批判的思考(クリティカルシンキング)という言葉を聞いたことがありますか?教育現場において、子どもに身に付けさせたい能力として挙げられています。批判的思考とはどのような考え方なのでしょうか?なぜ必要とされているのか、その理由も探っていきます。
批判的思考(critical thinking)とは
物事を論理的に整理して考えたときに、客観的で多角的な視点で課題を捉えて、より良い判断ができるようにしようとすること。これが正しい批判的思考です。
自分で一つの結論を出す場面において、「本当にそうだろうか?」「きちんと正しい判断ができているか?」「相手の意見はどうか?」などを考えたうえで決定することと言うと、少し分かりやすいかもしれません。
批判的思考が注目される背景とは
こうした背景から近年、教育現場において子どもたちに批判的思考を身につけさせることが課題に上げられています。特にこれからの社会を生き抜いていくうえでは、不可欠な力といえるかもしれません。
自分で意見をまとめるという場面では、どうしても根拠のない思い込みや思考のクセが出てしまいがちです。インプット量が膨大な情報化社会の中で、正しい情報をキャッチすることが難しくなりつつあるのもその要因です。
すると「これが常識」とされる原理原則が本当にそうなのか、正しいとされる主張を裏付ける事象・事例を集める必要があります。主張を客観的に判断できるようにならなければ、物事を間違った方向へ進めてしまう危険性があるでしょう。
型にはまった一般的な考え方や情報を、そのまま受け入れていたのではいけません。批判的思考力は、さまざまな情報の中からデータを集めてそれらを精査し、より良い結論を出すために必要だと言えるでしょう。
論理的思考との違い
論理的思考
たとえば「夏には肌がかゆくなります」というと、「なぜ?」という疑問が付きます。「夏は蚊にさされる機会が増えて、肌がかゆくなります」というと因果関係が明確化され、意見を聞いていた人も納得できるでしょう。この「なぜ?」で結論を補強するのが論理的思考です。
批判的思考
物事を考えるステップとして土台を「検討する」ことが、批判的論理の特徴であり、論理的思考との違いです。
家庭で身につく批判的思考のトレーニング方法
子どもにどうしてバターとメープルシロップを出したのか聞いてみましょう。パパは「甘いものよりも、パンとして食べたいからチーズを出した」ことを伝えます。ママは「コーヒーに合うように甘いトッピングを選んだ」ことを伝えてみてください。
人にはそれぞれ意見があり、その意見には理由があること、必ずしも皆が同じ意見ではないということが分かります。もちろん子どもの心を傷つけないよう、行動を否定するようなことは言わないようにしましょう。
パパママの協力が必要です
家庭では、子どもが興味のある分野で「なぜ?」と思えることを探し、それに対して推論させてみてください。子どもだけの意見ではなく、パパママの推論も意見し、自分で最良と思われる答えを導き出せるよう促してあげましょう。
・「なぜ?」の答えを調べることを繰り返す
・他の人は自分と違う視点で物事を考えていることを知る
・最良の結果にするにはどうすれば良いかを考える
この3つを、パパママが助太刀をしながら少しずつ教えてあげてください。