2018年06月22日 公開

人生100年時代への備え!?『LIFE SHIFT』からのメッセージ

世界のどの国よりも平均寿命が長い日本。長寿化時代に向けてどのように生き方や考え方を変えていくべきか、その一つの答えを提唱している書、『LIFE SHIFT』について、ご紹介します。長寿化時代を生きる子どもの親として何ができるのか、一緒に考えてみましょう。

世界のどの国よりも平均寿命が長い日本。長寿化時代に向けてどのように生き方や考え方を変えていくべきか、その一つの答えを提唱している書、『LIFE SHIFT』について、ご紹介します。長寿化時代を生きる子どもの親として何ができるのか、一緒に考えてみましょう。

『LIFE SHIFT ー100年時代の人生戦略』

LIFE SHIFT(ライフ・シフト) | リンダ グラットン, アンドリュー スコット, 池村 千秋 |本 | 通販 | Amazon (93869)

タイトル:LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
著者:リンダ・グラットン(著)/アンドリュー・スコット(著)/池村 千秋(訳)
出版社:東洋経済新報社
ご紹介するこちらの本は、2017年発売され、あらゆる世代から支持を受けて世界中で話題となりました。

日本でも、グロービス経営大学院、Forbes JAPAN、flier、HONZが共同開催した「読者が選ぶビジネス書グランプリ2017」で総合ランキング第1位を獲得。近い将来に訪れる【100年時代】をどう生きていくか、さまざまな問いを与えてくれます。

今回は特に、幼いお子さまをお持ちのパパママに向けて、【100年時代】がどのようなものなのか、子どもたちには【どのような生き方】【考え方が必要となるのか】といった点に絞り、ご紹介します。

これまでの常識は通用しない時代

「日本語版への序文には、以下のような日本についての統計情報が記載されています。
・世界保健機関(WHO)の統計によれば、ほかのどの国よりも平均寿命が長い。
・国連の推計によれば、2050年までに日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込み。
・2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。
via LIFE SHIFT
つまり、今幼少時代を過ごしている子どもたちの多くは、【100年時代】を生きることになるわけです。
【100年時代】を生きるためには、学び方、働き方、結婚や出産のタイミング、パートナーとの関係性など、あらゆる面で変化が求められるとも書かれています。

私たちの両親、そして私たちが経験してきたようなライフスタイルや常識では、通用しない時代を生きることになるというわけです。親として、その変化をまずは受け止めなければいけません。

・親の世代に有効だったキャリアの道筋や人生の選択が、あなたにも有効だとは限らない。あなたは、親の世代とは異なる選択をすることになる。
・人生の道筋に関する常識は、すでに変わり始めている。
via LIFE SHIFT

3ステージ型仕事人生の終焉

本書では、20世紀に定着していた、人生を三つのステージに分ける考え方を捨てる必要があると提唱しています。そのステージとは、これまで多くの人がこの順番通りに人生を歩んできた【教育】【仕事】【引退】の三つのステージです。
同世代が同時期に大学に進み、同時期に就職し、同時期に子どもをつくり、同時期に仕事を退く―隊列を乱さずに一斉更新する集団さながらの画一的な生き方は、時代遅れになるだろう。
via LIFE SHIFT
なぜ【100年時代】では、この三つのステージの考え方ではいけないのでしょうか。

それは、引退年齢が変わらないとすると、その後の引退生活が長くなり、ほとんどの人がその生活に必要な十分な資金を確保できなくなる、という問題に直面してしまうからだそうです。

この問題を解決するには、第2ステージで70~80代まで働き続ける必要が……。これはあまり受け入れたくない現実かもしれませんね。

長寿化時代に向けて、人生の在り方そのものが根本から変わらなければいけない。人生の時間が大きく増えるのだから、その時間の組み立て方を変えるべきなのだ。
via LIFE SHIFT

人生のマルチステージ化

70、80代まで同じキャリアを続けることはスキル・知識的にも難しいものがあります。そのため、長寿化時代では、生涯に二つ、三つのキャリアを持つことが必要となり、以下のような新たなステージも選択しながら移行を続けていくことになると紹介されています。

