2019年、1kgの定義が130年ぶりに変更されます。何がどのように変更され、変更になることで私たちの暮らしにはどのような影響があるのでしょうか?そもそもなぜ重さの定義が必要なのかなど、私たちの身の回りの「重さ」に関する秘密にせまっていきます。
1kgの定義が変更になる!?
しかし定義を決めるためには、「絶対に揺るがない基準」を見つける必要があります。その基準を見つけるのは、想像もできないほど大変な作業。今回1kgの定義を変更するのは、これまで「絶対に変わらない」と思っていた基準が揺らいでしまったためです。
どうして定義が必要なの?
まだ国によって単位がバラバラだった時代のこと。とある国が、違う国の大工と一緒に木造船を作りました。完成したものを海に浮かべたところ、バラバラに壊れてしまったのだそう。これは単位が統一されていなかったため、各国で用意していた部品のサイズが違っていたことが原因です。
なお重さを定義するのは、単位のなかでもかなり大変。たとえば長さの定義は、「1m=真空中で光が1/299,792,458秒間に進む距離」と決められています。光の速さは不変で、かつ科学の進化により光の速さを正確に測れるようになったためです。
しかし重さには、絶対に変わらない基準というものがありませんでした。そこで世界共通の「1kg(原器)」というものを定め、常にそれと照らし合わせることで基準とすることにしたのです。
しかし最近、その原器に1億分の5kgの誤差が見つかりました。「たったそれだけ?」と感じるかもしれませんが、ハイテクノロジーや創薬などの分野では、このわずかな誤差が命取りになることもあります。そこで科学の進歩のため、より正確な単位の定義が必要とされました。
現在の1kgの定義は?
これを1㎏の原器と定め、ほこりなどの影響を受けないようパリ郊外の国際度量衡局にて厳重に保管。さらに、この原器の複製を各国に配置するようにしました。
「先10万年は変化せず保つことができる」と考えられていた原器。しかし先ほども述べたように、最近になってわずかな変化が認められたのです。
どう変更されるの?生活に影響はある?
1kgの定義は、これまでさまざまな案が検討されてきました。そしてついに2018年11月16日の国際度量衡総会にて、プランク定数の値により定義することを決定。プランク定数とは物理の世界における、エネルギーの最小単位と結びついた値です。
なお定義が変更になるからといって、私たちの生活が大きく変わるようなことはないでしょう。あくまでも、変更後は「1kgをより精密に測ることができる」というだけのこと。これまで家で使っていたはかりが使えなくなるなどの不便が生じることはありません。
単位の定義は科学の結集
普段の生活で何気なく使っているものの多くには、科学が深く関わっています。単位だけでなく、いろいろなものの成り立ちについて、お子さまと一緒に調べてみてはいかがでしょうか。科学の世界に関心を持つきっかけになるかもしれません。