日本で幼い子どもが外国語を習慣にするには、親のサポートはなくてはならないものです。今回は、子どもの英語学習を長く続けるための親の心構えを紹介します。カナダ在住、マルチリンガルの息子を育てる筆者がお届けする連載【翻訳家ママのバイリンガル教育】第6回目です。
日本で英語学習を続けるのは難しい?
子どもに英語を学ばせようとするときに「長続きするかな?」と心配になることがあると思います。英語圏の国と違い、日本で英語学習を続けるのが難しいのは、英語を使わなくても生活に支障がないからです。
「将来の役に立つかもしれない」という曖昧な目的だけで、子どもの英語に対するやる気を維持するのは親にとっても大変なことです。幼いころから英会話教室などに通わせたとしても、小学校入学後に、他に優先することができると止めてしまう場合が多いです。外で習い事をせずに英語に取り組んでいる場合も、同じような理由から英語が続かないことがあります。
けれども、日本で英語が絶対に身につけられないわけではありません。インターナショナルスクールに通わせなければいけないわけでもありません。英語が必要な環境が作れなくても、英語でできる「好きなこと」を見つけることで、積極的に英語に取り組むことができるでしょう。
親が英語で好きなことをしてみる
「子どもは親の背中を見て育つ」と言われているように、親がしていることを子どもはよく見ています。ですから、ママやパパがこれまで日本語でしていた好きなことを英語でやってみましょう。
たとえば、海外のスポーツ中継を英語で見る、吹替で見ていた洋画を英語音声にして日本語字幕で見るなどです。洋楽が好きな場合は、子どもがいる場でもどんどん流すようにしましょう。子どもがいるからと言って、子どものための音楽ばかり聴いていなくても大丈夫です。親が英語で何かを楽しんでいれば、幼い子どもにも自然に伝わっていくでしょう。
親に英語コンプレックスがある場合は?
もしママやパパが英語にコンプレックスがあったとしても、子どもには見せないようにしましょう。自分には「英語を頑張ってね」と言っているママやパパが英語に否定的では、子どものやる気を摘み取ってしまうかもしれません。親がポジティブでいれば、子どもは英語が続けやすくなります。
筆者が暮らすカナダ・ケベック州はフランス語が公用語です。けれども、筆者自身は16年も暮らしているのになかなかフランス語が上達せず、強いコンプレックスを持っています。カナダに住みはじめたころのフランス語を頑張っていた時期に、フランス語のことで何度も嫌な思いをしたのが原因です。
いつか、嫌な思い出を消せるぐらい、フランス語で楽しめるものが見つけられればいいなとは思っています。ただ、まだ見つかっていないので、今はフランス語嫌いを息子に見せないように気をつけています。
子どもの好きを英語で見つける
もちろん、親がどんなにやる気を出しても、実際に英語に触れてほしい子どもが興味を示さなければ意味がありません。子どもの成長に合わせて、子どもが英語で好きになれるものを見つけてあげてください。
英会話教室や英語で習い事をする場合は、先生や友達との相性もとても大切です。体験コースを受けるなど、子どもがその習い事を好きになれるかをしっかり判断しましょう。何か嫌な感じがした場合などは、無理に入会するのではなく他の選択肢を探したほうがいいです。
これは、自宅で教材を使用する場合も同じです。「せっかく買ったのに」や「申し込んだから続ける」は親の都合です。嫌いな状態で続けると子どもが英語アレルギーになってしまいます。英語を長く続けたいのであれば、子どもの好きを大切にしてあげてくださいね。
親は子どものやる気のサポート役
幼い子どもの外国語学習には、家庭でのサポートが必要不可欠です。0歳から1歳ぐらいまでは、子どもがはっきりと意思表示をするわけではないので、いかに親自身がやる気を出して英語学習に取り組むかがポイントになってきます。ママやパパが英語で好きなものを見つけて、子どもが英語を耳にする機会をたくさん作ってあげられるといいですね。
子どもの好き、嫌いがはっきりしてくる2歳ぐらいからは、子どもの興味を理解して、楽しく英語を身につける環境を整えてあげてください。自分が用意したものに子どもが興味を示さないこともあれば、前日まで大好きだったものに無反応になることもあります。そのようなときは、決して押し付けずに、次に進みましょう。
言語は毎日の積み重ねで少しずつ習得していきます。試行錯誤を繰り返しながら、子どもに合った方法を見つけて、やる気を維持できるようにサポートしてあげてくださいね。