2023年04月21日 公開
二十四節気夏至アイキャッチ

【夏の二十四節気】「夏至(げし)」は一年の半分が過ぎ、真夏へ向かうころ、2023年は6月21日

二十四節気「夏至(げし)」は、昼の時間が一番長いころ。1年の半分が過ぎ、梅雨から真夏へ向かう夏至の子供との過ごし方も紹介します。

二十四節気夏至アイキャッチ

夏の二十四節気の四番目は「夏至(げし)」です。この時期は梅雨にあたり、季節の変わり目の大切な日です。今回は子供に伝えたい夏至の楽しい過ごし方、雑節「半夏生(はんげしょう)」について、夏至に旬の食材で子供と作る献立を紹介します。

二十四節気(にじゅうしせっき)って何?

みなさんは二十四節気という言葉を聞いたことがありますか? 約半月ごとに一年を二十四等分、つまり季節ごとに六つに分けて美しい名前をつけたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。江戸時代まで使われていた旧暦では、暦(こよみ)と実際の季節にずれが出ました。そのため生活するのに不便になり、本来の季節を感じる目安として二十四節気を用いたのです。日本には春・夏・秋・冬の四季があるので二十四節気を知っていると季節の変化を敏感に感じられ、暮らしが楽しくなりますね。

二十四節気

二十四節気

春分や秋分は祝日となっており、夏至や冬至は季節の変わり目の大切な日です。このように二十四節気は日常生活に密着し季節を深く知ることができます。そのため多くの行事が二十四節気をもとに行われています。

雑節

二十四節気は中国から伝わった考え方ですが、節分や彼岸など「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる、より日本の生活に根付いた考え方もあります。

二十四節気 雑記

七十二候

さらに二十四節気に関連して、七十二候(しちじゅうにこう)があります。二十四節気のひとつを「初候(しょこう)」・「次候(じこう)」・「末候(まっこう)」と三つに分け、季節の移ろいを表現したものです。花鳥風月を用いた具体的なことばなので、季節をより鮮明にイメージできますよ。

【解説】夏の二十四節気「夏至(げし)」ってどんな日?

二十四節気の十番目「夏至」は、夏に至ると書き「げし」と読みます。一般的に二十四節気の夏至の最初の日を指すことが多いです。夏至は北半球では一年で一番昼が長く夜が短い日。この日を境に、昼が短く夜が長くなっていきます。夏至の日の正午は、ほぼ真上から太陽が照り付け、影の長さが最も短くなります。そして夏至の時期は農作業が終わる目安とされていました。

夏至を中心として約二十日から四十日間は「梅雨(つゆ)」にあたり、湿気が多く気温の高い日が続きます。雨の日が多いので日照時間の長さを実感することは少ないかもしれません。この時期を過ぎると暑さが増して盛夏へと向かいます。

このように夏至は、太陽の力が一年で最も強い日と言われており、各地で「夏至祭」が催されます。夏の期間が非常に短い北欧では正月より大切な日で、永遠の命の輪を意味するリースを吊り下げ、夜通しお祝います。日本でも「キャンドルナイト」のイベントは近年の恒例行事ですね。また六月三十日は一年のちょうど半分が終わる日です。多くの神社で「夏越しの祓(なごしのはらえ)」の神事があります。

今年の夏至はいつ?2023年は6月21日~7月6日

それでは2023年の夏至はいつでしょうか?二十四節気の九番目「芒種(ぼうしゅ)」から、十一番目の「小暑(しょうしょ)」まで、6月21日から7月6日が2023年の夏至です。夏の二十四節気では四番目にあたります。

また暦にはずれが生じるため、二十四節気は毎年固定の日ではなくその年により前後します。今年は立春が例年通り2月4日だったので、夏至も6月21日から7月6日までの16日間を指します。暦のずれについては、毎年2月に国立天文台が翌年の暦要項を発表しているので参考にしてください。

国立天文台 天文情報センター 暦計算室

七十二候(しちじゅうにこう)で「夏至」の季節を知る

二十四節気 夏至 あやめ

それでは、より季節を感じられる「七十二候(しちじゅうにこう)」で夏至の季節の移ろいを解説しましょう。

■初候 夏枯草枯る(なつかれくさ/かるる)
夏枯れ草が枯れる頃、という意味です。夏枯れ草の別名「うつぼ草」は、6月に入るころから稲穂状の小さな花を咲かせますが、山が深い緑に包まれる中、季節に逆らうように枯れてしまいます。その珍しさから季節の言葉になったそうです。
七十二候・第二十八候(6月21日〜6月25日頃)

