最近「考える力」の大切さが注目されていますが、子どもたちが学習していくなかでは、やはり記憶力が必要不可欠なもの。幼児期の記憶力アップは、じつは家庭でも可能です。子どもの記憶力を家庭で鍛えるポイントと、具体的な方法をご紹介します。
記憶力は家庭で伸ばせる
また、小学生ぐらいまでの子どもの脳はまだ発達している途中。そのため幼児の時期に必要なのは、特別な英才教育などの訓練や記憶術ではなく、脳の健やかな成長を育むことです。
子ども時代にパパママが家庭の中に豊かな想像力・感性を育てる環境を作って上げることが、将来的な記憶力アップにつながります。日常生活のなかでパパママができる記憶力を鍛える具体的なポイントを、次からご紹介しましょう。
ポイントその1:繰り返し声に出す
基本的には食べ物や危険など、生きていくことに密接にかかわる情報を海馬は優先するもの。しかし生死に関係ない情報でも、繰り返し何度も脳に送られると、海馬は「大切な情報だ」と間違って理解します。
つまり反復することによって海馬が重要な情報だと勘違いし、短期記憶ではなく長期記憶として定着する仕組みです。これが勉強で復習が大切だといわれる所以。また繰り返すだけではなく、声に出すことも大切です。耳からの情報は、目からの情報より時間が経過しても定着しやすいと言われています。
ポイントその2:他と関連付けて覚える
私たちの脳に保存されている記憶は、神経細胞のネットワークでつながり、つながりの多い記憶ほど思い出しやすくなる仕組みなっています。逆につながりが少ない記憶は思い出しにくいものです。
丸暗記より関連付けで覚えるのが効果的だという理由はここにあります。
ポイントその3:子どもが覚えたことを親が教えてもらう
子どもができる一番簡単なアウトプットは、覚えたことをパパママに話すこと。お子さまと会話をするとき、どんどん質問してみましょう。小さなうちは「今日、幼稚園で何が楽しかった?」など簡単なことでいいので、記憶をたどって思い出せる過去のことを聞いてあげてください。
小学生くらいになったら「算数でどんなことを勉強した?パパママ忘れちゃったから教えてくれる?」など質問してもいいですね。
ポイントその4:読み聞かせも効果的
この複数の情報のインプットという点でとても効果的なのが、絵本の読み聞かせです。普通の読書では「文字」だけのところ、絵本ではこれに「親の声」「絵」という3つの情報が一度に脳に入ってきます。複数の情報によって海馬が刺激され、関連付け効果によって言葉も記憶に残りやすく、語彙力アップにもつながります。
また絵本の読み聞かせなら、勉強と違って子どもたちもみんな大好き。自然に楽しく記憶力が鍛えられます。
読み聞かせ絵本の選び方と読む量の目安は?親子の時間を大切に!
ポイントその5:効果的な時間は空腹時
飢餓状態は生死と強く結びついているので、本能的に空腹時は脳にとって「危険な状態」と判断されます。あまりにもお腹がすきすぎて、イライラしていては逆効果ですが、基本的には食後の満腹時より食事前のほうが記憶力は鍛えられます。
ポイントその6:睡眠は大切
記憶の要の海馬は睡眠中もしっかり働いて、情報を整理し記憶に残す仕事を行っています。たとえば徹夜で試験勉強などをしてしまうと、この整理の段階を踏んでいない情報となり忘れやすくなるもの。一夜漬けの知識が定着しないのはこのためです。
また記憶では反復が重要だとお話しましたが、反復の間に睡眠を挟むと、その都度脳の中で整理されるので効率よく記憶に残ります。覚える、眠るを繰り返すことによって記憶が熟成されていくのです。
記憶力を鍛えるためには親子で言葉遊び
おうちで、外出先で、親子のコミュニケーションタイムに気軽に一緒に楽しめる言葉遊びを3つご紹介。特に道具も必要ないので、お子さまがちょっと退屈してしまった電車やバスの中などでも遊べますよ。
逆さ言葉遊び
パパママだけが質問するのではなく、お子さまが問題を出して親も答えるともっと楽しく遊べます。数字は大人にとってもなかなか難しいはずです。
条件付きしりとり
逆さ言葉遊びと同様、パパママだけが条件を設定するのではなく、お子さまと交互に条件を決めていきましょう。
言葉あつめ
基本的には1つずつ言葉を答えていきますが、簡単にできるようになったら新しい言葉を前の言葉につなげどんどん長くしていってみるのもおすすめ。たとえば赤いものなら「トマト」、「トマト・血」「トマト・血・赤信号」と答えていきます。
記憶力アップに効果的な習い事とは?
楽譜の情報が脳にインプットされ理解したあと、身体に司令を送り指をコントロールしながら弾くというのがピアノ演奏の流れです。また音を奏でるたびに思っていた通りの音かどうかを自分の耳で確かめ、目は楽譜の次の部分を見るという作業が繰り返されます。
また楽器の演奏では欠かせない暗譜。ピアノはほかの楽器と比べ楽譜が複雑なため、暗譜の過程でも脳が鍛えられます。