成績アップ、有名大学への合格、一流企業への就職。親なら誰しもわが子にそう願うもの。しかし、このグローバル時代において、その道筋が本当にその子にとって幸せなのでしょうか。書籍『科学が教える、子育て成功への道』で記された、今、子どもに必要な6つの能力をご紹介します。
「賢い子ども」「成功する子ども」って?
著者:キャシー・ハーシュ=パセック(著)、ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ(著)、今井 むつみ(訳)、市川 力(訳)
出版社:扶桑社
みなさんは、「賢い子ども」と聞いて、どういう子どもを思い浮かべますか? 「成功する子ども」と聞いて、何が子どもにとっての成功なのかイメージを持っていますか?
学校で優秀な成績を納めて有名大学に入る子は、賢い子に違いありません。一流企業に就職し高収入を得ることを、成功と呼ぶこともできます。しかし、本書では、そうした一面的な賢さや成功は、このグローバル時代においてもはや時代遅れである、と言っています。
グローバル時代を生き抜くために必要な6つのCとは?
本書を読んで感じたことは、それぞれの能力は、とても密接に結びついているということ。コラボレーションは、コミュニケーションなくしては生まれないし、疑問に感じたり不思議に思う経験(クリティカルシンキング)を通して新しい知識(コンテンツ)を獲得したり、想像力を高めて新しいものを生み出していくこと(クリエイティブイノベーション)ができます。
そして、さまざまな経験を通して身につく自信(コンフィデンス)。友達と協力し合って何かを成し遂げたときの満足感、作りたいものを作れたときの達成感など、結果ではなくそのプロセスに注目して子どもを認めてあげることで、子どもの自信指数が上がり、自己肯定感を鍛えることができる、と書かれています。
ソフトスキルとハードスキル
このソフトスキルは、学校以外の家庭での生活や遊びの中でも伸ばすことができる、と本書にはあります。そして、実際に、子育てをする親としてどう子どもに接するとよいか、という具体的なアドバイスもしています。そうです、ここで親の出番なのです! 今の学校では教えにくい、ソフトスキルを伸ばすことを、普段の生活の中で意識することが大切だということです。
芸術が6つのCの力を伸ばす?
音楽に合わせて友達と踊ったり歌ったりすることはコラボレーションの第一歩。親子で何かを一緒に作ったり、絵や写真などについて感想を言い合ったりするのもいいかもしれませんね。正解のない芸術は、自信を養うにもぴったり。子どもが落書き帳に描いた絵だって、立派な芸術! どうしてこういう色を使ったのか、何を表現したかったのか、子どもに聞きながらいちいち褒めてあげると、きっと子どもは嬉しくて、自分に自信を持ってくれるでしょうね。
筆者は、これまでもできるだけ子どもを褒めるようにしていましたが、これからはプロセスにも注意して子どもを見ていこうと思いました。音楽や工作、お絵かきもただ楽しむだけではなく、6つのCを意識して接していきたいです。
プレイフルラーニングで親子で成長!
一緒に塗り絵をして、私が違った色で完成させた絵や、次女の線を無視してグルグル塗りつぶした絵を比べてみると楽しいかなと思いました。こういう色づかいも素敵よね、次女もだんだん上手になってきたよね、という会話から、もっとのびのびと、失敗を恐れずに「やってみたい」という気持ちを伸ばしてあげることができるのじゃないかな、と。
本書の中でも、こうした親子の「プレイフルラーニング」の効果について書かれています。6つのCは、何も子どもだけに求められる能力ではありません。そして、子ども時代にだけ伸ばせる能力でもありません。大人だって、これから6つのCを身につけ、磨いていく時代。子どもと一緒にプレイフルな時間を作って、ともに成長していききたいものです。
少々長い本ですが、子育て世代が参考にしたくなる情報がたくさん。ぜひ一度手に取ってみてください。