語量が増えるなどの成長も実感できました。言葉の壁や独特の文化や習慣はあれど、やはり家族や親族との繋がりを強く感じた台湾の旧正月でした。