2017年9月21日 公開

【第4回】測定の意味:なぜ「大きい」のか「どっちが大きいのか」

小学校入学前に、数学的な思考力を育て、発達させるために、親子で楽しく取り組めるアイディアやポイントをお伝えする連載第4回。ものの大小を比べるには、いくつかのくらべかたがあること、「くらべる」「重ねる」ことから、「較べる」と「比べる」の違い、「測定の4段階」まで、測定することの理由や意味を一緒に学んでいきましょう。

6歳までに身につける!数学的思考力のつけ方【全8回連載】

数学的思考力身につけるために周囲の大人がキャッチしたい、子どもの【動き】とフィードバック、その後アプローチの仕方を毎回3ステップでお伝えします。子どもが物事の共通点である【同じ】を発見し、その【理由】探しができることを狙いとしています。

子ども発の「動き」をキャッチ~親が意識すべき発達との関係

子ども発の「動き」をキャッチ~親が意識すべき発達との関係
子どもは、無理やり何かをわからせようとするとなかなか自分から動かないもの。自分で面白くなると動き出すのです。そして自分から動かないとその子の発達にはならないのです。日常生活の中で子どもに考えさせたり、発見させたりする習慣をまずは親が意識し、身につけるためにまず知っておいてほしいことを立教大学・黒澤俊二教授に語っていただきました。

シリーズ第4回:「測定」の意味に気づく!

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Maria Symchych / Shutterstock.com
今回の主なテーマは、「測定」する意味に気づくこと。

「くらべる」「かさねる」という【動き】によって、量が測定できることを実感してもらうのが狙いです。

量をくらべるには、いくつかの「くらべかた」があること、「比べる」と「較べる」があることにも触れていきます。
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Zurijeta / Shutterstock.com

注目する動きと数学的意図

●取り上げる【動き】:「くらべる」「かさねる」
●数学的体験内容:「測定4段階」「比較」「もとといくつ分」

STEP 1:くらべると量が見えてくる

photo by Mie.S (56292)

via photo by Mie.S
例えば親子で一緒に電車に乗って混んでいる時。「こっちの車両は混んでいるけれど、あっちは空いているね?何が違うのだろう?」という疑問を抱けるようになると、人の多さが違うことで混み具合がはかれるのでは、と気づくことにつながります。

将来的に、00平方mに00人いる、と計算して比較できること、数を組み合わせて混み具合を計算できるということに気がつければ理想的なのです。

他に、カルピスを飲んでいる時はどうでしょう。まず「ママのカルピスの方が濃い」ことに気がつければ、自分のカルピスとママのカルピスをくらべてみると、水に対してのカルピスの量が異なるからだと「濃さ」の理由に気がつけるようになります。糖度も違うので、「甘さ」も違うことにも気づけるかもしれません。違った単位や観点で、計ることもできるのです。

他にも、「外がまだ明るいね」と気づけたら「ママ、明るいって何だろうね」という疑問を抱けたらいいですね。「そうだね、明るさは測れるのかな?」と返してみましょう。こういう疑問が量への関心のはじまりになります。

ちなみに「野球がうまいね」「この野菜がおトクだね」も打率や、割引率で比べられるので「量」が測れます。「野球の上手さ」を話している時に「うまさ」ってなんだろう?と考えられるといいですね。

実は、まだ地球上にはわかってない量、測れない量もたくさんあります。まずは「測ってみたらどうだろう?」「測れるのかな?」という疑問も抱けるようになって欲しいですね。
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STEP 2:「較べる」と「比べる」くらべて「~さ」に気づく

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まず、くらべるにはふた通りあるのです。「比較」という言葉は「比べる」と「較べる」がありますが、何が違うのでしょうか。

例えば高「さ」のような「差」があるもの、その「違い」でくらべられるもの、引き算でくらべることができるものは「較べる」です。

人間と東京タワーあるは惑星同士のように、明らかに大きな差がある場合、また「東京ドーム0個分」などで表現されるようなものは、割り算や掛け算、「商」や「比」で「比べる」ものです。

差で較べるものと、商で比べるものがあるのです。

くらべるものの差が小さい時には、足し算と引き算で「較べ」ますが、その差が大きい時には、割り算や掛け算で「比べる」のですね。

この違いは、くらべっこする時にちょっと意識しておきたいですね。

STEP 3:「測定の四段階」をたどっていこう!