■次候 (あやめ/はな/さく)
ことばの通り、菖蒲(あめや)の花が見事に咲き誇る時期という意味です。
七十二候・第二十九候(6月26日〜6月30日頃)

■末候 半夏生ず(はんげ/しょうず)
「半夏(はんげ)」と呼ばれるサトイモ科の薬草「烏柄杓(からすびしゃく)」が生え始める時期、という意味です。
七十二候・第三十候(7月1日〜7月6日頃)

夏至の雑節(ざっせつ)「半夏生(はんげしょう)」を知る

日本の生活に密着した節目の日を表す雑節に「半夏生(はんげしょう)」があります。夏至から11日目にあたる日で梅雨明けの目安になっています。田植えをするのはこの日までとされており、天から毒が降ると言われ、作物の種をまいてはいけないとされていました。

【豆知識】文学からみた二十四節気「夏至」

二十四節気は季語として俳句や短歌、時候の挨拶としても使われています。「夏至」も夏の代表的な季語です。この季節をわかりやすく表現した歌を紹介します。

【作者】正岡子規
夏至過ぎて 吾に寝ぬ夜の 長くなる

引用元 : https://idea1616.com/geshi-haiku/

時候の挨拶では「夏至の候」があります。「梅雨の候」や、夏の夜は短く明けやすいという意味の「短夜(みじかよ)の候」も使われます。

この時期にふさわしい自然の言葉に「青時雨(あおしぐれ)」「半夏雨(はんげあめ)」があります。

梅雨の雨あがりに木の下を歩くと、その葉に降りたまった雨がシャワーのように落ちてくることがありますよね。この雨粒を「青時雨」といいます。驚くけれど夏の爽やかさも感じ、嬉しくなりませんか?

半夏雨」は半夏生の日に降る雨のことで、この日の天候により一年の豊作を占う風習があったそうです。田植えを終えた水田から天国へと、田んぼの神様がのぼって行った後の雨が半夏雨になったとも言われています。

水に濡れた色を指す言葉に「濡れ色」があります。雨の多い憂鬱な日には、「濡れ色に染まる庭はいつもと違う顔を見せています。」と手紙に添えてみてはいかがでしょうか。心が明るくなりますね。

旬な食べ物・花や鳥

二十四節気 夏至 半夏生

梅雨時の夏至のころ、自然界も変化に富み活発なシーズンです。旬を迎える食材もたくさんあるので紹介します。

食べ物

野菜 : きゅうり、オクラ、トマト、えだまめ
果物 : あんず、さくらんぼ
魚 : あゆ、カンパチ、かます、かわはぎ

昆虫・生きもの

タコ、あげはちょう

鳥・花

鳥 : かっこう、きびたき、ほととぎす
花 : 花菖蒲、あやめ、はんげしょう(烏柄杓)

ちょうど「半夏(はんげ)」の時期に花を咲かせる「半夏生」は、別名「烏柄杓(からすびしゃく)」と呼ばれます。まるで化粧をしているように葉の上部が白いので、「半化粧」と呼ばれるようになった説があります。

夏至の時期の過ごし方

二十四節気 夏至 キャンドル

夏至の頃になるとフィンランドやスウェーデンなど北極に近い国々では、夜になっても太陽が沈まずずっと明るい「白夜(びゃくや)」が続きます。夏至は各国で多くの催しや習しがあり、太陽の恵みに感謝する夏至祭もこのひとつです。

・夏至の行事食「タコ」
関西では半夏生の時期にタコを食べる習わしがあります。タコの吸盤のように「田植えをした苗の根がしっかり根付くように」と願ったのが由来のようです。タコは6月~7月の麦が実る時期に美味しくなると言われています。タコ飯やサラダや煮つけなど、幅広い調理法があるのでタコを使った料理を食べて英気を養いましょう!

・キャンドルナイト
夏至の日の夜八時から十時までの二時間を電気を消しろうそくの火で過ごす、近年では多くの企業が参加する運動です。ゆっくりと考える時間を持つことを提唱する団体や、東京タワーや首都高速などもこの時間電気を消し、増上寺ではキャンドルを灯して過ごします。夏至の日の夜、おうちでもキャンドルナイトをしてみませんか?

