幼児期の子どもは好奇心旺盛で、集中できる時間は短時間です。そんな幼児期に集中力を育てるのは難しいとお考えのパパママもいるでしょう。しかし、脳の急成長期である幼児期は集中力を伸ばすチャンス。子どもの興味をひくものを見つけ、取り組んでみてはいかがでしょうか。
幼児期に集中力をつけることのメリット
幼児の集中力持続時間は「年齢+1分」とされています。この5分程度の集中時間を延ばしつつ、充実させることが能力の高い子に育てるカギです。
幼児期に物事に没頭する楽しさを体験させることで、無理なく集中力を伸ばすことができるでしょう。
集中力がある子=総合力の高い子
「絵本の世界に入り込む」「公園でがむしゃらに走り続ける」「マグネットを冷蔵庫にたくさん貼る」……何でも良いので子どもが興味を持つものを続けさせてみましょう。興味を持続させることを繰り返すことで集中力を高める訓練になります。
集中力が出ない原因とは?
集中力が出ない原因は、子どもの心理的・身体的な要因と、環境の要因の大きくふたつのタイプに分けられます。
心理的・身体的な要因
・苦手意識がある
・悩み事や不安を抱えている
・気が散りやすい
・妄想癖・空想壁がある
・睡眠不足・睡眠時間が足りていない
環境の要因
・目につくところに気になるものがある
・音がうるさい
このように、ひと口に「集中できない」といっても影響しているものは一人ひとり異なります。お子さまの状況をよく見極め、考えられる理由を理解し、ひとつずつ取り除いていくことが必要です。
以下に生活の中でできるサポート方法や、遊び方、トレーニング方法など、家庭で取り組めるものを中心にご紹介します。お子さまと一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
今すぐできる「集中力を育てる5つの方法」
1.テレビ・タブレット類をつけない時間を持つ
2.子どもの集中していることを見守る
3.読み聞かせの時間を作る
4.親子で遊ぶ
5.部屋を片付ける
・今使うもの以外は手元に置かない
・使ったらすぐに元に戻す
・床にものを置き過ぎない
この3つを常に心がけましょう。乳幼児期から整理整頓された部屋で過ごすことは、空間認識能力・正しい衛生観念を育てることにも繋がります。
子どものやる気を伸ばす声かけとは?
三大神経伝達物質の分泌を最適にするには親の声かけが不可欠です。子どもが頑張ってしたことは言葉にして認めて、褒めてあげましょう。ドーパミン・セロトニンが分泌され自己肯定感を持つことができます。
上手くいかない場合、根気がない場合は「一緒にやろう」「次はきっと上手くいくよ」など励まし、促す言葉がおすすめ。ドーパミン・ノルアドレナリンが分泌され挑戦する気持ちを育みます。
集中力を鍛えるための食材・食事
では、集中力を鍛えるのに効果的な栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。
DHA
DHAは魚介類、特に脂ののった魚や青魚に豊富に含まれています。中でもマグロのトロには多くのDHAが含む食材。なお、熱を加えるよりも刺身など生で食べるほうが、より効率的にDHAを摂取できます。
脳の神経回路の9割は6歳までに完成するといわれているので、小さなうちから積極的にとる意識をしましょう。
鉄
鉄はレバー(特に豚レバー)、赤身の肉や魚、納豆、青菜(ほうれん草や大根の葉)などに特に多く含まれる成分。動物性の食品に含まれるヘム鉄は体への吸収率が高いので、毎食メニューに取り入れてあげましょう。
ただし、レバーには食べ過ぎると体の不調を起こすビタミンAを多く含まれるので、週1~2回までを目安として食べ過ぎには注意してください。
また、植物性の食品に含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒にとることで吸収率が高まります。ブロッコリーやパプリカ、レモンなどと一緒に食べると良いでしょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は、豚肉、うなぎ、たらこ、海苔、豆類などに多く含まれています。ビタミンB1の吸収をぐっとアップしてくれる「アリシン」を含む、玉ねぎやニラと組み合わせて食べるのがオススメです。
カルシウム
カルシウムが豊富な食材にあげられるのは、青菜(小松菜、ホウレンソウなど)、じゃこ、牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐、ひじき、切り干し大根など。
マグネシウムやビタミンDを一緒にとると吸収率が高まるので、「カルシウムなら牛乳を飲んでおけば十分」などと考えずに、いろいろな食品をバランスよく食べる意識をしてみてください。
毎日の食事の中に、これらの栄養素を意識して取り入れてみましょう。なお一日三食、決まった時間に食べるなど食習慣を正すことも大切なポイント。特に朝ごはんを抜くと、集中力が低下するといわれています。栄養素をバランスよく取るとともに、食習慣も見直してみてはいかがでしょうか。
集中力を向上させるためのおすすめの習い事
「この習い事をすると集中力がアップする」というよりも、好きなことに思いっきり取り組むことが、集中力アップのポイント。習い事選びで大切なことは、お子さまの興味関心や適性を十分考慮して選ぶということになります。
これからお子さまに習い事をさせたいと考えている方は、「お子さまが楽しめそうな習い事」を選ぶよう心がけましょう。たとえば音楽が好きならピアノ教室、ゲームが好きなら競技かるたや囲碁・将棋、植物が好きなら生け花などもおすすめです。
どうしても集中力が続かない
さらに、集中力を発揮できるかどうかには、作業内容とお子さまの個性との相性も深くかかわっています。授業中の姿勢や習い事の生徒としての一面ばかり見ていると集中力がないように見えても、よく観察したら好きな遊びやおもちゃには長く没頭できているのかもしれません。
子どもは元気いっぱいで好奇心も旺盛。いろいろなことに興味をひかれるのは当然です。あまり過剰に心配したり、問題視したりすることはせず、集中できる環境や場所を整えてあげるようにしましょう。
それでも周りの子と比べて集中力のなさや落ち着きのなさが気になる場合は、専門家に相談するのも手です。信頼できる医師や先生に話を聞いてみましょう。
集中力のある子に育てるなら遊びも大切
大人も好きなことをしているときは、時間が過ぎるのを忘れるほど没頭しますよね。この没頭している時間は、脳内伝達物質であるドーパミンが分泌され集中状態を作っています。
集中力は、ほかのさまざまな能力の土台となりうる可能性を持っています。幼児期に遊びを通してドーパミンが分泌される機会を多く持つことで、集中することに喜びを感じる子に育つでしょう。