「日本では親子が川の字で一緒に寝る」とフランス人に話すと驚かれます。こちらでは、親子別室で寝るのが普通なので、親と一緒に寝る子は珍しがられたり、「よくないわよ」と非難されたりすることもあります。今回は【フランスで新生児から別室で寝る習慣】についてご紹介します。
赤ちゃんの一人寝は何カ月目からはじめる?
いろいろなパパママたちに事情を聞くと、【生後数週間から6カ月】の間に一人寝をはじめさせる家庭が多いようでした。
特に産後3カ月以降は、産休を終え、職場復帰するママが多いという事情があるのと、赤ちゃんが昼夜の区別ができるようになり、睡眠時間がある程度まとまってできるようになるので、自分の部屋で一人で寝かせはじめるのによい時期だといわれたりもします。
早い場合だと、産院から帰ってきてすぐ(生後4日〜1週間⁉)に一人寝させるというケースも聞きます。
ちなみに、筆者が出産したフランスの産院の小児科医の先生は、赤ちゃんの変化にすぐ気付けるよう、生後6カ月間は一緒の部屋で寝かせることをオススメしていました。
日本で生まれ育った筆者としては、「小さい新生児を部屋に一人で寝かせるなんて信じられない!」と思ってしまったのですが、私のような考えの人はフランスでは少数派。親自身が小さいときから一人寝してきたので、子どもを一人寝させることに抵抗を感じず、むしろ当たり前という感覚です。
何かあった時の対策は?
別々の寝室といえども、子どもが寝る寝室は親の寝室の隣などすぐ近くに用意し、赤ちゃんが泣いたらある程度わかるような状態を確保します。寝室のドアを完全に閉め切らず、少し開けておくこともします。
それでも心配な場合は、子どもの安全をいつでも確認できるベビーモニターを活用している家庭もあります。
一人寝のメリット
自立心を養う
フランスでは、子どもは未熟な存在というよりも、自分の意思を持った【小さい大人】として扱われ、早い時期から自立心を育むことが大事とされています。これは生後間もない赤ちゃんも同じです。【一人で寝れること】イコール【自立する第一歩】といえるのかもしれません。
産後の夫婦生活を妨げないため
産後の夫婦生活は大切にされ、そのために子どもと寝室を分けることは自然なこととされています。
ちなみに、筆者が産後2カ月頃から通った助産師さんとのペリネ(骨盤底筋)トレーニングでは、【産後の夫婦生活について順調かどうか】ということまでチェックされました。
さすがアムール(愛)の国と呼ばれるだけあって、フランスでは夫婦で過ごす時間がいかに大切にされているかということを実感したのでした。
お互いのよりよい睡眠のため
同じ部屋にいると、親はちょっとした赤ちゃんの動作や泣き声に反応してしまい、なかなか寝付けず、心身ともに疲れてしまいます。
また赤ちゃんも、生活リズムを整えにくく、大人がちょっと物音を立ててしまった際に赤ちゃんを起こしてしまうこともあります。
別々の部屋にするのは、親にとっても赤ちゃんにとっても、ある意味理にかなっていること、といえるかもしれませんね。
一人寝のデメリットは?
先ほどの【万が一何かあったとき】というリスクはありますが、フランスにおいては、一人寝のデメリットとして重視する向きはほとんどありません。
しいて挙げるとすれば、子ども用の寝室が必要、ということくらいでしょうか。家が小さく、部屋が余分にない場合は、フランスでも一人寝させることができないケースもあります。