夏至にゆかりのある神事「夏至祭」

三重県の伊勢神宮にほど近い「二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)」にある夫婦岩では、夏至の時期だけふたつ並んだ夫婦岩の間から朝日が昇ります。夏至の当日、日の出前に「夏至祭」が行われ多くの人が集い、幸せと平和を祈念します。

夏至の時期にある行事「夏越しの祓」

二十四節気 夏至 夏越しの祓

六月三十日で一年の半分が過ぎることから、この日に半年でたまった生活の疲れや穢れを清め払う「邪気払い」が各地でみられます。六月と十二月の大晦日の年に二回あり、この日は「夏越しの祓(なごしのはらえ)」と呼ばれています。

夏越の祓の代表的なものに「茅の輪くぐり」という茅草(ちがや)という草で作られた大きな輪を八の字にくぐり悪いことを清める風習があります。他にも人の形を模した紙の形代(かたしろ)に、自分の名前や年齢を書き、息を吹きかけたり体を撫でて罪やケガレを移し、身代わりとして神社に納める風習があります。地域によっては人形を川に流したり火で燃やすそうです。

京都では、厄払いを意味する小豆の乗った和菓子「水無月(みなづき)」を6月30日に頂く風習が残っています。関東でも夏越しの祓にあわせて期間限定で扱う和菓子屋も。ういろうのようにつるんとした、口当たりがよく夏に食べたい和菓子です。簡単に邪気払いができるのでお試しください。

また最近では、「夏詣」と称した新たな行事が全国の神社で広がりを見せているそうです。罪穢れを祓い清める「夏越しの大祓」を経て、過ぎし半年の無事を感謝し、来たる半年の更なる平穏を願うべく、年の半分の節目として、七月一日以降に神社・仏閣に詣でるというもの。「夏越しの祓」と合わせて、お近くの神社に訪れてみてはいかがでしょうか。

新しい日本の風習 | 夏詣

夏至の時期にある行事「富士山開山前夜祭・開山祭」

その年にはじめて登山が許可される初日に、各山で安全を祈願した儀式が行われます。特に毎年7月1日は山梨県側の富士山の開山日として知られています。北口本宮冨士浅間神社では6月30日に前夜祭、7月1日には開山祭が行われます。

日本では山は神聖な場所として、一般人は立ち入ることが禁じられていました。夏の期間に限って登山が許可されたのが起源といわれています。

子どもと楽しむ夏至

二十四節気はその季節がどんな時期かという目安です。せっかく四季のある日本で暮らしているからこそ、それにちなんだ知育や子育てにつながる取り組みをおうちでもしたいですよね。夏至の時期に楽しみたい、子どもと一緒に食べる、作る、体験するアイディアを紹介します。

夏至に旬の食べ物でつくろう、食べよう!

昔から旬のものを食べると健康に暮らせるといわれています。夏至の頃におすすめの、旬の食材を使った献立を紹介します。

夏至の献立

夏野菜のラタトゥイユ、枝豆ごはん、タコときゅうりのサラダ、旬の焼き魚、和菓子「水無月」、麦茶

夏野菜が出回り食卓もにぎやかになります。夏野菜で作るラタトゥイユはたくさん作っても冷やして食べられる保存食になり、夏の疲れを癒してくれます。旬の魚も多く出回るので、好きな魚を塩焼きにしていただくのもよいですね。

今回は和菓子「水無月」のレシピを紹介します。夏越しの日に頂くと元気に暮らせると言われているのでぜひ作ってみてください。蒸すだけなので意外と簡単にできますよ。

二十四節気 夏至 水無月

「水無月」
<用意するもの>
・本くず粉 30g
・白玉粉 20g
・薄力粉 70g
・グラニュー糖 80g
・甘納豆 120~130g

・135×145×高さ45mmの流し缶
・せいろか蒸し器

<作りかた>
1)鍋(または蒸し器の下段)に湯をたっぷり入れ、強火にかける。
2)ボールに本くず粉、白玉粉を入れ、粉のかたまりをつぶしながら水1カップを少しずつ加える。全体をよく混ぜて粉を溶かす。
3)別のボールに、薄力粉、グラニュー糖を入れて泡立て器で混ぜる。
4)2)を少しずつ加えながら混ぜる。なめらかになったらこし器でこす。
5)4)の生地を80ml取り分けておく。流し缶の内側をさっとぬらし、残りの生地を流す。
6)鍋が沸騰したら、せいろに流し缶を入れて鍋に重ね、ふたをして強火で20分ほど蒸す。
7)せいろを取り出す。生地の表面に水滴がついていたらペーパータオルで拭く。
8)全体に甘納豆を散らし、取り分けておいた生地を流して、再び強火で10分蒸す。
9)流し缶を取り出してさまし、生地を取り出す。三角形に切り、器に盛る。

