2019年03月13日 公開

【2017年度版】英語教育実施状況調査結果から何がわかる?

文部科学省から毎年発表される「英語教育実施状況調査」は、日本の英語教育の現状がわかる興味深いデータです。「近年の中高生の英語力は?」「教育を担う学校の英語教師の英語力は?」「英語力が高い地域はどこ?」など、2017年度版の結果からポイントを絞ってご紹介します。

文部科学省から毎年発表される「英語教育実施状況調査」は、日本の英語教育の現状がわかる興味深いデータです。「近年の中高生の英語力は?」「教育を担う学校の英語教師の英語力は?」「英語力が高い地域はどこ?」など、2017年度版の結果からポイントを絞ってご紹介します。

英語教育実施状況調査とは?

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2013年から実施されている「英語教育実施状況調査」。英語教育改善のため、全国のすべての公立の小・中・高校を対象に行われる調査です。調査項目は次の4つ。

・英語担当教師の英語力
・生徒の英語力
・英語の授業での英語担当教師の英語使用状況
・パフォーマンステストの実施状況

それでは2017年度の調査結果からポイントを解説します。

学校の英語担当教師の英語力は?

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英語教師の英語のレベルは、もちろん生徒の学習環境にも大きく影響されます。2013年「第2期教育振興基本計画」が発表されました。そのなかで英検準1級程度以上を持つ英語教師の割合の目標値は、中学校50%、高校75%以上となっています。

2017年の調査結果を見ると、中学校は前年より1.6ポイント上昇していますが、目標には遠い33.6%です。高校は前年より3.2ポイントアップの65.4%で、こちらも目標には到達していません。

参照:文部科学省「第2期教育振興基本計画」
http://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/detail/1336379.htm

中高生の英語力は?

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次に生徒の英語力を見てみましょう。中学生で英検3級程度以上を持っている生徒は22%、資格検定試験は受験していないものの、同等の英語力があると考えられる生徒は18.7%でした。両方の数字を足すと、前年より4.6ポイント上昇の40.7%となります。

一方の高校生だと英検準2級以上を持つ生徒は15%で、それと同等の実力があると思われる24.3%を足すと39.3%です。どちらも40%ほどで、第2期教育振興基本計画の目標50%には到達していません。

英語力の高い地域

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国全体では残念ながら目標に到達していない2017年の調査結果ですが、なかには目標値を達成した自治体もあります。中学生の英語力は福井県の62.8%が1位。ほかに7自治体が目標達成を成し遂げています。高校生の目標達成自治体は、福岡県の52.4%のみです。

中学の英語担当教師の目標達成自治体は、福井県62.2%と広島市53.6%のみ。高校は福井県と香川県の91.3%をはじめ、ほか12自治体が目標達成しています。

データを見てみて、あることにお気づきでしょうか?福井県はすべての調査項目で、目標を達成しています。

どうして福井県の英語力が高いの?

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TAKASUGI Shinji/ CC-BY-SA-3.0-migrated
2017年の英語教育実施状況調査では、福井県が全項目目標達成に加え、ポイントも1位という結果となりました。ではなぜ福井県は、英語力全国トップに躍り出ることができたのでしょうか?

県はコミュニケーション重視の授業や、ALT(外国語指導助手)の有効活用などの、継続的な計画が要因だとしています。また2018年度の高校入試から、英検の結果が加点されるシステムを導入。生徒のモチベーションをあげる仕組みも作られています。

2017年の英語教育実施状況調査では、福井県の地道な継続性のある英語教育が、花開いた結果と言えるでしょう。

日本の英語教育の「今」がわかる調査結果

英語教育実施状況調査から、日本の英語教育の現状をおさらいしてきました。前年よりポイントはアップしているものの、目標値には届かずという自治体がほとんどという少し残念な結果に。そのなかでも福井県の健闘は素晴らしく、結果をもとにほかの各自治体ともにより英語教育に力を入れているはずです。次回の調査結果に期待しましょう。

参照:文部科学省「平成29年度「英語教育実施状況調査」の結果について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1403468.htm

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