3〜6歳頃の子どものお絵かきについて、東急東横線の元住吉駅近くで30年以上、絵画教室「アトリエ5」を主宰されている辻さん、講師の山田さんにお話を伺いました。子どもが絵を学ぶことについての知識や理解を深め、親の声がけの仕方、さらに作品の保存や飾り方の重要性までお伝えします。
絵画教室「アトリエ5」
”5”は視覚や聴覚など五感を生かした表現を表しているそうです。例えば、食べ物など季節の自然のモチーフをよく観るのはもちろん、触ったり嗅いだりして理解を深め、表現することをとても大事にしています。他にも空想画、音楽を聴いて描く聴想画、抽象画や、粘土や工作など、総合的な造形活動を行っていらっしゃいます。
代表の辻 悦子さんは、京都精華大学美術学部造形学科 卒業後、公立高校の美術科講師を経て、絵画教室を主宰。幼児から大人まで、絵画や工作、デッサンなど多数のクラスを開催されています。
今回は、主に未就学児の3〜6歳頃から小学生にかけての子どものお絵かきについて、辻さんと、幼児クラス講師を担当されている山田稔子さんに、お話をお伺いしました。
アトリエ5のこども美術コース
川崎市中原区の絵画教室アトリエ5 | 東横線元住吉・武蔵小杉・日吉駅から徒歩圏内
お絵かきや造形遊びが幼児期に大切な理由
辻さん:子どもは、いろいろな画材に触れて手を動かす楽しさ、またそれが色や形になって現れることに大いに好奇心を刺激されます。何でもはじめてのことが多いこの時期に、やってみよう、もっとやりたい、という体験を繰り返すことが、探究心や主体的な学びを促してくれるのです。
子どもの表現活動は長いスパンで考えると良いと思います。絵はその時見たことや自分の考えを素直に確かめる行為です。白い紙に自分の線を堂々と描くことで、可能性を限定せずに挑む楽しさを知り、自らを肯定できる人になります。人格形成の大事な時期に、目先の目的ではなく、純度の高い表現活動で、感受性と思考力を養うのは大切なことですよ。
絵の発達のプロセスも、自分で工夫する、クリエイティブな回路を切り開いていく経験はとても大事です。誰でもできちゃうようなメソッドでその興味を奪うのはもったいないです。
「絵の具する」「クレパスする」というのも、実は「ご飯を食べる」と同じくらい、子どもにとって大事な動詞だといえるくらいの楽しさと重要性があることを、もっと世の中に広めたいですね。
子どもの絵を見た時の親の声がけの仕方でベストな方法とは?
山田さん:子どもの絵にまっすぐ向き合ってみること、評価ポイントを探すのではなく、こちらがわからないままでも、存在丸ごとを受け入れるような心持ちが大切なのかなと思います。
ーーさらに、山田さんからは具体的なアプローチとしては以下を提案していただきました。
何を描いたかを探るより、色や形をそのまま受け取る
「上手」と言わない
「私はここが好き」を率直に伝える
絵を習うと上手になるの?
子どもたちが描きたくなる、ワクワクするテーマを設定し、教室で過ごす時間が子どもたちにとって濃密な時間になるように全力を尽くします。そして、画材や道具の扱い方をしっかり身につけることは指導します。
子どもたちは、必死で真剣にテーマと向かい合い、常に私たちが思うよりも大きく作品を展開してくれます。そのエネルギーや尊い時間に感動して、思わずもらい泣きしてしまうこともしょっちゅうです。
自分で方法を考え、探る時間も必要です。そこでの挑戦や葛藤、失敗を経験することにも価値がありますし、自分の感じ方や表し方が受け入れられることで自信がつきます。また、自分とは違った感じ方や考え方を認められる経験にもなります。
また、幼少期は想像力の豊かさや感受性の純度の高さ、身体的、直感的、ライブな表現などこの時期ならではの表現があります。
子ども作品の保管はどうしたら良い?
わが家でも、息子が小学校1年生の頃に木炭で描いた絵を飾っていますが、家の景色の一部になっています。立体作品などもあちこちに飾っていますが、ただそこにあるだけでも、もう成人して家を出ていますが、息子の存在を感じます。子どもの時の絵というのは、今の自分にエールを送ってくれることもあるような気がします。昔の自分に恥ずかしくないようにありたい、と思えるそんな不思議な作用もありますよね。
写真に撮って、アルバムにしてまとめるのもとてもステキだと思います。数年間に渡る成長を感じられるようにするのも良さそうですね。
また、作品集などにして見返すことができれば、成長の自己確認ができ、今の自分を実感できますね。幼かった自分を思い返す役割もありそうですね。
最後に
しかし、より自由にのびのびと表現することを身に付けるには、適切な機会と場所、親の関わり、周囲の刺激も必要であるのではと思います。自分の一部を解放したり、発見する時間を幼少期から、大切にし続けることはとても大切なことかもしれませんね。