『女の子は本当にピンクが好きなのか』という本が話題になっています。ちょっとドキッとするタイトルですよね。女の子、男の子という性差は、本当に生まれついてのものなのか。「うちの娘はピンクが大好き!」それってもしかすると、パパママの思い込みかもしれませんよ……。
「ピンク」が女の子を象徴する色になった理由
著者 :堀越英美
出版社 :Pヴァイン
『女の子は本当にピンクが好きなのか』によると、「ピンクが女の子に似合う色」というブームの発祥はフランスだそうです。
ベルサイユ宮殿に暮らす王室の女性たちが着こなす美しいピンクドレス。その姿にあこがれをいだいた人々が、自分の子どもにもピンク色の服を着せるようになったそうですよ!
フランスのピンクブームはやがてヨーロッパからアメリカへ広がり、日本へと到達します。
日本の「ピンク」ブームはあのスターが火付け役!?
日本でもっとも「ピンク化」に貢献したのは、歌手の「ピンクレディー」の存在だったようです。文字通りピンクの衣装をまとった国民的大スターの存在は、日本人女性がピンクを自己表現に用いることの恥ずかしさをすっかり取り払いました。
その女性たちが親となり、子どもがピンクの服を着せられ……という連鎖が続き、「ピンク=女の子の色」というある種の洗脳が繰り返されたというわけですね。
玩具市場の変化に見る欧米での「ピンク」の位置づけ
それが顕著に現れたのが子ども用玩具です。技術系女子を育成するDIYドールハウスキット「ルーミネイト」、レゴが発売した女性の宇宙飛行士・エンジニア・科学者シリーズ、化石採集家や空手家など「女性の職業の多様性」を表現する子ども用ドール「ロッティー」など。
これらの玩具は、「かわいくて愛らしいピンクのイメージ」から女の子を解放する役割を果たしています。
日本の女の子はやっぱりピンクが好き?
では、子どもたちにとってピンクの魅力は消えたのかというとそうではありません。ティーンや20代前半の女子が読むファッション誌には、ピンクの衣装をまとったモデルさんの姿がたくさんありますよね。ピンクを用いたファッションや寝具を好む女性の割合もまだまだあります。
欧米文化の輸入大国である日本でも、欧米のように「女の子のピンク離れ」が進むと思いきや、実はそうならないのが日本文化の面白いところといえるかもしれませんね。
日本社会の「ピンク論」は独特かも?
これらの仕事は「ピンクカラー系」であり、女性らしさを表現する職種である……そんな思い込みが男性だけでなく女性自身にもある、だから女性たちは自らこのような職業を選択するというのです。
「女性にはこういう仕事がふさわしいはず!」という考え方は、いわゆるジェンダー(社会的性差)が日本社会に根強くあることを示しています。「女の子はかわいい、やさしい存在→だからピンクが好き!」というステレオタイプ的思考も、ジェンダー論の延長線上にあるのかもしれませんね。
堀越英美さんは、「ピンク論」やその関連問題について興味深いコラムを連載していますので、一度チェックしてみてください。