何かをくらべっこする時には、四つのステップがあることを知っておきましょう。

第1段階:直接比較

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ふたつのものを「どっちが大きいの?」とくらべる時です。

例えばピクニックに行って、2枚の違う大きさの敷物を広げたら、子ども「どっちが広いかな?くらべっこしよう」と提案したらどうするでしょう。まず端っこをそろえて並べるのではないでしょうか。

また、長さの違う鉛筆の下を隠しながら「どちらの鉛筆が長いでしょう?」なんて見せたら、子どもたちは「下隠してずるい!トントンして!」なんてリクエストを出してきますね。

この段階でのキーワードは「そろえる」「ならべる」「あわせる」「かさねる」です。それではじめて、こっちの方がたくさんあるとか、どのくらい長いかなどをくらべられます。

第2段階:間接比較

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vipman / Shutterstock.com
直接比較できないもの、動かせないものをくらべる場合です。例えば、本棚の幅と冷蔵庫の幅はどっちが長いか。横に並べて比べられないものの長さをくらべたい時はどうしたらよいでしょうか。紐を持ってきて同じ長さのところに印を付けるなどの方法がありますね。

「間に何かを持ってくる」という測り方です。

第一段階の直接比較と、第二段階の関節比較までは、できれば、小学校入学以前に体験ができているといいですね。

第3段階:任意単位の比較

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「机の長さは積み木の5個分だね」など、何かを1と決めて単位を設定してはかる方法です。これは小学校の1年生の授業で教えますが、5〜6歳までの未就学児のうちに、体験として身につけておければいいですね。

場所の広さを、足の幅や歩幅ではかる方法もありますね。

1円玉を使って測るのもよい経験になるでしょう。ちなみに1円硬貨の外径は20mm、量は1g、厚さは約1.5mmなので覚えておくと便利です。これは第4段階へ繋がります。

第4段階:普遍単位の比較

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任意単位の比較だけでは単位がうまく伝わらないこともあります。「この鉛筆の長さはさっき食べたウインナー2本分」と言われてもよくわかりません。そこで用いられる「cm」や「m」といった共通の単位が普遍単位です。

任意単位からかけ算も始まる

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単位で比較できないと「同じものがたくさんないと同時に別々のものを測れない」という壁にぶつかります。鉛筆の長さを消しゴムで測ろうとしても、同じ大きさの消しゴムをたくさん持っていないかもしれません。

そこで「ひとつの消しゴムをパターン、パターン(とひっくり返していけば)すれば何個分かはかれる」というのが単位の比較です。

これは、「5個」と「5個分」の違いで、足し算からかけ算に変わる瞬間です。同じものを5個並べなくても、5個【分】ではかれることに気づけるようになるのです。

次は…

次回は、子どもが「にてる」けどなんか「ちがう」形があることに気づくことで、「形と図形」の持つ意味に触れる過程に注目します。「くぎる」「かこむ」「描く」という動きによって、「~のような形」から「まる」「さんかく」 「しかく」そして「図形」へとの気づきを深めていきます。

(取材・文/志田実恵)
連載「6歳までに身につける数学的思考力のつけ方」一覧はこちら

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乳幼児期は「遊び」こそが大事といわれますが、なぜ大事なのでしょうか?学びのある遊びをさせるために、親はどういうことに気をつけていればいいのでしょうか。学芸大学附属小学校の教壇に長年立っておられた立教大学・黒澤俊二教授に、未就学児のうちに、親が意識しておきたいことについて伺いました。

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就学前の子どもに、数学的な思考力を効果的に発達させたいと願う、親や周囲が心がけるべき、声がけ、態度、誘導の仕方のヒントと考え方を、立教大学・黒澤俊二教授に「あいうえお」でご説明いただきました。暮らしや遊びの中での算数の身につけ方のヒントがたくさんありますよ。
この記事は執筆時点のものですので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

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WRITER

黒澤俊二 黒澤俊二  立教大学文学部教育学科教授。「かず・かたち図鑑」の監修をはじめ、子ども向けの算数の書籍を多く手がけています。幼児教育や教育心理学に関する講演も日本各地で行っています。