①選択肢を狭めずに幅広い針路を検討する「エクスプローラー(探検者)」
②自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こす「インデペンデント・プロデューサー(独立生産者)」
③さまざまな仕事や活動に同時並行で携わる「ポートフォリオワーカー」

そして、一斉行進ではなく、自分の嗜好や状況に応じて、自分でタイミングを決めてマルチステージの人生を自分で計画して進めていく必要が出てくるとも提言されています。

私たちの世代は、一斉行進がよし、皆同じタイミングで進学、就職をするのがよし、と教育を受け、なるべく道を外れないように育ってきた方が多いのではないでしょうか。

でも、私たちの子どもたちは、自分の人生をどのように組み立てたいか、自分のアイデンティティと価値観は何か、それをどう人生に反映させるかを考えなければいけない時代を生きていくことに……。

そのために親として何を伝えていけばよいのか、考え直さなければいけません。

アイデンティティ、選択、リスクは、長い人生の生き方を考えるうえで中核的な要素になるだろう。人生が長くなるほど、アイデンティティは人生の出発点で与えられたものではなく、主体的に築きうるものになっていく。
via LIFE SHIFT

無形資産の重要性

本書でのキーワードとして「マルチステージ化」のほかに、もう一つ重要なものが「無形資産」です。「貯金やマイホームといった【有形資産】だけでなく、三つの【無形資産】を築くことが100年時代を生きる助けになる」と書かれています。

①生産性資産(スキルや知識)
 仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素のこと

②活力資産(肉体的・精神的健康と幸福)
 肉体的・精神的な健康と幸福のこと

③「変身資産」
 自分自身に大きな変化を促すために、(1)自分をよく知っていること、(2)多様性のある人的ネットワークを持っていること、(3)新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていること

特に「変身資産」については、マルチステージ型の人生では、多くの変化を経験して変身していくために、非常に重要な資産となりうるそうです。

たとえば、子どもに多様性のある環境を経験させたり、いろいろなことにチャレンジさせたりすることは、変身資産に繋がりそうですね。子どもがどんなことが好きなのか、何に興味を持っているのか、を親としてよく観察し、それを本人に伝えてあげることも大事かもしれません。

パートナーの両方が職を持つメリット

筆者が個人的に納得したポイントがこちらです。
・働き方が根本から変われば、家庭生活も大きく変わる。
・二人が同時に働く形態もあるし、互いのキャリアを支えるために交互に職に就く形態もありうる。
・長い人生に必要な資金を確保するうえでリスクを大きく減らせる。
via LIFE SHIFT
夫が外で働いて収入を得て、妻が専業主婦を務めるという家庭形態は、長寿化時代には明らかに適さない、と本書では指摘しています。

パートナーが新しいスキルを習得するために、二人の役割やバランスを状況に応じて柔軟に変更しながら、経済的責任をパートナーと分かち合う……。そうしたことが、【100年時代】の恩恵を最大限大きくすることに繋がるというわけです。

100年時代に向けて子どもをサポートしていこう

【100年時代】とはどのようなものか、ポイントをご理解いただけたでしょうか。

これまでは、「皆で同じような選択をしていれば間違いない」と考える傾向にありました。よい大学を出て、よい会社に入社し、30歳までに結婚して子どもは二人。65歳で定年後は旅行や趣味の時間を楽しむ……といった人生設計が、多くの方が思い描くイメージだったはず。

しかし、【100年時代】では人生そのものが長くなり、変化が求められ、選択の機会も増えていきます。歳の近い周りの人の真似をしたり、同じ行動をとったりするだけではうまくいかない場面が増えるでしょう。

子どもたちはこれからたくさんの選択をしていくことになります。その際、自分のアイデンティティ・価値観について軸を持ち、自分が望む人生になるよう、個々が主体的に選択をして、よりよい人生にして欲しいですよね。

「自分の人生をどう選択していくべきか?」

子どもが自分の趣味趣向を認識して、自己肯定をして、自信を持って選択をできるよう、親としてサポートをしていていきたいです。

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この記事のライター