2019年03月07日 公開
刺身やお寿司は何歳から?生魚を食べられる年齢と注意点
キラキラ輝くお刺身やお寿司は、子どもたちにとっても魅力的。しかし消化器が未熟で抵抗力の低い子どもたちに、生ものを食べさせるのは心配があるかもしれません。生魚を食べることのリスク、「何歳くらいからOK?」など、生魚デビューついて詳しくご紹介します。
キラキラ輝くお刺身やお寿司は、子どもたちにとっても魅力的。しかし消化器が未熟で抵抗力の低い子どもたちに、生ものを食べさせるのは心配があるかもしれません。生魚を食べることのリスク、「何歳くらいからOK?」など、生魚デビューついて詳しくご紹介します。
刺身・お寿司……生の魚は何歳から食べられる?
大人ばかりではなく、子どもも大好きなお寿司やお刺身。とはいえお寿司やお刺身は生ものです。子どもがどれくらいの年齢になれば生ものを食べていいのか、疑問に思っているパパママも多いでしょう。
生魚にはいろいろな種類があり、子どもの消化器の成長度合いにも個人差があります。そのため「生魚を食べても確実に安全」といえる年齢をお伝えするのは難しいところ。しかし離乳食期を含め、乳児の間はNGです。
あくまで参考としてですが、子どもの生魚の飲食について食品安全委員会がフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)の資料を公開しています。ここには「3歳未満の子どもには、生魚や加熱が不十分な魚を食べさせるのは避けるように」と記載されていました。
このことから基本的に生ものデビューは早くて2歳半前後から、慎重にというなら3歳すぎ頃を目安に、子どもの様子に注意しながらはじめるのが無難といえるでしょう。
離乳食期に生魚を食べさせるリスク【1】
離乳食期に生魚を食べる一番大きな危険は、お腹を壊す可能性です。生魚は加熱してある食材と比べ消化が悪いため、まだ胃や腸などが未発達の赤ちゃんの内臓では力不足。たとえ生魚の鮮度に問題がなくても、腹痛や下痢、嘔吐を引き起こしてしまうことがよくあります。
また生魚はヒスタミン中毒、腸炎ビブリオやアニサキス寄生虫による食中毒を引き起こす可能性も。抵抗力の弱い赤ちゃんは食中毒の症状が重症化しがちです。このような危険をさけるためにも、離乳食期の生魚はやめておきましょう。
離乳食期に生魚を食べさせるリスク【2】
離乳期に生魚を避けたい理由はほかにもあります。この時期の赤ちゃんはまだ歯が完全に生え揃わず、また生え揃っていても噛む力が強くありません。生魚をうまく噛み切れず無理に丸呑みするのがくせになったり、のどに詰まったりする危険もあります。
特にイカやタコなどは生はもちろん、茹でてあっても歯と顎がしっかりしていないと噛み切ることができません。
離乳食期に生魚を食べさせるリスク【3】
アレルギーの問題も気にかけたいものです。魚介類のなかでも特にエビ・カニなどの甲殻類は、アレルギーの原因となりやすい食材です。加熱してあっても離乳食完了期ごろまでは待ちましょう。またサバなどの青魚は、離乳食後期以降に少量から始めることをおすすめします。
そのほかイカ、アワビ、イクラなどの魚卵もアレルギーを引き起こしやすく、離乳食期に与えるのは避けてください。
はじめて生魚を与えるときに注意すること
はじめての生魚、子どもがおいしく気分よく食べることができるよう、いくつか気をつけたいことがあります。まずひとつは、新鮮な魚を選ぶこと。調理のときはパパママが手をしっかり洗います。まな板や包丁も清潔なものを使い、できるだけ細菌の付着を防ぎましょう。
調理したら細菌を増やさないために、できるだけ早く食べるようにします。それと同時に気にかけたいのは、お子さまの体調のいいときに少量からはじめることです。
より安心できる生魚デビューを目指すなら、はじめてのときは表面をさっと炙ったり、軽く湯がくのもおすすめ。加熱することによって多くの菌は死滅します。
はじめて食べるのにおすすめの生魚は?
