2017年07月10日 公開
じっくりと文字に向き合う、シュタイナー教育のひらがな導入
教科書を使わず、芸術教育的な手法で学びを深めていくシュタイナー教育。シュタイナー教育の現場ではどのような取り組みが行われているか、筆者の子どもたちが、実際に受けた授業内容をご紹介します。今回は、学習のスタートともいえる小学校1年生でのひらがな導入に注目し、どのようなレッスンを行うのかを取り上げます。
教科書を使わず、芸術教育的な手法で学びを深めていくシュタイナー教育。シュタイナー教育の現場ではどのような取り組みが行われているか、筆者の子どもたちが、実際に受けた授業内容をご紹介します。今回は、学習のスタートともいえる小学校1年生でのひらがな導入に注目し、どのようなレッスンを行うのかを取り上げます。
頭も心も体も動かして、バランスよく学んでいく
自分自身で考え、行動できる、「自由に生きていくことのできる人間」を育むのがシュタイナーの思想です。知性だけではなく、心、体、精神性もバランスよく成長できるよう、シュタイナー教育独自の、体や心の発達観に沿ったカリキュラムが組み立てられています。
お話をじっくりと聞くこと、木の実拾いや編み物、リズム遊びも、すべてが算数や国語などの教科の学びにつながっていきます。
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木の実や松ぼっくりなどの自然素材も、シュタイナー教育ではよく使われる素材。数を数えることは、編み物をすることでも学ぶことができます。ペンタトニック音階の笛の響きも、シュタイナー学校の低学年のレッスンに欠かせない要素です。
教科書は使わない、ノートは自分で作っていく
シュタイナー教育では、教科書を使いません。エポックノートと呼ばれる、画用紙のノートを使い、低学年は蜜ろうクレヨン(発色のよいシュトックマー社のもの)や色鉛筆を使って独自のノートを作成していきます。
先生はその日の教育内容や、それにまつわる物語を暗唱し、黒板画と呼ばれる、芸術的な絵を用いて授業を進めていきます。その絵もあわせてノートに書き写していくことで、子どもは学習内容を自分の中に落とし込んでいくことができます。まさに体験実践型の教育といえるでしょう。
色彩の美しさは子どもたちの感情を動かし、学びが定着することを助けます。芸術には、精神と日常を結びつける力があるとシュタイナー教育では考えられています。また、ある時期までは黒色は使わずに描画していく、という特徴もあります。
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子どもの成長が現れる線引きのレッスン「フォルメン」
1年生になったからといって、すぐにひらがなをスタートするわけではありません。シュタイナー教育には「フォルメン」と呼ばれる線描を行う特徴的なレッスンがあります。線や文様を書くことで、手の動きや空間のとらえ方などを習得していきます。このレッスンがあるためか、実際にひらがなの学びを導入したときに、バランスの取れた文字を書く子どもが多いと筆者は実感しています。
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上の写真は、筆者の子どもが小学校1年生のはじめ頃のフォルメンで描いたもの。枠を囲うことで空間認識を促し、その中にさまざまな線を描いていきます。1年生の間はクレヨンのみ使用。長さや間隔を確認し、フリーハンドで描いていきます。
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はじめたばかりの線描は、こちらの写真のようにバランスも悪くつたないものですが、高学年になるととても芸術的な線描を生み出すことができるようになります。
学びはストーリーとともに
シュタイナー教育には物語がよく取り入れられます。学習の前にろうそくをともし、火のゆらぎを見つめながら、これから学ぶことに関連したお話しをしていきます。そうすることで、子どもたちが学習する世界にしっかりと足を踏み入れ、知性を育て喜怒哀楽の感情を豊かにしていくための土壌を作るのです。
先生により、授業の進め方はさまざまですが、筆者の子どもが経験したレッスンでは、ひらがなにもひとつひとつの物語があり、漢字の導入時も、それにまつわるお話を聞いてから、絵を描いて、文字(象形文字)を発見していくという手順で学びが進められていきました。
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「ふ」はふえの「ふ」。その文字を使った言葉を子どもたちが自ら探して、絵と共に書き込んでいきます。
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「ら」はライオンの「ら」。先生のお話しを聞いてから、黒板絵を真似してノートに書き込みます。
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「れ」はれんげそうの「れ」。右下には書き順が、色分けされて描かれています。
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漢字は絵から、文字を取り出します。子どもたちが、自ら発見して学んでいく姿は、親にも大きな感動を与えてくれます。
実際にシュタイナー教育の学びを体験してみたい方には
シュタイナー教育を行っている学校では、保護者向けの体験授業や、学校説明会などを多く開催しています。実際に子どもたちの学ぶ環境に触れ、教員に質問をしたりすることもできますので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみることをおすすめします。