2018年06月21日 公開

「嫌なこと」「困っていること」を言える子に育てるには?

保育園や幼稚園など集団生活をおくる上で、子どもが自分の言葉で「嫌なこと」「困ったこと」を周りに伝えられるということは、とても大切なことです。自分の気持ちを言葉にできる子どもに育てるために、筆者が家庭で意識しているポイントをご紹介します。

保育園や幼稚園など集団生活をおくる上で、子どもが自分の言葉で「嫌なこと」「困ったこと」を周りに伝えられるということは、とても大切なことです。自分の気持ちを言葉にできる子どもに育てるために、筆者が家庭で意識しているポイントをご紹介します。

自分の言葉で「意思表示」できることの重要性

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Zabavna / Shutterstock.com
保育園や幼稚園で集団生活がはじまると、子どもは自分で自分の意思を主張できないと、多くのストレスを抱え込むことになります。

お友だちからたたかれても嫌だと言えず苦しんだり、「トイレに行きたい」と先生に言えずに具合が悪くなったりするなど、子どもが集団行動そのものを嫌がる原因にもなり得るのです。

おしゃべりがある程度できるようになったら、嫌なこと、困ったことがあったら、子どもが自分で言えるように、家庭でも練習をしておくと安心です。

「嫌だ」「困った」を言えるように心がけたこと

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小学生になった今でこそ、元気でおしゃべりなわが家の長女ですが、2~3歳のころは人見知りが激しく泣き虫で、嫌なことや困ったことがあるとパニックに陥り、とにかく泣き続けることもよくありました。

そこでわが家では、子どもが自分の気持ちを自分の言葉で説明できるように、次のようなことを教えたり、心がけたりしていました。

伝え方を教える

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「嫌なことをされても嫌と言えない」「困っていても口に出せない」という子どもは、周囲とのトラブルを好まない、心優しい子が多いものです。

「嫌なことは嫌ってちゃんと言いなさい」と責めてしまうと、子どもは「相手を傷つけたくないのに嫌だと言わなければならない」と、余計にストレスを抱えることになりかねません。

そこで、嫌なこと、困ったことが起きたときの伝え方を具体的に教えてあげましょう。例えば、おもちゃを取られそうになったときは、「『先に使っていい?1回遊んだら渡すね』って言ってみたらどうかな?」と声をかけてみたり、1人では先生に話しかけにくいという場合は、「仲良しのお友だちに一緒に来てもらえるよう頼んでみるのはどう?」といった案を出してみたりするなど、方法はさまざまです。

いくつかの方法を試しながら、子どもに合った「嫌なことや困ったときが起きたときの対処法」を見つけられると良いですね。

子どもの言葉をさえぎらない

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おしゃべりが上手になったように見えても、幼児期の子どもには自分の気持ちを十分に伝えられるほどの語彙力はありません。また、起きたことや感じたことを他人に伝わるように説明するのは、子どもにとっては難しいことです。

つたない説明に、つい子どもの話の途中でも「つまりこういうこと?」と先回りしてしまいたくなりますが、時間が許す限り辛抱強く待つようにしていました。

結論が見えない子どもの話を聞き続けるのは、忍耐力が必要でしたが、なるべく口をはさまず耳を傾けるように心がけたことで、子どもも自分の気持ちを安心して話してくれるようになりました。

質問上手になる

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子どもが自分の気持ちを上手に伝えられるように、子どもがおしゃべりをしているときは、「いつ」「どこで」「誰が」「何をして」「どう思ったのか」を、意識的に尋ねたり、繰り返したりするようにしていました。

一度にすべてを尋ねてしまうと子どもが混乱してしまうので、最初は一問一答形式が良いと思います。「それは今日起きたこと?」「幼稚園であったことかな」「お友だちとケンカしたのね」「それで嫌な気持ちになったんだね」と、1つずつ確認することで、状況も整理でき、子どもは「どのような内容を話せば気持ちが伝わるのか」ということを学べます。

慣れてきたら、質問内容に「これからどうしたいのか」を追加するのも良いと思います。「次に同じことが起きたらどうしようか?」という質問を増やすことで、嫌なことや困ったことが起きたときの対処方法も一緒に考えることができます。

気持ちを伝えてくれたら「ありがとう」と言う

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長女が小学1年生のとき担任をしてくださった先生は、子どもたちの間でトラブルがあると、その子どもたちの言い分をそれぞれ聞き、それがどういった内容であっても、「何が起きたか、どんな気持ちだったか、教えてくれてありがとう」と声をかけてくださっていました。

長女が、「先生はしっかり話を聞いてくれるから大好き」といつも言っていたこともあり、筆者もその先生をお手本に、子どもが話をしてくれたときは「教えてくれてありがとう」と声をかけるようにしています。

「何かあったら親や先生に何でも話してね」と子どもに伝えるのは大事なことですが、「話したら『ありがとう』と言ってもらえた」という経験を積むことは、「自分の気持ちを口にして良い」という実感をより得られるのではないでしょうか。

相談内容によっては親も行動する

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2~3歳のころはただ泣くばかりだった長女も、5歳になるころには「嫌なこと」「困ったこと」があったときには、親に説明をしてくれるようになりました。

話を聞いたあと、筆者はいつも「お手伝いできることや、して欲しいことはあるかな?」と尋ねるようにしています。

幼稚園のときに1度、小学校に入ってからも1度、長女から「先生に相談しておいて欲しい」と言われたことがあったので、すぐに先生とお話をさせていただき、その内容を子どもにも共有しました。

子どもの間のトラブルや学校の運営内容などに口を出すことは、勇気がいるものです。しかし子どもが、「親に助けを求めても何もしてくれない」と思い込んでしまうと、嫌なことや困ったことがあっても口を開いてくれなくなります。

相談内容によっては、子どもに言葉をかけるだけでなく何らかの行動を起こして、子どもに「気持ちを伝えたら応えてもらえた」という自信を持たせることも大切です。

「嫌なこと」「困っていること」を伝えるには練習が必要

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「嫌なことを嫌だと言う」ことや「困っていることを正確に伝える」ことは、誰でもすぐにできることではありません。その子どもの性格や言葉の発達段階に合わせて、ゆっくりと練習していくことが必要です。

忙しい毎日の中で、要領を得ない子どもの話に付き合ったり、話を引き出したりするのは大変なことですが、「自分の気持ちを言葉にする練習」だと思って、できる限り向き合ってあげられると良いですね。

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この記事のライター