生魚デビューの魚選びのポイントは、「寄生虫やアレルギーの危険が低い」「消化が比較的よい」「咀嚼しやすい」の3点です。一般的にはマグロなどの赤身、または白身のお刺身がおすすめ。白身のお刺身は魚の種類によっては噛み切りにくいものもあるので、その場合は小さく切ってあげましょう。
魚卵、生の青魚、貝類、イカ、タコ、エビ、カニは、赤身・白身のお刺身に慣れてから。生魚デビューでは避けたほうが無難です。
人気の寿司ネタ、食べられる時期の目安は?
2012年にバンダイが行った調査によると、子どもに人気の寿司ネタ1位~5位は次のようになりました。
1位:いくら
2位:マグロ
3位:サーモン
4位:たまご
5位:エビ
それぞれのネタについて、食べられる時期の目安をご紹介します。
データ引用:株式会社バンダイ「お子様が好きなお寿司のネタは何ですか?」
http://www.bandai.co.jp/kodomo/pdf/question206.pdf
イクラ
見た目と食感のプチプチ感が子どもの興味をひくイクラ。じつは思いのほか塩分が多い寿司ネタで、イクラの軍艦巻き1貫分だけで約0.5gの塩分が含まれています。厚生労働省の定める3~5歳の幼児の1日の食塩摂取基準量は、男児4.0g未満、女児4.5g未満。
もしイクラの軍艦巻きを2貫食べると、塩分はそれだけで1日の摂取基準料の4分の1にもなります。アレルゲンとなりやすい魚卵であることと塩分が気になるため、できれば3歳頃までデビューは待ちましょう。
マグロ
子どもたちが大好きなマグロ。我が家の娘も小さい頃は一番お気に入りの寿司ネタでした。生魚の中でも咀嚼しやすく消化も比較的いいので、早ければ2歳半頃からチャレンジできます。ただし量は控えめに。またトロは脂があるぶん消化が悪くなるため、子どもには赤身がおすすめです。
サーモン
イクラの親であるサーモンは、鮮やかなオレンジ色と程よくのった脂が子どもたちに人気です。また回転寿司店などでマヨネーズつき、炙りなどいろいろなバリエーションが楽しめるのも子どもにうける理由のひとつでしょう。
回転寿司などで使われることの多い養殖サーモンは、食中毒の原因になるアニサキスがいる可能性は低いとされています。ただし天然ものの場合もあるので、早くても3歳頃からが安心です。
エビ
上記であげたものに加えエビもそうですが、子どもたちは赤っぽい色の寿司ネタを食べたがる傾向にあります。エビは茹でたものなら離乳食完了時期から、少量であれば大丈夫です。甘エビやボタンエビなど生エビの場合は、3歳を過ぎてからがいいでしょう。
鮮度のいい魚の見分け方
子どもに生魚を食べさせるときには鮮度のいい魚を選ぶことが大切。そこで最後に、鮮度のいい魚の見分け方のポイントをご紹介します。一匹丸ごとの場合は、次の4つに気をつけましょう。
・目が赤くなったり白っぽくなったりしておらず透明感がある
・エラの内側が鮮やかな赤
・お腹がぶよぶよしていなく張りがある
・鱗が綺麗でキラキラしている
すでにお刺身になっている場合は、身に艶があり、パックに汁がたまっていないものを選んでみてください。
子どもの体調と相談しながら食べさせて
「子どもに何歳から生魚を食べさせていいか」に関しては、残念ながら明確な指針がありません。こちらの記事もあくまでも目安と考え、子どもの状態をみながら少しずつ食べさせていくのがベスト。また不安に感じたら、自己判断ではなくかかりつけの小児科に相談してみるのもひとつの方法です。
(監修:管理栄養士 佐藤まゆこ )