参考 : https://www.orangepage.net/recipes/detail_137196

水無月は、室町時代に暑気払いに氷に似たお菓子を作って暑さを乗り切ろうとしたのが由来です。三角形の外郎(ういろう)のような生地に、小豆を乗せた夏に食べやすい和菓子です。厄払いも兼ねてぜひ手作りしてみましょう♪

一緒に麦茶もいかがでしょうか?大麦を煮だして丁寧にいれると味の違いに驚きますよ。
一保堂茶舗 オンラインショップ | むぎ茶

季節に合わせた工作をしよう!

梅雨のシーズン真っただ中の夏至は、のんびりとおうち時間を楽しめる工作はいかがですか。

今回のおすすめはペーパークラフトで作る富士山のミニクラフトです。 他にも雨の日に楽しめる工作アイディアがたくさんあるので、お気に入りを見つけてたくさん作ってください。

ミニクラフト (富士山)

季節を感じにおでかけをしよう!

夏至は雨が多いですが、季節の変化を肌で感じられる貴重な時期。この時期にレイングッズを新調すれば、雨の日が待ち遠しくなりますね。雨の日も工夫して子どもと一緒に季節を感じにおでかけしましょう!

毎年7月1日前後は全国的に「海開き」・「川開き」・「山開き」として知られています。梅雨の晴れ間にそれぞれお出かけして自然を楽しんでみても良いですね。

・川床(かわどこ・かわゆか)
二十四節気夏至川床

涼を感じ楽しむために、川面に突き出すようにして作られた座敷を川床(かわどこ・かわゆか)と言います。桃山時代に京都に流れる鴨川に桟敷を設けてお客様をもてなしたのが始まりといわれて、納涼床とも呼ばれる夏の風物詩です。京都の貴船や高雄では「かわどこ」、鴨川では「かわゆか」と地域によって呼び方が変わるそうです。涼をとるのが目的で、5月から9月、昼床と夜床があり真夏は夜床だけ、など開催する期間や時間が限られているのも特徴です。

川床では夏を代表する川魚「鮎(あゆ)」を食べたり食事をするのですが、京都の三条大橋には川床が楽しめるコーヒー店があり、若者でも川床を楽しめると人気です。

・あんず狩り
あんずの収穫時期はとても短く、6月中旬から7月上旬の夏至のころがシーズンです。収穫高は長野県が圧倒的に多く、関東や関西からもアクセスがよく人気の味覚狩りのひとつです。あんずはびわよりも硬い食感ですが、水分が少ない分ジャムやコンポートにすれば長く楽しめます。またドライフルーツにしてもよいですね。

【まとめ】夏の二十四節気「夏至」は一年で一番昼が長く、夜が短いころ

いかがでしたか?梅雨に入ると出かけるのが億劫に感じるかも知れませんが、夏至の時期には色々な行事やおでかけ先もあります。一年の折り返し地点、しっかりたまった疲れを払ってこれから盛んになる夏に向けて元気に過ごしましょう♪

夏至の次の節気は「小暑(しょうしょ)」です。梅雨明けを迎え蝉が鳴き始める、本格的な夏が始まる頃。期限ある梅雨の時期、夏至におすすめの過ごし方を参考に、季節を意識してお過ごしください!

親子で二十四節気に興味を持てたら、こんなかわいい本もあるので参考にしてください。



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この記事のライター

RINAKO
RINAKO

東京都在住、マイペースな4歳児のせっかちな母。子育てのベースはモンテッソーリ教育。伝統文化を大切にしながらも、効率よく子育てするのが目標。子連れで行ける遊び場所にも詳しく、子どもの習い事の半分は自分の好奇心というゆるい子育てを採用中。